これからの営業は非接触の時代
コンタクトレス・アプローチとは、顧客へのリアル訪問(コンタクト)を減らし、WEB等を駆使してアプローチ数を増やすことで、より大きな成果を挙げる一連の営業行為のことを指す。
「会う」という行為を減らすことで生じた時間や労力を、アプローチ数を増やすことに使い、全体のパフォーマンスを上げていく。訪問(アプローチ)数は、リアルの場合は移動時間などを考慮すると1日3件程度。それに対してWEB商談の場合は、移動の必要がない分、それよりも多くこなせる。コンタクトレス・アプローチでは、アプローチ数を増やすと共に、移動のための「時間」や「経費」を削減する。
WEB商談であれば、移動を考えずにスタート時間を決めていい、1時間単位で商談時間を確保しなくてもいいという意識改革をすることで、アプローチ増につなげることができる。さらには、「来客のコストが削減できるので気軽に会うことができる」という取引先のメリットもある。
コンタクトレス・アプローチの進め方
企業のホームページは、すべての営業活動の基盤となる。新しい会社の存在を知った時や、営業担当者と名刺交換をした後など、興味を持った際に人が必ずチェックするのがホームページである。コンタクトレス・アプローチを始める機会に、改めてホームページをしっかり整備しておくこと。
コンタクトレス・アプローチを推進していく時、ホームページの中の「資料請求・問い合わせフォーム」を充実させるのが大切である。その目的は、問い合わせ者のメールアドレスを手に入れること。営業のアタックリストを作成することにつながる。簡単なアンケートや資料請求、情報提供などをフックにして問い合わせフォームへの入力を誘い、スムーズにメールアドレスを入手する仕組みは最低限作っておくべきである。
新規の見込み客に対してコンタクトレス・アプローチを行う際には、決められた手順に沿って進めることが大切である。
STEP1 認知:「△社の○○さんという営業担当者」と知ってもらう
メールアドレスが入手できれば、営業担当者は、投網を投げるようなイメージで一斉にメール配信を行える。コンタクトレス・アプローチはここから始まる。メール配信は、送りっぱなしではほとんど効果がない。電話番号がわかっている場合は、フォローコールでより認知を確かなものにする。新規開拓の大変さは、コンタクトでもコンタクトレスでも変わらない。コツコツと努力するしかない。
STEP2 信用:「○○さんは、こういうことをやってきた人なんだ」と感じてもらう
メールや電話、SNSやブログなどで丁寧に発信を続けていくと、営業担当者の人柄や企業の姿勢が伝わり、「信用」が育ち始める。頻度に気をつけながらも定期的に発信や更新をしていく。営業の仕事で必要なのは「顔を見せてもらえる」レベルの関係性である。そのためには、こちらの「顔」を相手に見せることを考えなければならない。そのための手段の1つとしてYouTubeの活用がおすすめである。
STEP3 信頼:「○○さんの話なら、聞いてみようかな」「△社ならきちんと対応してくれそうだな」と期待される
期待され、頼りにされる存在になるためには、「先生」のポジションにつかなければならない。特定の分野についてはこの人に聞けば教えてもらえる。そう思って頂くことを目指す。最も効果的なのは、セミナーの講師をやってみることである。コンタクトレスで行う場合はWEBセミナー(ウェビナー)である。講義は30分もあれば十分。
STEP4 受容:「○○さんになら会ってみたい」と受け容れてもらう
WEB商談で大切なのは、先方が「顔を見せてくれる」ことである。お互いに顔を出し合って、WEB上で話を進めていく。本音を引き出したい。何に困っているのかの詳細を知りたい。そうすれば、こちらから提案できる内容の確度も高くなる。
モノやサービスを売る側と買う側という関係を超えて「同志」になる。それが、コンタクトレス・アプローチによって目指すゴールである。