「自分」を殺すな、武器にしろ

発刊
2020年12月7日
ページ数
192ページ
読了目安
217分
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自分の才能のタネを見つけ、育てる方法
自分の強みを自覚し、育てることが自分を高める最も効果的な方法である。ギャラップ認定ストレングスコーチとして、多くの人の強みを引き出し、育てている著者が、自分の才能を見つけ、育てる方法を紹介している一冊。

自分の強みを育てよ

これからの人生を今よりもっと充実させたいなら、自分をもっと輝かせたいなら、「弱みを克服しようと努力するのではなく、自分の才能のタネを自覚して強みに育て上げる」ことが大切である。弱みだけに意識を向け続けている時間は、やる気も起きず、やりがいも感じられない。弱いところを伸ばそうと努力しても、ほとんどの場合、目に見えるような成長は期待できない。それよりも「自分だけの武器」にできるような才能のタネを育てることに力を注ぐことである。

すべてが人並み水準にこなせる必要はない。人はそれぞれ違っていて、誰しもが強みを持つことができるという考え方のもと、強いところをさらに強化し、弱いところは思い切って捨てることである。

 

優れたリーダーに共通するのは、自身の強みと弱みを正確に把握していること。そして、自分が「できないこと」に対しては「克服」ではなく「補う」「借りる」という考え方を持っている。つまり、何かを成し遂げるには一人で立ち向かうのではなく、誰かと協力することを前提にしている。自分の武器は惜しみなく提供し、他の人たちの武器を把握して「成功への道筋」に組み込んでいく。

 

自分の強みを自覚して活用するには、順番が大切となる。

  1. 自分を知る。
  2. 才能のタネを見つけて育て、強みへと成長させる。
  3. 強みを他者のために生かす。

 

自己認識の精度を高める

自己認識とは、自分が「どのような人間か」をわかっていること。研究によれば、「95%の人は自己認識ができていると思っているが、実際には10〜15%の人しか正しい自己認識をしていない」と明らかにされている。最も「大人」が陥りがちな錯覚「年齢と自己認識は正比例する」というのは迷信である。むしろ年齢を重ねれば重ねるほど、自分の外にある情報や選択肢は増え、自分が蓄積してきた体験や経験の多様性にも気づき、自己認識に揺れが生じてくる。

 

自分の強みを知るには、この自己認識の精度を高める必要がある。自己認識とは「無意識を主役にする行為」である。無意識とは、自分では気づけないもの。意識をしなくても勝手に出てしまうもの。無意識下の行動にこそ、生まれ持った才能や信念、他人に振り回されない本当の思いがある。

ただ、無意識であるがゆえに、自分自身の才能や気質、思考の癖、感情に気づくことは容易ではない。見る努力、知る工夫をしなければならない。

 

自己認識の精度を高めていくと、「私は他の誰でもない」「私には、私だけの強みがある」と思えるようになる。そして、自分自身への理解が深まれば、自然と他者にも関心を持てるようになる。「相手はどのような才能を持っているんだろう」「あの人のために何かしてあげられることはないだろうか」、そんな風に思えたら、自分自身が持つ才能のタネを開花させることができるはずである。

 

自分の才能のタネの見つけ方

①キャリアの棚卸しをして、自分の過去の経験から学び、見つける。

②定期的に自分自身の行動や感情の振り返りを行う。

③他者の行動にイライラする場面で、自分が当たり前にできることに気づく。

④他者から頼られ感謝されたことは何かを考える。

⑤他者からフィードバックをもらう。

⑥普段から、親しい友人や同僚、知り合いに、自分について質問してみる。

⑦定期的にコーチングを受ける。

⑧ひとり旅で自分自身を見つめる。

⑨自分を表現する応援歌(キーワード)をつくる、つくってもらう。

⑩クリフトンストレングスなどの才能診断ツールを利用する。

 

才能のタネは他者のために使う

右肩上がりで自分自身を成長させていくためには、十分に才能を自覚して強みを発揮できている時期に、思い切って「自分のために」から「あなたのために」に切り替えていく必要がある。つまり、自分の強みを、自分のためだけに使うのではなく、他者のために使っていくのである。

 

人は結局「自分のため」だけには頑張り続けられない生き物である。一方、「あなたのために」の精神で他人を輝かせることができると、自分も嬉しくなる。誰かのために貢献できた喜びや、その過程で生じる変化が与えてくれる刺激は自分の強みの使い道を広げ、成長曲線の勾配をさらに急なものにする。