「いい努力」と「悪い努力」
努力には「いい努力」と「そうでない努力」がある。一般に「努力することはいいことだ」と思われている。しかし「努力をすればいい」と思った瞬間、大事な点を見失ってしまう。問題は、労力やかけた時間ではなく、努力の質にある。
「いい努力」は何となくできるものではない。常に行動の質を自覚し続けないことには「とにかく時間をかける」「がむしゃらに頑張る」というパターンに戻ってしまう。「いい努力」には7つのポイントが挙げられる。
①「成果」につながるもの
②「目的」が明確なもの
③「時間軸」を的確に意識しているもの
④「生産性」が高いもの
⑤「充実感」を伴うもの
⑥「成功パターン」が得られるもの
⑦「成長」を伴うもの
努力の質を変えよ
①遠くの「大きなゴール」を目指す戦略なしに動いていては、いい努力はできない。戦略とは選択であり、選択とは捨てることである。どんな場面にも、仕事のどの部分に注力し、どの部分を捨てるかを選択し、最終的に勝つ戦略を立てなければならない。仕事において「何を捨てるか」を考える際には次の2つにフォーカスすべきである。
・この仕事の目的は何か?
・どれくらいの期間で成果をあげればいいのか?
大切なのは「どの期間に成果を最大化させるべきか?」を意識することだ。
②「アウトカム志向」を持つ
いい努力の決め手となるのは「アウトカム(=成果)志向」が強いかどうかだ。「この時間、この行動でどんな成果が出るか?」を常に意識するということだ。「この仕事をした結果、どんな変化が起きるか?」と考えながら作業に取り組んでいると、より良いアウトカムにつながる確率は上がる。
③「人に頼むことも責任」と考える
「責任を持つこと=自分が全部やること」と思い込み、悪い努力にはまる人が多い。自分がやるべきところは自身が最大限努力し、人に頼んだ方が効率的にも質的にもよくなるところは頼み、最終的にベストの成果につなげる。これが「責任を持ってやる」ということだ。
④まずは「手ぶら」で話をする
「とりあえず」書類を作るのは時間の無駄でしかない。「紙切れ書類」を作ってしまう理由は、「書類=仕事」という無意識の刷り込みと「手ぶら=準備なし」という先入観だ。上司の意図やミーティングの目的を明確に理解しないまま資料を作ったところで、やり直すはめになる。
⑤「考える時間」を作る
効率的にパッパッと解決できるものもあれば、現状の徹底した分析が必要だったり、これまでにない革新的な案が必要だったりすることもある。大きな成果を手にするには豊かな思考力、発想力が求められるが、効率主義に走るとその部分が痩せてしまう。
⑥常に「フロントローディング」する
「フロントローディング」とは、最初の方に時間や労力を大きく投資して、後半に発生しそうな問題を防ぐ手法である。フロントローディングのポイントは次の通り。
・情報共有を最初にする
・大きな方向性を最初に検討する
・面倒くさいことを最初にやる
・心理的に負担がかかることを最初にやる
・初期段階で人を巻き込む
⑦面倒でも「チームプレイ」を心がける
いい努力をするには、一人でやる仕事と複数でやる仕事、両方をこなせるようにならなくてはならない。
⑧「リスク」をとる
絶対にこうすべきだということについては、自らリスクをとるべきだ。「やらなければならないこと」を定義したのが誰なのか、前例や慣習で判断されている場合には疑ってかかるべきだ。