仮説を立て検証する問題解決思考が必要
ビジネスリーダーには、仮説に基づいて、問題解決を前に進める力が求められる。体験したことのない難しい問題に立ち向かうには、単純に情報を集めて、演繹法や帰納法を使って、結論を導きだす考え方だけでは戦えない。
実務で使える問題解決力を身につけるには、次の2つのポイントが重要である。
- 迷子にならないように、自分なりの全体像を持っていること
- 筋の良い仮説を出す勘どころを持つこと
問題解決で迷子にならないためには、事業全体の問題解決に取り組むための地図である「問題解決マップ」がある。
問題解決マップ
①現状分析
問題解決で一番大切なことは、きちんと分けること。分けることで実態が明らかになる。物事を分ける時には、こだわりを持って分けることが大切である。こだわりを持って分けるポイントは3つ。
- 分けた部分ごとに差がある筋の良い分け方をする
- 常にMECE(漏れなくダブりなく)を意識する
- 問題解決の対象である主語を意識しながら仮説を出して切り口を作ってみる
②問題認識
問題とは、組織人として自分が本当に解決したいと思う「あるべき姿」と「現状」の差である。問題認識をする際には、心が適切に動いていることが大切である。こんな現状は許せないとイライラしているのか、こんな未来を実現したいというキラキラした思いを持っているか。自分のイライラやキラキラを探すためのポイントは3つ。
- 本当に解決したいと思っているか?
- 立場に合わせて、自分の問題として考えられているか?
- あるべき姿は具体的になっているか?
③情報収集
問題が特定されたら、次は原因を探す。まず考えられる原因を仮説として出していく。筋の良い仮説を出せるようになるために必要となるのが「事業部長の視点」である。起きている問題の背景で何が起きているのか、目線を上げて、俯瞰的な視点で仮説を出していく。
企業は戦う市場を選び、ターゲットにする顧客を選び、商品・サービスを提供し、具体的価値を提供する。また、その魅力を伝え、実際に顧客にアクセスし、商品・サービスを提供する。自社のバリューチェーンを強化し、そのバリューチェーンを支えるための組織を整備する。その結果が売上や利益という会計数値として表れる。また、その市場におけるシェアという数値で競争力として表れてくる。こうした事業部長の視点で原因と結果の関係性の法則を知ることで、筋の良い仮説を出すことができる。
原因として考えられる典型的パターンには次の7つがあり、これらを知っておくことで仮説を立てられるようになる。
- 市場に変化が起きているのでは?
- ターゲットセグメントに変化が起きているのでは?
- 顧客ニーズを満たせていないのでは?
- 顧客に自社商品・サービスの魅力を届けられているか?
- 顧客価値を継続的に提供するバリューチェーンを構築できていないのでは?
- バリューチェーンを支える組織に問題はないか?
- 外部環境に大きな変化はないか?
④課題抽出
情報を集めたら、1つ1つのデータとして、個別に解釈するのではなく、本質的な課題は何か、統合的にまとめる。多くの情報から全体として何が言えるのかまとめるには、3つのポイントがある。
- 複数の原因の中で最も影響度が大きい原因を課題として捉える(80対20の法則で考える)
- フレームワーク(3Cなど)を意識してまとめてみる
- 表現方法を工夫する
⑤解決策の方向性
会社のどこを変えていくのかを明確にして、大きな方針を出す。こんなことができたら面白いとアイデア発想に走る前に、会社のどこを変えていくかを考えていく。特に事業全体の問題解決に取り組むためには、競合に勝てる理由を用意することが大切である。そこで有効になるのが次の4つの戦略論である。
- コスト・リーダーシップ戦略
シェアトップ企業が規模を活かして、安い価格で高品質の商品・サービスを提供する。 - 差別化戦略
特定セグメントの顧客ニーズに応えるためにバリューチェーンを強化する。 - 顧客ロックイン戦略
お客様に買い続けてもらうために囲い込む。 - ソリューション戦略
お客様のご要望に応える対応力を用意するために組織・人材を強化する。
どの戦略論を使うかを考えた上で「経営者の視点」で、「経営資源の活用」「経営資源の獲得」「競争戦略」「ビジネスモデル」の4つから、解決策の方向性を考える。
⑥アイデア創出
思いつきのアイデアを本当にインパクトのあるアイデアに進化させるには次の3つのポイントがある。
- 直感で多くのアイデアを出してみる
- 直感で出したアイデアをロジカルに拡げる
- 面白い人になりきってみる
⑦評価
解決策として考えたアイデアは、冷静に選ぶことが大切である。そのためには次の3つがポイントとなる。
- 判断軸(業績インパクト、コスト、時間)を作り、アイデアを選ぶ
- 問題解決のストーリーを描く(KPIを考えてストーリーを明確にする)
- プレゼンのシュミレーションを行う