ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由

発刊
2018年1月26日
ページ数
188ページ
読了目安
172分
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介護と仕事を両立するための具体的な方法
介護を理由に離職すると、経済的にも精神的にもむしろマイナスの効果しか生み出さない。介護離職の現実を説明しながら、いかに介護と仕事を両立する道を選ベば良いかについて紹介している一冊。

依存先が複数あることが幸福度を左右する

自立とは、誰にも頼ることなく生きられる状態のことではない。これが人間を不幸にする決定的な誤解である。真の自立とは、その人が依存する先が複数に分散されており、ただ1つの依存先に隷属(奴隷化)している状態から自由であることである。

自立が進んでおらず、ただ1つの依存先しかないと、個人は、依存先に対する交渉力を失う。これは、依存先の言いなりということである。交渉力を失うと、相手に隷属することになる。結果として、自分の人生のあり方を自分で選択できなくなる。

自立していることは、個人の幸福追求にとって非常に大切である。好きな場所、好きな人と、好きなことをして暮らすことの基礎は、自立にこそあるからである。人間の幸福は、依存先が複数あることと密接に関係している。

自立の定義を間違ったまま介護に関わると不幸を生み出す

「介護とは自立支援である」と言われる。要介護になると、より多くの他者に依存して生きることになる。しかし、自立とは、依存先を増やしていくことであると理解すれば、介護の定義も頭に入る。実際に、優れた介護においては、要介護者は、特定の人への過度な依存が上手に避けられている。だからこそ、要介護者であっても、何かに隷属することなく、自らの幸福を自分の意思で追求する自由が残される。

親に介護が必要になった時、「介護の全てを自分がやってあげたい」と思うかもしれない。しかしそれは、親からすれば、あなたがいなければ生きていけないという、ただ1人の人間への依存と隷属につながる。これは親の幸福追求の邪魔になる。

介護離職につながる3つの誤解

①介護離職をしてもなんとかなる
介護離職をすると、再就職までに1年以上の期間がかかる。その後、運よく再就職できても年収は半減する。介護生活は少なくとも10年程度は続く。いつ終わるとも知れない介護に悩まされながら、金銭的にも厳しくなると介護離婚が発生することも多い。親に2000万円以上の預貯金があり、年金も充実していないと厳しい。

②介護離職をすれば負担が減る
経済的・肉体的・精神的な負担は、すべて離職前よりも増える。離職後、入院費や医療費負担によって、経済苦に陥ると介護サービスを利用するお金もなくなる。そして、自分で介護を始めると、再就職の選択肢が狭くなり、経済苦から抜け出せないというループに陥る。さらにギリギリの状態になると、虐待に至ってしまう可能性がある。

③子供が親の介護をすることがベスト
仕事と介護を両立できている人は、身体介護や家事を自分でやっていない。介護をする上で頻度の高い身体介護や家事は、できるだけ自分以外の介護のプロなどに任せること。介護離職は「親孝行」になるとは限らず、むしろ親を苦しめるかもしれない。自己犠牲は永続せず、どこかで必ず限界が訪れる。

介護離職を避けるための方法

①介護職(介護のプロ)に人脈を作る
介護サービスを利用するには、介護サービスに関する知識が求められる。介護離職につながる「介護パニック期」を早期に脱するため、とにかく優秀な介護のプロに出会うことが大切である。

②家族会に参加する
家族会では、優秀な介護のプロに関する情報を得られる。多くの事例に触れることで、介護の理解も深まる。家族会への依存は、要介護者と自分の自立を同時に高める。

③職場の支援制度と仕事環境の改善に参加する
介護離職を決断する前に、勤務している企業の人事部などに相談してみること。仕事と介護の両立は企業にとっても課題になっている。介護休業など、法定の制度を確認しながら活用すべきだが、長期休暇は避けるべきである。