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結果を出すために必要な心構え
4度のオリンピックで4つのメダルを獲得した競泳の松田丈志が、その師である久世コーチと共に、結果を出すために必要なことは何かを紹介している一冊。これまでの選手生活で学んだことが書かれています。
目標との「距離」を知る
結果を出すためには、目標設定が必要である。ビジネスでもスポーツでも重要なのは、「その目標を達成するために何が足りないのか、その目標までにどのくらい距離があるのか」を的確に分析することである。闇雲に遠い目標を見据えるよりも、目先の具体的な目標が置かれることで、練習に挑む心構えは変わる。具体的な数字の目標が生まれることで、自分がやるべきことも具体的になるはずである。
成長につながる日々の記録をつけて、自分を客観視する
明確な目標を持って努力を重ねたからといって、誰もが必ず目指す結果を得られるわけではない。むしろ、人生は失敗の連続。だからこそ、成功する確率を上げる努力や工夫をすることが大切である。そしてそのためには、自分自身を客観視する視点が欠かせない。
4度のオリンピックに出場し、4つのメダルを獲得するに至ったプロセスでは、中学生の頃からつけ始めていた練習ノートが、自分の状態を客観的に見る上で、大きくものを言った。毎日のトレーニングメニューやタイムだけでなく、その日の食事の内容や睡眠時間、練習についての感想などをつぶさに記録した。重要なのは、納得のいくタイムで泳げなかった時に「なぜ、調子が悪かったのか」を客観的に考えてみることである。練習ノートを毎日つけていると、好不調の原因が特定できるようになる。記録することで同じ失敗を防ぐ効果がある。
敗因を模索し、それを認識する習慣を持っておくことは、自分自身と逃げずに向き合うことでもある。そして、負けた要因が明らかになったのであれば、次はそれを排除する努力をすればいい。
他人や環境のせいにしない
目指す結果が得られなかった時は、なぜ自分がその目標に届かなかったのか、その原因を分析する必要がある。敗因を他人や環境に求めがちな人ほど、好成績は生まれていない。「充実した環境がなければ成果を出せない」というのは、言い訳に過ぎない。まして、それを試合で負けた時や仕事でミスをした際の理由にしている人は、なかなか成長できない。
オンオフの切り替えをする
結果を出す人間には、オンとオフを切り替えるのがうまいという共通点がある。ゴムは張り詰めっぱなしでは傷んでしまう。人間もまた、極限に集中した状態を作るためには、リラックスした瞬間を設けることが大切である。がむしゃらに練習する時期も大切だが、「とにかくたくさん頑張った」だけで終わっては意味がない。そこからさらに次のステージに上がっていくためには、気持ちを切り替えて「オフの時間」を持ち、そこで次へのエネルギーを充電することも大事である。
調子の波をコントロールする
調子のピークをどうやって本番に合わせていくか。どれほど優れたトップ選手であっても、次のオリンピックまでの4年間、ずっとモチベーションを維持し続けるのは不可能である。好調な時もあれば、不調な時もある。だからこそ大切なのは、好不調のすべてを受け止め、その波をコントロールする努力をすることである。それはすなわち、自分の心と体の状態をきちんと把握することでもあり、練習ノートのように、自分がどんなことをすれば調子が上がるのかを知っておけば、目指すタイミングにピークを合わせることは必ずしも難しいことではない。