短時間の集中を繰り返す方が効果がある
「瞬間集中」とは、1秒単位でやるべきことに集中するということである。「今、何に集中すべきか」を瞬時に見極め、深く集中することで、仕事や勉強は驚くほど速く片付き、自由な時間も手に入る。
人間の脳は1つのことに集中できる時間が限られているという特性がある。脳の中には「集中しろ」と命令を出すDLPFC(背外側前頭前皮質)という部位がある。この神経回路は繰り返し負荷をかけることによって強化されるので、長時間の集中よりも、1日に短くても何度も集中する方が、大きな結果につながるフロー状態に入りやすくなる。
つまり、長時間できないことは脳にとって当たり前で、短時間の集中を繰り返す方が効果がある。
「瞬間集中」を生み出す6つのコツ
①トップスピードで脳を稼働させる私たちの脳は、いきなり集中することを嫌がったりしない。結果を出している人たちは、段取りや前置きを必要としない。「段取りや準備をしなければいけない」という思い込みは、脳の集中を阻害する要因になる。思い込みから解放されれば、誰でも瞬間トップスピードで行動することができる。
②1%に集中し、99%は捨てる
何か1つに集中するということは「他の99%は切り捨てる」ということ。まずは脳の中を整理整頓し、「何から集中すべきか」の優先順位をつけることが必要である。「自分はこれだけに集中する」と決めて、他のことは捨ててしまえば、瞬間集中に入りやすくなる。捨てるという表現に抵抗があるなら、「他のことはあとでやる」と考えれば良い。この「あとでやる」という選択肢を持つことは大事である。
③すきま時間にも脳を熱狂させる
1秒単位で時間を認識している脳にとって、5分や10分はむしろ長時間。その間にできることは、いくらでもある。瞬間集中を高めるコツは、脳の「飽きっぽさ」を逆手にとること。元々、人間の脳には飽きっぽいところがある。一方で脳は「これだ」と思ったものには、瞬時に集中する性質を持っている。瞬間集中を繰り返すには、集中の対象をコロコロ変えて、どんどん新しいことをやればいい。
④ノイズによって脳を鍛える
集中力が高い人は、ノイズに強い。脳には「ノイズ」と「シグナル」を区別する機能がある。人間の脳は、たくさんの音(ノイズ)に囲まれていても、その中から必要な情報(シグナル)だけを認識できる。この機能を強化するには、あえて適度なノイズのある環境に身を置き、脳の前頭葉を鍛えるのが効果的である。瞬間集中に使う背外側前頭前野という部位にとって、ノイズという負荷をかけることは、良いトレーニングになる。
⑤ToDoリストは手帳やメモに書かない
頭の中身を紙に書き出して外部にアウトプットすると、人間はそれに頼るようになってしまう。だからToDoリストにないことが起きると、パニックになる。成果を出すには、想定外のことが起きても柔軟に臨機応変に対応することが求められる。「やるべきこと」は脳内に随時変更可能な「脳内ToDoリスト」をつくって管理すればいい。「求められる結果を出すには、どの課題に取り組むべきか」を常に考え、本当にやるべきことだけに集中する。
⑥「1万時間の法則」で脳に記憶させる
瞬間集中のエキスパートになるには、日常的に瞬間集中を繰り返せばいい。そうすれば、脳に「瞬間集中とはこういうものだ」というパターンがしっかり刻み込まれ、いつの間にか一瞬で集中できるようになる。瞬間集中のパターンを学習するコツは、身近にお手本を見つけること。