逆境を「アイデア」に変える企画術 ~崖っぷちからV字回復するための40の公式~

発刊
2017年10月3日
ページ数
288ページ
読了目安
326分
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ひらパーはなぜV字回復したのか
来園者の減少に悩んでいた関西の小さな遊園地「ひらかたパーク」はなぜV字回復したのか。ひらパーをV字回復させたクリエイティブ・ディレクターが、人を行動させるための企画術を紹介している一冊。

崖っぷちの「ひらパー」

「ひらかたパーク」は東京ディズニーランドやUSJのように全国からお客さんを集める巨大アミューズメント施設ではなく、地域の人々をターゲットにした地域密着型の小さな遊園地である。大阪と京都の中間に位置する大阪府枚方市にある。愛称は「ひらパー」、関西地方での認知率はほぼ100%である。「ひらパー」は2017年で開園から106年目を迎える日本最古の遊園地である。

ひらパーには、お笑いコンビ「ブラックマヨネーズ」の小杉竜一さんを起用した「ひらパー兄さん」という広告キャラクターがいた。しかし、「ひらパー兄さん」も見慣れられてしまい、広告予算も少なく、新しいアトラクションもない「ひらパー」の年間来園者数は、最盛期の160万人から2011年には87万人まで落ちてしまうなど、減少の一途をたどっていた。

認知率が高いと売れない

人は商品情報や広告に接した瞬間に、その商品やブランドや場所、サービスを3つのフォルダに素早く、無意識に仕分けをする。

①「行かない/買わない」
②「行ってもいい/買ってもいい」
③「行きたい/買いたい」

一度、「行かない/買わない」フォルダに入ってしまうと、その企業や商品の広告は心の奥まで届かなくなる。さらに、一度「行かない」と思った場所へは、なかなか「行く」とはならない。

「認知率が高い」とは「ほとんどの人が、その商品やブランドを心の中の3つのフォルダに振り分け終わっている状態」を意味する。従って、「ひらパー」の認知率100%というのは、ほとんどの人にとって「行かない場所」になっていた。

地元愛×メジャーな存在で「応援行動」が生まれる

予算が潤沢でない「ひらパー」に人を呼ぶため、持っている資産をリニューアルした。広告キャラクター「ひらパー兄さん」を刷新し、来園に結びつけた。

「自分の地元を愛してくれる人を、人は好きになる。さらに、その人がメジャーであればあるほど嬉しさが増し、地元愛が強まり、かつその人やその場所を応援したくなる」

自分の言葉で「ひらパー」の魅力を語ることができ、枚方への地元愛があるメジャーな著名人として、岡田准一さんを起用できた。「ひらパー兄さんに岡田准一」というニュースの反響は凄まじかった。

「行かない」フォルダから「行ってもいい」フォルダに移動させるために、重要なのが、PR、第三者からの情報である。ひらパーは知っているけど行かない時、第三者から「ひらパー意外と面白かった」というポジティブな情報に接すると、「行ってもいい」フォルダに移動しやすくなる。岡田さん自ら「ひらパー」愛を伝えてもらい、それを戦略的に拡散することで、来園者数は急増した。

行く理由を2つ作ると、人は動く

例えば、温泉だけではそこまで行く気にならなくても、温泉とアウトレットがあるとわかったら「行ってもいい」になる。行く理由が1つだけだと行く気にならないけれど、行く理由が2つになると行こうかなと思ったりする。

「岡田さんがひらパー兄さんと園長を兼任。そして過去10年間で2回しか達成できていない年間来園者数100万人達成に、自らの進退をかける」

「ひらパー」に足を運ぶ理由を2つ以上作るため、岡田さんが進退をかけて年間来園者数100万人に挑戦するキャンペーンを行った。「ひらパー」に行く理由の1つ目として、「人気のあるキャラクターを応援するために足を運ぶ」を作った。2つ目の理由として「面白い新アトラクション」を作った。予算がない中で「ひらパー」に以前からあるジェットコースターやフリーフォールに、目隠しをして乗る世界初の絶叫アトラクション「目隠しライド」を考えた。

人々を行動させるツボ

①地元愛×メジャーな存在で「応援行動」が生まれる
②PR(第三者情報)によって、行ってもいい、行きたい状態にする
③行く理由を2つ作ると、人は動く
④結果が読めない、筋書きのないドラマやストーリーを作ると人々を巻き込める
⑤意外な人数が行っていると、面白いのかもと思ってもらえる
⑥人は、一般常識とは逆の情報に接すると、その理由を確認したくなる
⑦「かわいそう」×「頑張る」何度負けても立ち上がる姿を、人は応援する