競争と協調のレッスン ─コロンビア×ウォートン流 組織を生き抜く行動心理学

発刊
2018年3月22日
ページ数
352ページ
読了目安
454分
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競争と協調を使い分ける技術
競争と協調をいかに使い分けるかが、組織において生き抜く鍵となる。
コロンビア大学ビジネススクール教授とペンシルべニア大学ウォートン校教授が、様々な事例を紹介しながら、行動心理学をもとにした交渉術、コミュニケーション術を解説しています。

競争と協調を使い分ける

家庭や職場といった我々の日常の様々な場面で、協調と競争のどちらの態度をとるかという選択はつきものだ。どんな場面でも、いつどちらの態度をとるべきかを知ることが成功の鍵となる。

相手の意見に折れて協調するべきか、自分の主張を通して戦うべきかという問いかけは間違ったものであることが多い。重要な関係は、折れるものでも戦うものでもない。その両方を使い分けることこそが大切だ。

「身近な人との比較」を前向きな力に変える

人間は他者と自分を比べずにはいられない。社会的比較は、自分の属する社会を理解するのに役立ち、時には人に少なからぬ影響を与える。比較することで安心感が生まれることもあれば、とてつもない屈辱感を味わうこともある。社会的比較をプラスの方向に働かせる鍵は、次の3つ。

①その比較が適切なものかどうかを見極める
②新たな挑戦に目を向けて、敗北感をモチベーションに変える機会を作る
③自分の成功が他人を嫌な気分にさせるかもしれないという意識を持つ

社会的比較を使ってモチベーションを高めたいと思った時、心に留めておきたい重要なルールがある。それは、自分に満足したい時には自分より弱い立場の相手に目を向け、自分を鼓舞したい時には自分より強い立場に目を向けるということだ。

トップに立ったら「権力を持った自分」を客観的に見る

権力は自信や万能感や楽観的な気持ちを与えてくれる魔法の薬のようなものだ。だが、自分の権力に舞い上がりすぎないことが肝心だ。権力の持つメリットを手に入れるには、組織の中での自分の立場をしっかりと見極め、その立場にふさわしい行動をとる必要がある。自分の立場をわきまえない行動をする人は排除される。そのため、権力と社会的振る舞いに関する2つの真実を知っておく必要がある。

①どんな場合であれ、実際に持つ権力の範囲を越えて誇示できる権力には限度がある
②権力の座にある者を厄介な状況に追い込むのは、大抵の場合、自信を持ちすぎることではなく、謙虚さの欠如である

自信を持ちながら、謙虚であるためには、他人の視点から物事を見るということが大切である。そして、自分が相手からどのように見られているかをよく考えることだ。

長期の関係を築き、評判を活用する

信頼を築くのに欠かせない要素は、能力と温かさだ。資格から専門用語まで、人は様々な手段で能力を示すことができる。だが、忘れてはならないのは、能力だけでは不十分だということだ。どんな場合にも能力と温かさが共に必要になる。温かさを表現する方法は次の2つ。

①相手への気づかいを見せたり、家族など自分が大切にしている人間関係について話したりする
②コーヒーをこぼしたり、下手な歌を披露したりして、無防備なところを見せる

だが、仕事でもプライベートでも、信頼を築く一番確実な方法は、相手との関係を長く続けることだ。継続的な間柄になると協調関係が生まれてくる。

長期的な関係を築いたことがなく、そもそも仕事を始めたばかりで経験もあまりない場合には、評判を活用する。