革命はいつも、たった一人から始まる

発刊
2020年12月9日
ページ数
295ページ
読了目安
269分
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他者との違いを出すために必要な心構え
公立高校の校長などを務め、教育改革を進めてきた著者が携わってきた数々のユニークなプロジェクトを紹介しながら、新しい価値を生み出すために必要なことを語っている一冊。同質化しやすいネットワーク社会において、他者とは異なる発想を持つにはどうすれば良いのかが書かれています。

他者との違いを出すことを意識せよ

今はネットワーク社会から「超ネットワーク社会」に移行しつつある。これからの10年間における最大の変化は、世界の50億人がスマホでつながることだ。脳内のイメージが共有され、そこにAI武装したロボットもつながってくる。
この時に気を付けなければならないのは、すべての良いものが画一化していくことだ。「いい商品」や「いいもの」が無限に似てくる。50億人に普及したスマホは、もはや巨大なマスメディアだ。スマホを猛然に利用しつつ、意識のどこかではスマホとの距離を保たないと周囲と似てきてしまう。

 

他者との違いを出す時に大事な力として、プレゼンする情報の編集力がある。「情報編集力」とは、明快な正解がない問題に対して、仮説をたくさん出し、その中で自分が納得し、しかも関係者をも納得させられる仮説(納得解)を、アタマを柔らかくして縦横無尽に紡ぎ出す力のこと。正解はないから、「納得解」は状況に応じて創り出さなければならない。
これは、要素を掛け合わせる掛け算の力でもある。AとBという要素を単純に足すのではなく、掛け算することで付加価値を画期的に上げたい時に使う力だ。今のような成熟社会でビジネスの問題を解いていくには、課題設定を含めて情報を編集する力が大事である。

 

自分のマインドを処理脳から編集脳へ変えようという時は、自分プレゼンを練習すると良い。出会った相手にすぐ名刺を渡すのではなく、自分のキャラの中からどこかを切り出して相手に渡すという練習をする。自分が一番わかっているはずの「自分のキャラ」という土俵で、自分という情報をどんな風に編集して渡せば相手が和んでくれるか。「つかみ型」の自分プレゼン術を練習すべきだ。

 

人生の1割をバカげたことに投資せよ

個人と組織の両方のイノベーションにとって鍵となるのは、「狂気」をどうマネジメントするかである。なぜなら、個人の中の「狂気」を起動しないで、現状を革新するのはそもそも無理があるからだ。会社がイノベーションを望む場合、社員を熱狂させなければならないし、開発チームのチームビルディングが上手くいくのは、リーダーのちょっとした「狂気」にメンバーが恋する時だ。恋をするから120%、200%の力が発揮される。
「狂気」は、その芯に寄ってくる同じ志を持った「同志」をくっつける接着剤の役割を果たし、それがやがてドラマチックな「物語」に進化していく。

 

まず、コロナ以前の「目の前の常識」に疑問を持つことから始めればいい。リーダーまたはリーダーになりたい明日を拓こうとする人間の発想法の基盤になければいけないのは、常識や前例を疑うことだ。常識は次の時代には非常識になるものだから、すべて疑うくらいでちょうどよい。

世間の「常識」や「前例」をそのまま採用することが「コトなかれ主義」につながる。ただでさえ同調圧力の強い日本では、皆が似たような状態になってしまいやすい。だからこそ「正常」や「平均」や「標準」から距離をとるために、あえて「ちょっとだけ狂う」ことにする。
そのために、自分の人生の1割を「バカげたこと」に投資すると良い。自分の人生の一部分、1日1時間でもいいから「バカげたこと」に投資をしてみることで、それまでの人生では見ることができなかった景色を目にすることができる。それが内にある健全な「狂気」を育てることになる。

 

革命はいつも、たった一人から始まる。その革命はまず、あなたの内側に生じる革命でなければならない。