退屈している組織は成功できない
成功物語は、革新的技術を掲げる一握りのスタートアップや若い億万長者だけのものではない。可能性に気づくことができれば、どの業界でも新たな成功物語を生み出せる。たとえ変化の乏しい環境でありふれたものを提供していても、それらを傑出した製品・サービス・経験に変えることはできる。長年同じやり方を踏襲してきたのなら、むしろ抜きん出るチャンスはある。考え方次第で戦いを変えられるなら、旧態依然で凝り固まった業界ほど勝てる余地は大きいだろう。
ほとんどの企業やブランドが抱える問題は、破綻ではなく退屈だ。退屈している組織が大成功を収めることはない。顧客はもはや、ありきたりのやり方を受け入れない。並外れたものでなくては意味がない。どの業界でも、熱狂はすぐに退屈に変わり、退屈は苛立ちに変わる。驚かせて欲しい、ワクワクさせて欲しい、いつまでも記憶に残るものが欲しい。それが顧客の望みであり、企業が提供しなくてはならないものだ。
ビジネスの世界でありがちな失敗は、想像力が足りなかった時、度胸が欠けていた時、過去にとらわれてしまった時に忍び寄る。
成功への8つの質問
①あなたの成功の定義は、競合とは一線を画し、同僚や部下に意欲を持たせられるものか。
最高の価値を生み出す企業やリーダーは、予測できる現状に取って代わるもっとも魅力的な存在として、自らを位置付ける。問題はユニークさや断固たる信念を持っているかどうかだ。
②自分たちがやっていることがなぜ重要なのか、どうやって勝とうとしているのかを、説得力ある言葉で明確に説明できるか。
結局のところ、唯一の持続可能なリーダーシップは、ソートリーダーシップ(優れた製品やサービスだけではなく、抜きん出たアイデアを掲げるリーダーシップ)である。リーダーは、独創的なアイデアを提示する場合にも、言葉の使い方が実に的確だ。
③業界で成功とみなされてきたものを見直し、自社の成功について考える準備はできているか。
リーダーに取って「専門性のパラドックス」はビジネスで最も危険なものの1つだ。変化する世界で違いを生み出そうとするリーダーは、自社に何が可能かを再考できるリーダーである。特定の領域での経験、知識、リソースを持つ者は、全く新しい何かをつかむ機会を逃すことが多い。
④興味を持たれる存在でいるのと同じように、興味を持ち続けることができるか。
意欲的なリーダーは、いかに好奇心を持ち続けるかを理解している。興味の対象は、大きなアイデアからちょっとしたサプライズ、事業についての持続的な使命、その使命を実現するための新しい方法など多岐に及ぶ。
⑤技術や効率性と同じように、心や感情にも関心を払っているか。
テクノロジーによって変化する現代社会では、私たちの多くが渇望する者、本当の意味で傑出したものは、人間であることの意味を思い出させてくれる、ささやかな思いやりだ。
⑥組織の機能を定義する価値は、価値提案を反映しているか。
何か特別なもの、他とは異なるもの、例外的なものを職場で生み出さなければ、市場で特別な存在、傑出した存在、例外的な存在になることはできない。文化をプログラミングする場合には、従業員の日々の行動を変えられるほど刺激的でなくてはならない。
⑦貪欲であると同時に、謙虚であるか。
新しいアイデアに基づくビジネスや社会運動においては、誰もがアイデアの創出や評価に関わる。だからこそ、謙虚さと野心は対立すべきではない。
⑧成功を収めるために尽力した人たちと、見返りを分け合う用意があるか。
従業員の強い意欲を引き出し、市場に大きな波を起こしうる企業とは、結果として生み出される価値の相応部分を従業員と共有する企業である。