IT中毒
パソコンの「せいで」忙しくなっているうえ、新しいアイデアを出したり、新規の顧客を開拓したりといった、付加価値の高い仕事をする時間が減っていることがよくある。IT依存症の中毒症状は下記の通りである。
・7割は「迷惑メール」
勤務時間の多くを電子メールの処理に割いている人は実に多い。電子メールは、受取人の承諾を得ずとも、簡単にメールを送りつけることができる。手軽であるがゆえに、深く考えずに送る必要のないメールまでも送信してしまう事が多い。結果、受け手側には膨大なメールが届く。情報洪水によって、じっくり考えたり、分析したり、人と対話したり、現場に行くといった質の高いアナログの時間が奪われる。
・拡大再生産される価値の低い情報・コンテンツ
ネットの普及により、様々なデータが手軽に入手できるようになった。表計算やプレゼンソフトが一般的になったおかげで、特別な知識や技術がなくても、見栄えのいい資料を簡単に作ることもできるようになった。結果、口頭で伝えれば3分ですむような内容が、何十ページもの資料に加工され「情報共有」の名目で拡散されるようになった。コピペにより作成されたコンテンツが、大げさな体裁で拡大再生産される悪循環に陥っている。
情報洪水に飲み込まれ、電子メールに振り回され、ひたすら価値の低い情報や資料、メッセージを生み出している。それをまじめに仕事していると勘違いし、実は付加価値を生み出していない。それを自覚していない人が多い。
IT断食のすすめ
ITもダイエットが必要である。IT断食は以下のように行う。
①まずは症状を自覚する
社内でIT中毒に関する調査を行い「見える化」を実施する。
・電子メールの受信状況:アクションや確認が必要なメール件数の割合
・時間の使い方:1日のパソコン利用時間
・会議の調整:1つの会議調整のために必要な時間
②経営トップが決断し、明確なメッセージを打ち出す
経営トップが明確な方向性を示し、組織全体で取り組まないとIT断食は成功しない。
各職場では推進役となるIT断食のリーダーを決め、実行に移す。
③理想的な「ベスト・ミックス」を探す
理想的なバランスを探す。ベスト・ミックスを考える際には、「時間の使い方を天引きで構成しなおす」という考え方が有効である。
④ITを「断つ」時間を強制的に設ける
ベスト・ミックスを追求するために、一度IT断食を職場単位で実施してみる。
ex.パソコンを部署で共有、ノーPCデー、ノー電子メールデーの設置
⑤新しいワークスタイルをルール化する
ex.CCやBCCの使い方にルールを設置、社内資料の枚数制限、会議の質を変える
⑥IT予算をユーザー部門に戻し、費用対効果に責任を持たせる