日本企業はなぜ世界で通用しなくなったのか

発刊
2018年5月9日
ページ数
208ページ
読了目安
188分
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推薦者

オンリーワンの開発するために大切なこと
トレハロース、インターフェロン、高純度マルトース、プルランなど、かつて世界でもオンリーワンの製品を開発してきた林原の元代表が、オンリーワンの製品を作るために必要なことを説いている一冊。

明確な目的を設けない

「基礎研究」とは、ある程度の目的を方向性として掲げつつも、その時々の状況に臨機応変に対応して研究を進めていくもので、「ゴールの定められていない研究」と言える。「ゴールの定められた研究」は「応用研究」と呼ばれ、すでに存在する技術、技法などを応用して具体的な素材、製品を作ることを目的としている。

「林原」の研究者たちは、自分たちの知的好奇心の赴くままに研究を続けていた。そこには明確な目的もなければ「いつまでに仕上げろ」という締め切りのようなものも存在しない。このようなある意味「研究者任せ」なやり方は、地方の中堅企業だったからこそできた。

市場調査をしない

当時、林原は、他の大企業がよく行なっている「市場調査」なども全く行わなかった。大企業は市場の情報を収集しつつ、商品を研究、開発していく。しかし、市場調査によって得られた情報の旬は、ほんの一瞬である。その時は良くても、2年もすればその情報は古くて使い物にならなくなる。

副産物を見逃さない

失敗は世の人々が目にすることもなく、社会から忘れ去られていく運命にある。しかし、私たちが忘れてはいけないのは、「そんな幾多の失敗の上に成功はある」ということである。世間的には「失敗」とされることにも、その裏側には忘れてはならない教訓や次の一歩を踏み出すためのヒントがたくさん秘められている。

成功や失敗には「運」や「偶然」といったものが常に付きまとっている。「運」や「偶然」を思い通りに操ることはできなくても、「運」や「偶然」の起こる確率を少しでも上げることはできる。そのために「副産物を見逃すな」と常に研究者たちに発破をかけてきたし、失敗を失敗で終わらせず、その裏側に秘められたものをできる限り拾い上げるようにしてきた。

リーダーは独断で決めて責任を取り、やり方は自由にさせる

開発の現場である研究部門に全責任を負わせるようなことをすれば、研究者たちは「なんとか、ヒット商品を生み出さないと」とプレッシャーを感じ、考え方が萎縮してしまう。頭の中には「これは売れるかも」という斬新なアイデアがあったとしても、売れなければ自分が責任を取らされるとしたら、ついつい無難なアイデアがあったとしても、売れなければ自分が責任を取らされるとしたら、ついつい無難なアイデアを選択してしまうようにもなる。

独自のものを作っていくためには、リーダーはある程度「ワンマン」であるべきである。舵を切るのはある程度、独断で決め、それ以外はほとんど口を出さず、全て社員の自由、彼らのやり方に任せる。

マイナーな研究をする

大企業であれば見向きもしないような研究が「林原」では行われていたし、実際に見逃されがちな、マイナーな研究から私たちは利潤を生み出していた。時代に取り残されているものには誰も見向きもしないから、そこには当然ながら競争なども存在しない。ということは、フットワーク良く、ニッチな部分を攻め続けていけば誰でも「オンリーワン」になれる可能性がある。

まず先駆者に話を聞き、自分の考えを加味していく

「他にはないオリジナリティ」は、何もないところから生まれるものでは決してない。オリジナリティを追求していくためには、まずはその分野の先駆者である専門家の話を伺い、そこに自分の考え方を加味していくことが何よりも大切である。「これだ」と決めたらその分野を広い視野を持って開拓していく。そうすることでチャンスはやって来てくれる。

参考文献・紹介書籍