モルガン・スタンレー 最強のキャリア戦略

発刊
2016年4月20日
ページ数
312ページ
読了目安
381分
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景気や人間関係に左右されないキャリアの作り方
モルガン・スタンレーに所属するキャリアアドバイザーが、1つの企業や職務に勤めるだけのキャリアは通用しないと説き、景気や人間関係に左右されないキャリアの築き方を紹介している一冊。

将来やりたい仕事の構成要素を考えよ

1つの仕事や職業を作り上げている要素をコンテンツとして考えること。自分で面白いと思うこと、興味をそそられること、刺激になること、やりがいがあると思うことは何か。この手の質問に答えることが、第1のステップだ。自分がどんな経験をして、どんなスキルを獲得したいのか。自分のキャリアのコンテンツを考えておけば、今よりずっと厳しい状況で転職やキャリア変更の必要を感じても、不安はかなり抑えられる。

キャリアの早い段階では、特定の職種よりもコンテンツを重視すべきだ。たとえ新入社員向けの仕事であっても、自分が引き受ける仕事の内容は注意深く検討し、本当にやりたい仕事に就くために必要なスキルと経験を身に付ける機会となるかを確認すること。

成功の足固めをするなら、ふさわしいコンテンツを含んでいるとわかっている仕事のカテゴリーを越え、今まったく知らない仕事について学ぶことにもなる。それにはリサーチが必要だ。時間を割いて人と話し、人脈を作るということだ。成功の可能性を最大限に広げるには、選択肢のことを理解しなければならない。

 

自分のストーリーを売り込め

どんな面接でも、採用側は「能力」「意欲」「相性」を見ている。そして、ある職を得られるかどうかは、学歴と経験・実績、そしていかに自分自身と自分の能力を売り込むかにかかっている。ほとんどの場合、採用を決める主な要因は、応募の必要条件とされる経験ではない。つまり、就職活動のプロセスは営業活動と同じだ。採用されるかは、面接者が本音では何を買おうとしているのかを理解し、買おうとしているもの(自分の経歴と経験)をいかに売り込むかに大きく左右される。

社会人として働いた経験が5年以上あり、そこから基本的なビジネススキル(マーケティング、財務、プレゼンテーション、マネジメント)を得ているなら、ほぼすべての業界に通用し、売り物になる基本スキルが身についていることになる。まずそのポストで成果を出す要因を見極め、自分のスキルや経験問いう点と点をつなぎ、求められる人物像に仕立てることで、面接官に適役だと納得させるのだ。

 

昇進するために必要となる4つのスキル

およそどの職種でも、企業や専門職のトップに昇りつめる人が共通して持つ「戦略的スキル」がある。

①プレゼンテーションスキル(集団の前で効果的に話す能力)
②マネジメントスキル(チームを管理・指導し、目標達成に導く能力)
③分析スキル(最低でも数字を問題なく使いこなせる能力)
④営業スキル(自分の意見で他人に影響を及ぼす能力)

これらのスキルは技術や職務に関係するスキルとは違う。キャリアを始めた時から5年間は、戦略的スキルを育てるチャンスのある仕事や任務を経験できるよう自分で努力すべきだ。これらのスキルは組織内で昇進していくために不可欠であり、転職活動でも他社の買い手に評価される。

自分が就く可能性のある職務の評価材料として、重要なのが自分がその役割を終えた時にどのような経験と専門知識を得ているのかということだ。ある仕事を検討する時は、戦略的スキルのどれかを身に付ける機会があるかを検討すること。

 

周囲の環境に影響を与えよ

成果貯金とは、職務をきちんとこなし、個々の仕事で優れた成果をあげることで生じる信用や評判、強みのことだ。常に期待される以上の結果を出すと、成果という貨幣の貯金ができる。

成果貯金 =(知性+経験+効果的な実行)× 頻度

成果貯金がなければ、昇進も認知度を上げるような任務に抜擢されることもない。新しい組織に入ったら、早いうちに点数を稼ぎ、成果貯金を手に入れることが必要になる。成果貯金をするために一番重要なことは、実行する前に何を成功とするのかを決めていくことだ。まず成功を評価することになる関係者からの同意を得ることだ。そして、周囲の環境に影響を与えることができれば大きな成果貯金ができる。

 

同じ職務を続けるだけのキャリアは通用しない

今は1つのキャリアにこだわり、同じ会社で20年、30年も同じ仕事をすることに意味がなくなっている。技術の進歩で産業もビジネスも大規模な再編、再定義、分断を免れず、場合によっては潰されることさえある。現在は、1つの企業が業界の首位の座を10年間守ることさえ難しい。

ごく最近まで別の会社への転職は職務上でマイナスになると考えられていた。それが今日では、これまでと違うアプローチでキャリアプランを立てなければ、成功はおぼつかなくなっている。より現実的なアプローチは、5年を1つの単位として、6〜8単位のキャリアを考えることだ。このキャリアは5〜6社にわたる可能性がある。成功を望み、世界をリードする産業のトップ企業で働きたいと望むなら、こうした転職は当然のことになる。

1つの会社に長く居続ければ、とりわけ同じ職務を続けていれば、いずれは仕事の基盤(報酬、影響力、成功)が脅かされることになるだろう。

出世コースを事前に調べよ

あらゆる企業には、組織の最上層に通じるキャリアパスがある。仮に仕事の能力に問題がなく、昇進の希望が叶わないとすれば、今のポストから希望するポストへの異動が組織にとって「考えられない」ということだろう。

組織に入って働き始める前に、その組織の環境とそこで働いている人について調べておくことは重要だ。上位の役職の人達がどのように選抜されたのかは、企業のウェブサイトで役員幹部の略歴を見ればいい。また、採用面接は、希望する職種がどの程度出世コースにつながっているかを判断できる絶好のタイミングである。質問の機会をもらった時に確認してみること。