ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ

発刊
2014年10月29日
ページ数
455ページ
読了目安
618分
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ずっと続く幸せを手に入れるために必要なこと
持続的な幸福を得るためには何が必要か。ポジティブ心理学の第一人者が、個人や地球全体での幸福量を増やすためには何が必要かという理論を解説している一冊。

幸福理論

幸福理論とは、幸せを「ポジティブ感情」「エンゲージメント」「意味・意義」という3つの異なる要素に分けて分析できるものだ。

①ポジティブ感情 → 快の人生
楽しみ、歓喜、恍惚感、温もり、心地良さなど、自分が感じるもののこと。

②エンゲージメント → 充実した人生
フローに関すること。音楽との一体感や、時が止まる感覚や、無我夢中になる行為の最中での没我の感覚のこと。

③意味・意義 → 有意義な人生
人間はどうしても人生に意味や目的を欲しがる。人間は自分よりも大きいと信じるものに属して、そこに仕えるという生き方をする。宗教、政党、地球に優しいエコライフ、家族などだ。

ポジティブ心理学とは、幸せについてこれら3つの要素から考えていく。そのテーマは「ウェルビーイング」、つまり、人間がそのもののよさのために何を選ぶか、という事に尽きる。ウェルビーイングを測定する判断基準は「持続的幸福度」で、ポジティブ心理学の目標は持続的幸福度を増大する事である。

 

ウェルビーイング5つの要素

ウェルビーイングには5つの要素ある。

①ポジティブ感情
幸福理論の1つ目の要素。楽しみ、歓喜、恍惚感、温もり、心地良さなど、自分が感じるもののこと。

②エンゲージメント
幸福理論の2つ目の要素。フロー。音楽との一体感や、時が止まる感覚や、無我夢中になる行為の最中での没我の感覚のこと。

③意味・意義
自分よりも大きいと信じる存在に属して仕えること。

④達成(成功)
一時的な形での「達成」と、その拡張した形である「達成の人生」。達成の人生とは、達成のための達成に捧げる人生のこと。達成の人生を送っている人は、多くの場合に自分がやっている事に没頭し、夢中になって快を求め、勝つとポジティブな感情を得る。

⑤関係性
ポジティブな出来事はすべて、他の人がいるところで起きたはずである。「他人」というのは、自分が人生のどん底にある時には最高の防御手段となってくれるものだし、唯一頼れる存在だ。他人に親切にする事がウェルビーイング度を一時的に向上させる唯一最も信頼できる方法である。

幸福理論における幸せとは自分が気持ちよく感じる事であり、人生の方向性はその気持ちを最大限にしようとする事で決まるとする、一次元的なものであった。

一方、ウェルビーイングとは、自分の頭の中だけで存在する訳にはいかないものだ。ウェルビーイングは、気持ちよさと同時に、実際には意味・意義、良好な関係性、および達成を得る事が組み合わさったものである。人生の選択は、これら5つの要素すべてを最大化する事で決まる。

 

持続的幸福を得るためにはどうすればいいのか

幸福理論の目標は、自分の人生と地球上の幸福量を増やす事にある。対照的に、ウェルビーイング理論の目標は多元的で、幸福理論とは異なっている。それは、自分の人生と地球上の持続的幸福の量を増やす事にある。

個人の持続的幸福を実現するためには、「基本的特徴」(ポジティブ感情、エンゲージメント、興味関心、意味・意義、目的)のすべてと、6つの「付加的特徴」の内3つを備えていなければならない。

①自尊心(自尊感情)
②楽観性
③レジリエンス
④活力
⑤自己決定感
⑥ポジティブな関係性

ウェルビーイング理論においてポジティブ心理学の目指すところは、人間の持続的幸福を測定し、構築する事にある。この目標を達成するには「自分達を本当に幸せにしてくれるものは何だろうか?」と問う事から始まる。

 

ウェルビーイングを向上させるエクササイズ

①感謝の気持ちを他人に表明する
②うまくいったことの理由を書きとめておく
③自分の特徴的強みを頻繁に活用し、それを自分のものとする