Googleの脳みそ―変革者たちの思考回路

発刊
2011年7月26日
ページ数
383ページ
読了目安
572分
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閉塞感を破るための処方箋
閉塞感のある日本において必要なのは、変革者たちの思考回路、即ちGoogleの脳みそであると説く。現実に即さない法規制やルールを前に、何も疑わずに従っていれば、ルールは変わらない。
検索、ストリート・ビュー、ユーチューブ、Googleブックス。著作権やプライバシー問題の批判を浴びながらも、それが社会のためになるのであれば、行動することの大切さを説いている。

Googleの脳みそとは

「社会にとって良いことだと思えば、まず果敢に挑戦する」という精神こそ『Googleの脳みそ』である。また、「未来を創り出す興奮」に駆られた企業人などの背中を押す社会の仕組みを「やる気システム」と呼ぶ。
この2つが、成熟した社会の雇用を生み、経済成長を促す。

世の中には実態にそぐわないルールがある。しかし、社会の仕組みや私たちの行動を縛るルールは不変ではない。その気になればルールの内容や運用を変えることができる。私たちには、日常の風景を左右する様々なルールの妥当性を常に問い、これを主体的に見直していく姿勢が求められている。

ルールを創り変えるには、ルールに盲目的に服従することではなく、不適切な内容や運用実態だと考えれば文句を言うことである。そのためには自分の脳みそで考える癖をつけておく必要がある。そうでなければ、本質が見抜けず、有名人や権威を持つ者の言動や周りの空気に流されることになる。

Googleの思考回路は「許可をもらうより謝る方が楽だ」という発想である。この発想は「社会にとって良いことだと思えば果敢に挑戦するのが正義である」との確信に支えられている。
日本の大企業は「社会のために良いことだ」と思っていても、法律上の懸念が少しでもあれば、まず役所などに相談して了承を取ろうとする。「お伺い主義」が経済の活力を削いでいる。

 

謝る方が楽だ

新しいビジネスが合法なのか違法なのか、はっきりしないグレーゾーンの場合、日本の上場企業経営者のほとんどが事業計画を断念する。しかし、グーグルは違う。サービス開始前から、検索サービスは著作権侵害、グーグル・アースやストリート・ビューは、プライバシーの侵害と批判されることが予想されていた。
しかし、同社は「許可をもらうより謝る方が楽だ」として、猛烈な反発を受けた。しかし、今ではこれらのサービスは、一部の国を除き広く利用されている。

2009年の著作権法改正により、ネット検索サービスにおいて規制緩和がなされた。しかし、まだ不十分との声があり「フェアユース規定」導入の是非がある。これは著作物の使用について、公正な利用なら無断、無償利用できると規定したもので、使用量や目的、性質など利用条件の是非は裁判所の判断に委ねられる。

ルールは一般に明確であることが望ましいが、ルールが実態にそぐわず改正が機動的でないと国際競争力を削ぐだけでなく、利用者も損をする。企業人は「ルールを創る」という意識を持ち、法律の内容が現実には不適切な場合には、声を大にして動かなければならない。