ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書

発刊
2020年6月18日
ページ数
264ページ
読了目安
270分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

コミュニティをゼロから立ち上げる手順
人とのつながりの価値が高まった現在において、コミュニティのづくりが重要になっている。製品やサービスなどのファンを増やすには、コミュニティづくりが欠かせない。
イベントの企画から運営、集客まで、ゼロからコミュニティを立ち上げる方法を丁寧に解説している一冊。

コミュニティとは

単に人が集まっていれば何でもコミュニティになるわけではない。コミュニティには、次の要素が必要である。

・参加者一人ひとりが、目的意識を持って能動的に活動に関わっている

・参加者同士が、対等にコミュニケーションできる

 

受け身でその場にいるのではなく、自分から主体的に集まりに関わって貢献する意識があるかどうかがポイントになる。

 

コミュニティを立ち上げる手順

①方向性を決める

「そもそも何のためにやるのか」という方向性を決める。誰を相手に何を達成しようとしているのかという目的を明確にする。コミュニティが何を目指し、参加者にどんなメリットをもたらすのか考える。こうした目的を端的な言葉で表現したのがコミュニティの「ビジョン」となる。

 

②具体的な企画を立て計画に落とし込む

ここで考えるのは「誰に向けた企画か」ということ。コミュニティの対象を絞る時に役立つのが、ビジョンづくりでヒアリングした自社の製品やサービスの熱心なユーザーである。こうしたユーザーが最初のターゲットになる。新しい製品やサービスのコミュニティをつくる場合には、狙いたいターゲットに当てはまる層にヒアリングしてイメージを具体化する。

 

ターゲットが決まったら、実践に入る。コミュニティを構成する要素は「イベント」と「コンテンツ」の2つである。コミュニティ運営の成否はこの2つをいかに効果的に組み合わせるかにかかっている。コツは、目的を明確にして狙ったターゲットを適切な規模で集めること。

  • ミートアップ(4〜20人):参加者が互いに顔の見えるコミュニケーションを取る
  • 小規模イベント(20〜50人):コミュニティの常連と新たな参加者、ゲストとの交流を通じ活動の熱量を上げる
  • 中規模イベント(50〜200人):新たなコミュニティ参加者を増やす
  • 大規模イベント(200人以上):コミュニティの活動を対外的に伝える

 

コミュニティづくり軸となるイベントは、時間や距離などの制約から頻繁に開催できない。たとえ開催しても、顔を合わせて交流できる参加者の数には限りがある。そこで、大切になるのがコンテンツである。イベントに参加できない人に向けて、イベントの様子を伝えて疑似体験してもらう。既に開催したイベントを動画や音声、テキストなどで記録し、YouTubeやPodcast、自社メディア、ブログ、メールなどで配信する。

  • イベントのレポート記事を配信
  • Twitterのつぶやきをまとめる
  • イベントの動画を配信
  • Facebookグループをつくる

 

個々のイベントやコンテンツの配信は「点」で考えてはいけない。それぞれの活動が、最終的にはコミュニティの目的に収斂するような「線」になるように、大きな文脈をつくることが大切である。

 

③参加者を集める

最初の一歩は、コミュニティに興味を示しそうな熱心なファンに声をかけるところから始める。自社サイトやメールマガジン、SNSなどで、参加者を募集する。企業向けの場合、顧客企業の担当者が有望である。

  1. 最初はおよそ10人を目安に声をかける
  2. 5〜10人規模のミートアップを開く
  3. ミートアップで製品やサービスの長所と短所をヒアリングする
  4. 友達や仕事上付き合いのある人など少しずつ輪を広げる
  5. SNSで参加者とつながり、コミュニケーションを続ける

 

参加者を増やす集客の公式

イベントの参加者を増やすには、以下の各項目に焦点を絞り、それぞれを最大化させる方法を考えればいい。

 

トラフィック(アクセス数)× 申込率 × 参加率 = イベント参加人数

 

トラフィックを最大化するには、イベントの前後でアクセス数がどう推移するかという一般的な傾向を把握し、3つのフェーズに合った対策を打つことが大切である。

  • 公開期(〜1週間):約35%が申込。コミュニティ参加者や過去の参加者、主催者と関係の深い人にリーチ。
  • 停滞期(2〜4週間):約20%が申込。参加を検討する人がイベントの存在を忘れないように情報配信する。
  • 加速期(1週間前):約45%が申込。SNSなどで参加を検討する人に情報配信。登壇者にも協力依頼