六本木発ワールド・ダイニング

発刊
2017年6月1日
ページ数
212ページ
読了目安
219分
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推薦者

長く愛されるレストランのつくり方
「トニーローマ」「ハードロックカフェ」「カプリチョーザ」など長く継続するレストランブランドを展開するWDIグループの経営が語られている一冊。外食ブランドを立ち上げるためのポイントが紹介されています。

外食チェーンの先駆けWDI

WDIは外食事業に参入して2017年で45年。「ダイニングカルチャーで世界をつなぐ」という企業理念を掲げ、米国を中心とした海外で人気の高いブランドを発掘し日本に紹介してきた。外食事業の1号店は、意外にも「ケンタッキーフライドチキン」。フランチャイジーとして1972年に六本木店をオープンした。この六本木店は同ブランドの太平洋地域No.1の売上を誇る繁盛店に成長した。WDIが運営する店舗数も、10を超えるまでになった。

その後、1976年には六本木に会員制の高級レストラン「プレイボーイクラブ トーキョー」など、様々な人気店を手がけ続け、現在は「ハードロックカフェ」「トニーローマ」「ウルフギャング・ステーキハウス」など23ブランドのレストランを展開している。国内だけでなく、1980年には海外進出を果たし、10ヵ国で約200店舗のレストランを運営している。

魅力的なブランドを手がけ、長続きさせることがテーマ

WDIの創業者、清水洋二会長は「独立する時には、絶対に外食事業をやろうと考えていた。人間は何をおいてもまず食べることが基本。美味しいものを食べたいという欲求は、いくつになっても、いつの時代になってもなくなることはない。但し、それを成功させるにはいかに魅力的なブランドを手がけ、長続きさせるかが最大のテーマだと思っていた」と話す。

業界参入のスタートに「ケンタッキーフライドチキン」を選んだのは、米国での大繁盛を目の当たりにして「日本でも必ず人気になるはず」と確信を持ったからだ。さらに次のステップとして、培ってきた国際感覚を生かし、日本ではまだ知られていないが海外で成功している魅力的なブランドを発掘し、フランチャイザーとなる道を選んだ。

なぜ、米国のレストランだったのか

食はヨーロッパにありと思われていた時代に、WDIが注目し、日本に紹介したのは米国の食文化だった。WDIは単純に「おいしい食べ物」を伝えたいのではなく、自身がそれを食べた時の感動や衝撃をすべて共有したかった。WDIが手がけるレストランの料理は、おいしさが心のど真ん中にダイレクトに飛び込んでくる「本能に訴えかける味」が共通のキーワードだ。直感で、本能で体感できる、ワクワクするようなカルチャーであること。それが、米国のレストランを日本に持ってきたいと思った大きな理由だ。

ブランド洗濯を決定づける「三本の矢」

WDIは、日本ではまだ知られていないレストランブランドを発掘し、その魅力を日本に紹介してきた。輸入したブランドをさらに海外の様々な地域に展開し、マーケットを開拓する。食文化に基づいた個性に着目してブランドを見極め、長く愛される店に育てていく。それが同社の特徴的なスタイルであり、最大の強みとなっている。多くのブランドを支える大きな柱となってきたのが「トニーローマ」「ハードロックカフェ」に代表される米国の食文化だ。それぞれ長い間、熱狂的なファンをひきつけている。

流行を追うのではなく、食文化としてしっかりと浸透することが、ブランドを発掘する際の指針だ。その指針は次の通り。

①本物志向を貫いている業態であること
②ホスピタリティの力を発揮できる可能性があること
③グローバル感のある食文化が感じられること

三本の矢の指針を大切にしつつ「継続性」を意識した努力をすることがブランドの魅力が色褪せない理由となっている。

ブランドを展開する際のモットー

さらに、同社ではブランドを展開する際にモットーとしていることが3つある。

①出店する国や地域に合わせてアレンジしない
②日本人の習慣や嗜好に合わせてアレンジしない
③オペレーションの都合に合わせてアレンジしない