戦わずに選ばれる会社を創るべき
事業環境が変化し、市場そのものを観ることが不可能な現代において、競合企業や市場を明確化して資源を集中的に投下していくという戦略思考は限界になりつつある。そのため、これからは「結果として圧倒的に選ばれる会社」のイメージを明確にして、創っていくことが有効である。
「未来において圧倒的に選ばれる会社とは、あたたかい会社とは、次の3つの要素を持っている会社である。
- ユーザーハピネスの思想が貫かれている
- 法人としての器を大きくすることを志している
- 未来に向けて人間が本来持っている試行錯誤のスタイル「C-IDLA」をしっかり回している
この3つの要素を持っている会社は「自社への流れを創ることができる会社」と言える。それは、お客様やお取引先が「いつも最初にその会社の人が頭に浮かぶ」「この会社を応援したい」と言ってくださる会社である。環境変化が激しい時、市場が成熟していくスピードが速い時、会社は自社への流れを創る力が必要になる。
ユーザーハピネスの思想が貫かれている
ユーザーハピネスとは「お客様に夢と希望、安心を渡す」ことである。AIがお客様の求めていることを予測できる時代に生き残っていく会社は、お客様の期待に応えるレベルを超えた会社である。相手がまだ気づいていないものの、こちらが相手になりきった時に感じ取れる「こうして欲しい」という無自覚な期待に対して、先回りして価値を渡していく。提案する時点では、相手の期待やニーズに合致していない場合もあるが、それを渡すことで場に安心感が生まれ、夢と希望が生まれる。
正解がない時代だからこそ、マニュアルを超え、自分の感情を働かせながら仕事に向き合うことが重要である。その上で、相手との関係性やその場に生まれる空間に安心を生み出すことは、これからの時代に欠かせない。顧客満足を超えた「ユーザーハピネス」という「自分と他人を分けない」世界に踏み込んでいる法人が、この環境変化の中で成長し続けている。
ユーザーハピネスを実践する上で欠かせないのが「インタビュー」という技術である。インタビューは、ヒアリングと異なり、相手が置かれてきた事実状況に身を置いて、相手が観ているもの観て、内面も含めて相互に感じたことを交換するというもの。「信(相手を分析・評価・批判せず、相手と自分を分けない感覚)」の位置から相手の空間を観に行き、それに価値ある時間を創造する。
法人としての器を大きくする
「法人としての器を大きくすることを志している」とは、法人として自らの常識を外し、従業員、お取引先、お客様、どんな人の力も活かしきることを志している会社を指す。マネージャーが全てのメンバーの可能性の探索を諦めることなく、力を引き出し続ける会社であれば、メンバーは「この会社にいると、自分自身の可能性に気づき、実力がつく」と思う。
長期の経営の安定は、働く社員の誇りと体質が創る。なぜなら、法人がお客様に提供する品質は、最終的には社員それぞれが「自分が関わった以上おかしなものを世に出したくない」という品質に対する誇りが創るからである。社員が誇りを持つ入り口には次の4つがある。
- 仕事の意味を感じる
社員1人1人が、どのようなきっかけで「仕事の意味」を感じたのかを把握し、その機会を意図的に社内の育成モデルの中に組み込んでいくことが大切である。 - 一流に触れることで生まれる憧れ
一流に触れた時、人は「自分もあのようになりたい」という憧れを抱く。 - 成果を出し続けるプロの思考を知る
キャリアの本当の意味は目指すものではなく、自分への流れをつくった先にできるもの。これを自覚的に実践し続けることで、その姿勢が当たり前となり、誇りへと変わっていく。 - 自分で自分のことを裏切らないという意識
数値目標と自分の中の誇りとの間の葛藤で、心が揺れている時に、上司が「本当にそれで良いのか」と問いかけ、本人が自ら選択する。そのプロセスを通じて、誇りは次第に確かなものへと育っていく。
C-IDLAで試行錯誤する
「ユーザーハピネス」と「法人としての器を大きくする」という2つが法人の未来をつくる基盤であり、その基盤を育てるのが未来に向けての試行錯誤「C-IDLA」である。C-IDLAは以下のサイクルを回す。
- Compass:法人として進む大きな方向性
- Image:大きな方向性の実現に向けて、一歩目となる近い目標像を描く
- Do:実行する
- Learn:ついた実力を確定する
- Action:次なる小さな目標像を描き、新たな行動を起こす
まず法人としてどんな状態を創りたいのか」という目標像を描き、経営方針として掲げる。方向を定めたことで生まれる安心をベースに、コンパスの方向に進んでいくためのイメージを描く。そして、その実現に向けて仕事し、振り返りを重ねる中で、ついた実力を言語化し、個人と法人の中で積み重ねていく。