基準があれば迷わない
スピード決断力を身につける決め手は、自分なりの決断の基準を確立してしまう事である。迷ったまま動けなくなってしまう人は、基準がないため、どのように決めて良いかわからない。本来はすぐに決断し、結果を出す事に集中すべきだが、決断するまでの心の迷いに意識が集中してしまう。
スピード決断に至る思考システムを確立させること、つまり決断の基準があれば迷う事はない。基準がある人は、自分の中で筋の通った決断ができ、他人の意見に左右される事がなくなる。基準を設ける事は、スピード決断のための第一歩であり、実に多くのメリットがある。
決断の基準をつくる
優先順位を「重要度」と「緊急度」の2軸で仕分ける方法は有名である。しかし、この方法は現実には機能しない事も多い。「緊急度」や「重要度」の判断は、何で行うのかという問題があり、他人にコントロールされる危険性がある。問題点は、タスクの期日や依頼者などに依存して、どこに振り分けるか判断しているところにある。
スピード決断の基準は「正当性」と「スピード」の2軸で決める。自分の信条に合うかという「正当性」と、どのくらい素早く決めてどのくらい速く結果が出るかという「スピード」によって、タスクを仕分けていく。
①正当性あり×スピードあり:今すぐ決断して取り組む
②正当性なし×スピードあり:別のタスク内容へ組み入れる、または捨てる
③正当性あり×スピードなし:①を終わらせてから取り組む
④正当性なし×スピードなし:一時忘れる
この時、大切な事は、最も重要な正当性とスピードの2つの基準がブレる事なく、常に自分の中できちんと説明できる論理性をもって決断する事である。自分にとって本当に大切な事は何か、自分の考えを大切に扱う事が、正しい決断ができるコツである。「スピード」と「信条」は、あらかじめそれぞれ設定する事が必要である。
選択肢をつくる
速く、精度の高い決断をするためには手順がある。瞬時に選択肢を考え、論理的にそれぞれの選択肢を分析し、その選択肢の中から合理的に最高の決断をする。
有名なフレームワークにも、状況を理解し、課題を考え、解決策を示す流れを説明したものがある。
①「ソラ」を見て、現状を知る。
②「アメ」が降りそうだと、出かける上での課題を予測する。
③「カサ」が必要だと、解決策を見出す。
ここに改良を加えて、選択肢をつくるためのステップを入れる。
①「ソラ」を見て、決断する際の状況を正しく理解する。
②「アメ」が降りそうだと、出かける上での課題を予測する。
③「カサ・カッパ」など、選択肢をつくり、精査して解決する。
大きな結果をもたらすであろう決断の際には、最高の選択肢を用意し、論理的な理由で1つを選ぶ事が重要になってくる。決断する時点では、未来は当然の事に不確実である。選択肢を数多く用意できる方が、選択肢が1つしかないより決断の価値は高い。
1つの決断に対し、自分の基準に矛盾しない3つ以上の理由を持つようにすると、正しい決断ができる。正しいスピード決断のためには、選択肢をつくる際に創造的である事が重要である。そこでAとBの両方を同時に実現する方法を創造する「ANDの思考」を持つ事が大切である。