FCビジネスの問題点
FCビジネスとは、起業を目指す方々に対し、本部がブランドの使用権を貸し、事業運営のノウハウ、独自の商品とサービス、販売ツールを提供して、ビジネスを成功に導くというものである。その対価として、本部はブランド使用料や加盟金を頂く。
加盟者には、事業を進める上で必要な、基本的なノウハウやツールは本部が提供してくれる。従って、単独で事業を起こすよりも事前に準備することが少なくなくて済み、比較的短時間で事業を開始できる。
しかし、ここに問題が潜んでいる。これは本部側が多くのノウハウ情報を保有する一方で、加盟者側がほとんど情報を持たないという、情報に偏りがあるところから生じる。情報を保有している側が圧倒的に優位に立つため、知らず知らずに、保有していない側に不利な条件を押し付けてしまう場合がある。
オンリーワンのFCモデル
さらに問題は、事業の体制を整えたものの、簡単に仕事が取れない、つまり売上が上がらないという問題である。FCには「店舗系FC」と「無店舗系FC」という分類がある。無店舗系FCは初期投資が少なく、比較的簡単に始められるが、お客様を積極的に取りにいかなければ売上は立たない。営業活動が欠かせない。しかし、営業を経験したことのない人が努力しても、おいそれとお客様を開拓することはできない。
さらに売上が上がったとしても、長時間働くことでしか得られないとしたら、手放しで喜べない。オーナーさんがお客様開拓の営業活動をしながら、サービス提供を続けるには、自らの時間を削るしかない。
ダイキチカバーオールのFCモデルは、この3つの問題に取り組み解決できるモデルである。その3つの特長は次の通り。
①加盟業者であるオーナーさんが営業活動を一切しなくて良い「製販分離」のFCモデルであること
②本部とオーナーさんが理念を共有し、利他の心を持って、Win-Winの関係を築いたFCモデルであること
③オーナーさんの「利益」を追求するだけでなく、「生きがい」を提供するFCモデルであること
オーナーさんには、事業意欲の高い方から、ゆとりのある生活ができるだけの収入があればいいと考える方もいる。どちらの「生きがい」も尊重するには、FCの運営をガチガチのルールで縛るのではなく、ある程度の融通を利かせる必要が出てくる。例えば、ダイキチカバーオールでは、オーナーさんが別のビジネスと兼業で稼ぐことを認めているし、絶対にこれだけの件数を請け負わなければならないといったノルマを課してもいない。
このようにルールに幅を持たせながら、FCとしてのまとまりを維持できているのは、本部がオーナーさんたちと積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を醸成してきたからである。
行動方針を浸透させる
FC本部と加盟店はWin-Winの関係だと、一般的にはよく言われる。ダイキチカバーオールも、現実的には両者の利害が対立する場面はしょっちゅうある。利害対立が避けられないなら、お金を払って頂いている以上、いっそ顧客として対応すべきだと思える。ただ、そうなると仕事の本質を一緒に追求することなど夢物語であり、そこにFCビジネスの限界がある。
そこで、FC本部もオーナーさんも手を携えて一緒にイキイキするためには、同志でなければならないことに気づいた。そのためには、利害関係を凌駕する大きな志や目標、理念を共有する必要がある。そこで東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドに答えを見つけた。大人数に理念を浸透させるには「何をすればいいか」をシンプルに伝えるのが最も効果的である。そこでオーナーさんに提案するための行動指針を制定した。