自分が信じていることを疑う勇気

発刊
2017年6月1日
ページ数
255ページ
読了目安
232分
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物事の視点を変えるための考え方
スペイントップの戦略デザインファームでアドバイザーを務める著者が、目標を実現するためのマインドセットを紹介している一冊。経験や常識を疑うことで、物事の視点を変えることの大切さを説いています。

経験を疑う

未経験のことを実行する際、私たちは過去に経験したことの範囲だけで物事を判断しようとしがちである。しかし、「現時点でアイデアの実現方法を知らない」と「そのアイデアを実現できる」は本質的には関係ない。アイデアは現時点で実現していないからこそ、アイデアとしての価値がある。アイデアを思いついた時、それを実現する方法を知っている必要などない。わからなかったとしたら、見つければ良い。

最初から完璧にわかることなどこの世には存在しない。むしろ確実・完璧なことがあったら、それこそ疑わなければならない。無意識に「予定通りに進んだ方が良い」と考えてしまっているのが問題である。私たちは「知っていることしか知らない」ということを再認識しなければならない。必要なのは、アイデアを実現する方法を知っていることではなく、実現する方法を認識できるようになることである。

二者択一を疑う

二者択一はそれ以外の可能性を切り捨ててしまう考え方である。この思考に陥ると、異なった考え方を持つ人々と対立したり、変化が求められる際に柔軟な思考ができなくなったりする。

アイデアを実現する際にも、二元論は実現の可能性を狭める。世の中は、白でも黒でもないことがほとんどである。目的地は同じでも、色々な行き方がある。どれかが絶対に正しいなんてことはありえない。

常識を疑う

モノクロ思考を生み出す一番の要因は「思い込み」である。思い込みによって盲点が生まれ、モノの見方が偏る。思い込みが強いほど、また数が多いほど、極論に陥りやすくなる。

世の中には「守らなければならない」と思い込まされているルールが多くある。何でもかんでも盲目的に信じてしまうと、目の前にチャンスが転がりこんでも、それを認識することができない。チャンスは常に存在しているが、認識できなければ意味がない。思い込みから目を覚ますには、漠然と信じていることを一度疑ってみればいい。

私たちは自分が信じているようにしか物事を見ることができない。そのことを理解していないからこそ、「自分の目に見えるものだけが真実なのだ」という信念はさらに強化される。盲信していることを一度疑ってみることで、これまで見えていなかった世界や可能性が見えてくる。

因果関係を疑う

高度に発展した現代社会では、様々な要因が絡み合っているため、全体像を正確に理解しにくくなっている。現代社会は何が成功要因で、何が失敗要因かを見極めるのが非常に難しい。現代では1つの因果関係を見誤ることで、全体を大きく取り違える危険性がある。

実際、多くの人が思い込みや信念が原因で偏ったモノの見方をしている。これはコグニティブ・バイアス(認識の偏り)と言われるもので、自分の考えと辻褄を合わせるように物事の因果関係を捉えてしまうことである。バイアスがかかった状態でパターンを探し出そうとするため、私たちは物事の因果関係を見誤ってしまう。そして、それが原因で新たな可能性を閉ざしてしまっている。

コグニティブ・バイアスを防ぐために重要なのが、視点を上げることである。高い視点を持てると、自分のいるフィールドを越えて、チャンスを見つける機会を増やすことができる。

価値観を疑う

常識を支えている正体は「価値観」である。特定の価値観を受け入れることで、常識という行動規範が共有される。だから、価値観の異なる集団に入ると、自動的に常識も変わる。

いきなり常識を覆そうとすれば抵抗が生じる。そこで大切なのは、常識を肯定も否定もせず、その根底にある価値観から一度距離を置いてみることである。既存の価値観から自由になれば、表面上は常識に従いながらも、新たな可能性を見出せる。