セス・ゴーディンの出し抜く力 先がわかる人は、何を見ているか

発刊
2016年11月24日
ページ数
285ページ
読了目安
387分
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上級者と中級者の違い
米国屈指のマーケット戦略家セス・ゴーディンが、成功するためのメソッドを書いた一冊。中級者と上級者を分けるものは何かについて、書かれています。

チャレンジと失敗を通して知識は得られる

知識のほとんど、特に体系的な知識のほとんどは「チャレンジ」と「失敗」を通して得られる。「失敗」は、望むと望まざるとに関わらず、起こる時は起きてしまうものであり、これは避けがたい。しかし、「チャレンジ」はとりわけ一部の組織においてかなり不足している。人々は間違うことを恐れてチャレンジを回避しようとするが、これは大きな誤解である。

知的労働者にとっての怠慢とは、難しい知的労働を避けようとすることだ。重要な仕事をしたかどうかは、数や長さでは測れない。本能をつかさどる爬虫類の脳に従って、短絡的な忙しさを選んではいけない。あえてそれとは逆の方向へと行くべきだ。

天才とは、それまでにないような方法で問題を解決する人のことである。洞察力や独創性を働かせて、新しい解決策を見つけようとすることである。実際、天才と呼ばれる人々は、解決策を見つけるまでに何十回も失敗している。自分の中の心理的な抵抗によって身動きが取れない時、唯一の正しい反応は、どんどん失敗することによって何度でもその力を押し返すことである。

実行に移すことが大切である

何かつくり出すことにおいて一番の難所は「それまで誰も思いつかなかったことを思いつくこと」ではない。本当に難しいのは「思いついたことを実行に移すこと」である。

多くの人は、何か大胆で、リスキーで、しかしクリエイティブでパワフルで、ワクワクするような期待に溢れたものがすぐ目の前にやってきても、おそらく見て見ぬふりをして、逃げ出すだろう。自分にそのワクワクするような期待感が芽生えるまでの瞬間、彼らはその貴重な瞬間から目をそらし、手を伸ばそうとしない。勤勉で手際が良く、運と才能に恵まれていることより、大切なことは「見て見ないふりをしない勇気」である。

リスクを負って自分を鍛えることが「必死で働くこと」である

ワーカーホリックだからといって、必死に働いていることにはならない。「長時間労働」と「必死に働くこと」とは別の問題だ。現代で必死に働くということは、単なる時間や量の問題ではなく、熱心さがものをいう。例えば、会社を辞める、独立して何かを始めるといった重大な決断を下すことも「必死に働くこと」である。新しいシステムやサービスを考え出すことも「必死に働くこと」である。「必死に働く」ということは、リスクを負うことにほかならない。それは失敗への恐れや、目立つことへの恐れ、拒否されることへの恐れなど、自分が直面したくないような状況にあえて立ち向かう時に始まる。「必死に働く」ということは、こうした障壁を飛び越え、自分自身を鍛えることである。

可能だけれど誰もやらないことに価値がある

何かを始めるかどうか決める時、それがいかに簡単にできるかによって判断することが多い。しかし、この判断には問題がある。もしそれが簡単にできることなら、やる価値はあまりないからだ。成功している企業が求めているのは、この「可能だけれど誰もやらないこと」である。

ビジネス書の活用法

ビジネス書ではよく方法論が箇条書きにされているが、それは決して「成功の要点」ではない。もし何か「具体的な方法」を求めているなら、探せばすぐに見つかるだろうが、そんな読み方をしても得られるものはない。箇条書きでは読者にその本の著者と同じような視点は伝わらない。

本の目的は、何かを変えるように読者を説得することではなく、何を変えるかを読者自身が選ぶ手伝いをすることである。ビジネス書の唯一最高の活用法は、それを他人と分かち合うことだ。必要な人にその本を手渡し、行動を起こさせる。本は思い出であり、情報の容れ物でもあるが、読む人にやる気を起こさせるきっかけにもなる。