コマツ式グローバル経営
①経営も現地に任せる。
現地に未着した人が代理店を経営することで、その土地の情報が集まる。また、経営に関しても現地に任せるのが基本方針になっている。
②「流通在庫ゼロ」の仕組み
代理店が在庫を持てば、運転資金が膨らみ、収益を圧迫する。そして代理店が在庫を抱えすぎると値崩れを起こす。メーカーにとっても在庫の量が把握できない。
流通在庫ゼロにするにあたっては、ICT(情報通信技術)システムを在庫ゼロを前提に設計し、前線の販売動向を瞬時に把握できるようにしている。
③市場を「見える化」する。
建設機械の1台1台に「コムトラックス」というシステムを標準装備させている。GPSやエンジンコントローラー等の通信機能が付いており、機械の稼働状況を把握している。現場で機械がどの程度稼働しているのかを把握することで、需要の先行きが予測できる。
④基幹部品は国内集中生産
生産は「需要のあるところでつくる」が原則。但し、基幹部品は国内で集中生産している。生産と開発の現場を近くに置いて、毎日顔を合わせて仕事させることで、軽量化のようなイノベーションを実現させている。
「ダントツ商品」の開発
平均点主義をやめて、得意分野を伸ばす。そのためにはまず「何を犠牲にするか」を営業と開発に合意させる。性能とコストはトレードオフの関係になる場合があり、どちらも成立させようとすると突き抜けた商品は出てこない。
「ダントツ商品」として認定されるには、次の条件を満たす必要がある。
①重要なスペックや性能で、競合が数年かかっても追いつけない特徴を持つ。
②従来製品に比べ、原価を10%以上下げて、コスト余力をダントツ実現に使う。
③「環境」「安全性」「ICT」をキーワードとする。
原価を10%削減するには、開発と生産が早い段階で協業する必要があり、お互いの距離が近くなくてはならない。距離が近くないとイノベーションが生まれにくい。
「ダントツ商品」として生まれた代表例にはハイブリッド建機がある。燃費向上により、長時間機械を稼働させる中国では、価格が高くても人気商品となっている。
コマツの経営の基本
①取締役会を活性化すること
②社員とのコミュニケーションを率先垂範すること
③ビジネス社会のルールを遵守すること
④決してリスクの処理を先送りしないこと
⑤常に後継者育成を考えること
最近は社内公用語を英語にするという企業があるが、本当にグローバル企業として成功するためには、価値観や行動様式の共有が最も大切である。