御社の商品が売れない本当の理由 「実践マーケティング」による解決

発刊
2017年9月15日
ページ数
352ページ
読了目安
389分
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使えるマーケティングを学ぶための本
マーケティング理論の基礎から、実際に実践するために必要なことまで、マーケティングを包括的に学ぶための一冊。理論だけでは、うまくいかないと説き、人間の理解とコミュニケーションのあり方まで含めた実践のあり方を紹介しています。

マーケティングは理論だけではうまくいかない

「市場は客観的に存在し、科学的に分析できる。精緻に分析し予測すれば、正しい戦略と計画ができあがる。その戦略と計画をきちんと実行すれば、予測通りにうまくいく」というマーケティング理論の前提は神話にすぎない。実際の現場では、常に物事が理路整然と直線的に進むわけではない。

マーケティングが実際に効果を発揮するのは、顧客と接する現場での実践においてである。顧客と接する現場の現実を見過ごして、本社で計画と管理だけをしていては、マーケティングが狙い通りの効果を発揮して売れることは、もはやありえなくなっている。

誤った常識や管理マーケティング、それらが立脚している古い理論やモデルを信じ込むことによって、私たちが現場の現実に即した対応をとれなくなっていることが、商品が売れない理由である。

マーケティングの定義

マーケティングは売ることではなく、売らなくても売れるようにすることである。マーケティングは商品ありきではなく、顧客ありき。事業の定義も、商品中心ではなく顧客中心に考えなくてはならない。顧客が買うのは商品ではなく、商品のもたらす恩恵の期待、問題解決である。顧客が実際に買っているのは商品だけではなく、商品を包み込んだサービスである。

売れる仕組みをつくることは、明らかに売ること、すなわちセリングとは違う。売る仕組みではなく売れる仕組みをつくるためには、はじめに顧客ありきで考えないわけにはいかない。売れる仕組みだから、売る組織だけでなく、すべての組織が関わってくる。売れれば利益は後からついてくる。

管理マーケティングの体系

コトラーがつくりあげた管理マーケティングの体型は、次の通り。

①R:市場調査

②S:市場細分化
③T:ターゲティング
④P:ポジショニング

⑤4P(商品、価格、流通、販促)

⑥I:実行
⑦C:統制

分析を重ね計画を練り上げて、あとはその通りにきちんと実行しさえすれば、マーケティングはうまくいく、というのが管理マーケティングの考え方である。しかし、これだけを学んでも、現場の実践では役に立たない。

マーケティングの対象

マーケティングの対象は、3つの次元からなる。

①戦略と戦術
②計画と実行
③結果と過程

これら3つの次元は、第1、第2、第3の順に、より具体的なレベルの内容のレベルになっている。管理マーケティングは、これら3つの次元において、もっぱら戦略・計画・結果を重視し、戦術・実行・過程を切り捨ててきた。しかし、この戦術・実行・過程という最前線の現場こそが、顧客との接点であり「真実の瞬間」を生み出している。このことが管理マーケティングが現実よ乖離し、現場の実践では役に立たない原因となっている。

人間は意識と理性だけで動くわけではない

マーケティングを現場で実践して成果をあげるためには、人間についての考え方を新しく捉える必要がある。管理マーケティングでは、人間についてもっぱら意識と理性だけしか念頭にない。しかし、生身の人間は、知らず知らずに自動的に反応し、好き嫌いでも判断し、人によって認識する世界も異なり、それは時と所によって変わる。つまり、人間について①無意識、②感情、③主観性・身体性、④状況・文脈・環境という4つの要素を考慮する必要がある。

人は、検討することを動機付けられており、かつ検討する能力がある場合、内容そのものを慎重に検討し判断する。いずれかが欠ける場合(価格の安い日用品を買う時や、検討している時間がないテレビCMなど)には単純な手がかりをもとに判断する。このことを念頭において行動することが大切である。