役に立つ情報を届ける
今では15,000円の商品をSNS上で販売すると、300人が購入してくれるが、最初からうまくいったわけではない。フェイスブックをはじめた当初は、自分の洋服のコーディネートを投稿していた。誰かに頼まれたわけでもないのに、誰かのコーディネートの参考になればいいと毎日続けていった。すると、フェイスブックの友達や、そのまた友達の7、8人から「今、短パン社長がはいている短パンが欲しい!。だからつくって!」と言われるようになっていった。
SNSで発信する時に思ったことは、何かほんの少しでもいいから誰かの何かの役に立つ情報を届けたいということ。そう思ってコーディネートや洗濯の仕方、保管の仕方などを展示会に来てくれた人向けのDM「短パン通信」の時のように発信していった。その結果、身近に感じてくれて、ファンになってくれた。
お客さんとの関係性でモノが売れる
今は誰もがモノをたくさん持っている。洋服はそれでもマーケットが飽和しにくい分野だと言われていた。洋服は10着持っていても11着目が欲しくなるもの。それにしても、ユニクロやZARA、H&Mなどによって、洋服をたくさん持つようになってきた。こうしたブランドでモノを買った人たちの周りには、もう洋服があふれていて、「持っていないから」という理由がなくなっている。そういう人たちには、別の買う理由が必要である。そこに「人」が介在する余地がある。
「あの人が売っているから買う」
「あの人がつくっているから買う」
そういう買い物の仕方になっている。12,000円の短パンが売れた理由は、リアルで友達だった人だけでなく、SNS上だけの友達だった人も、まるで既に何回も会っているかのような関係性ができていたのだろう。
いいものをつくれば売れると思っている人が多いが、人は人でモノを買う。モノはどれも似たり寄ったりだから、人が浮かび上がってくる。
売る前にお客さんとの関係性をつくる
目的はお客さんと関係性をつくることであって、SNSをやればいいのではないし、プライベートを見せればいいというわけではない。お客さんと関係をつくるのが目的で、共感してくれる関係であること。その手段としてのSNSであり、手紙である。
最初に「売りたいな」「儲けたいな」が根底にあって、その表面を「お役に立ちたい」で覆っているのとでは、大きな差がある。「お客様のため」と言いながら、自分たちの利益しか考えていないのは、不思議とわかる。
商売をやっている人の多くは、お客さんを選ぶというところまで行きたいはずだが、「それってなかなかできないんですよ」と言う。それは関係性をつくるより先に売ろうとしているからである。
【売れないループ】
売ろうとする→売れないから悩む→関係性をつくろうとする→つくれなくて悩む
【売れるループ】
一緒に楽しむ→関係性をつくる→たまに売ってみる→お客さんを選べる
関係性が先で、売るのはその後でいい。それができたら、お客さんを選ぶことはできる。
投稿して反応から学ぶ
文章においては、圧倒的に質より量でうまくなる。とにかく量を書くこと。文章を書いたら「言っていることがわからない」とか、誤解されることがある。しかし、それを批判と捉えずに、どこがわからないか聞いていく。
すぐに結果を出したいなら、短期間で多くの投稿をすること。投稿に対して反応がどうだったかを学習して、次の投稿に生かしていく。それを延々と繰り返していくしかない。そうして「いいね」を押したり、押されたりして双方向の矢印が行き交ううちに、矢印がだんだん太くなって購入という関係に至る。