AIを投資に活用する上で大切なこと
生成AIは投資の強力なサポートツールになり得るが、「未来を正確に予測する」「儲かる銘柄を教えてくれる」といった万能な存在ではない。AIが得意なのは、人間では処理しきれない大量の情報を整理・比較し、一定の傾向や共通点を見つけ出すこと。市場では似たようなパターンが繰り返し現れることがあり、AIは過去の株価の推移や出来高、業績、配当、各種指標などを横断的に分析することで、人間が見落としやすい特徴や変化を抽出することができる。
但し、現状のAI技術では、ハルシネーションを完全に防ぐことは困難であり、生成AIの出力は常に正しいとは限らない。AIの回答を鵜呑みにせず、必ずIR資料などの一次情報を確認した上で、最終的な売買は自己責任で行うことが大切である。
また、株価や決算などのリアルタイム性が求められる場面では、まだ十分とは言えないAIの性能を補うために、渡すデータは信頼度が高い一次情報(IR資料や決算書、適時開示情報、プレスリリース、公式サイト情報など)を利用者側が指定する必要がある。
AIを長期投資の分析に利用する
短期投資では株価や出来高の急変、突発的なニュース、市場参加者の心理変化などをリアルタイムで追い続ける必要があるため、AIには向いていない。一方、長期投資とは非常に相性が良い、長期投資では、過去数年分の業績推移や決算情報などをもとに企業を分析する。大量の情報を整理し、比較し、共通点を見つける作業は、AIが特に力を発揮しやすい分野である。
AIによる回答を鵜呑みにするのではなく、対話しながら自分なりの判断軸を育てていく。疑問を持ち、深掘りし、自分の言葉で納得するまで考える。その積み重ねが、長期投資で結果を出すための一番の近道になる。
AI活用による投資スタイルの1つが、「割安成長配当株」への長期投資である。毎日株価を追いかけて売買を繰り返すのではなく、業績が伸び続ける企業を見極め、配当を受け取りながら3年、10年と長く保有していく。企業の成長と配当の積み上がりを同時に取り込んでいく。AIを活用することで、決算分析や情報整理を効率化できる。
大切なのは「理論株価よりも割安か」「業績や配当を維持・成長できるか」を継続的に確認しながら、自分が理解できる範囲で運用すること。長期投資では、次の3つの原則が大切である。
- 3年保有:3年単位を目処として小さな利確を避けて長く保有
- 1円損切り:購入後1ヶ月までを目処に含み損を損切り
- 割安成長配当株:株価が理論株価より割安か、理論株価の成長回数、配当の増配回数を重視
理論株価とは、今実際に市場で売買されている株価ではなく、その企業の財務指標や将来の業績予測から算出される「企業の実力に見合った本来あるべき価格」のこと。現在の株価と理論株価を比較し、さらに理論株価の推移を過去から時系列で見ていくことが大切である。理論株価の推移に注目すれば、「右肩上がりか右肩下がりか」で、成長企業か衰退企業かを一目で見分けられる。
理論株価は様々なメディアや証券会社が出しているが、「はっしゃん式理論株価」も投資判断の指標になる。
AIで投資銘柄を絞り込む
株式投資で大きな差がつくのは「何を買うか」よりも、「どんなテーマに注目するか」。まだ市場に十分認識されていない成長テーマを早い段階で見つけられれば、その後の銘柄選びは有利になる。AIは、自分の興味や関心を整理しながら、投資テーマを一緒に深掘りしてくれる。最初からおすすめ銘柄を聞くよりも、まず「世の中で何が起きているのか」「その変化で恩恵を受ける業界はどこか」を整理する方が、納得感のある投資テーマにつながる。
気になるテーマが見つかったら次はそのテーマが本当に投資対象に適しているかを深掘りする。「なぜその市場が伸びるのか」という構造を理解する。単なる一時的な流行なのか、長期的に追い風があるのかという違いを見極めることが重要になる。さらに「どのくらいの時間軸で成長を考えるのか」という視点を意識する。
投資テーマを見つけた後、「関連銘柄の抽出」を行う。投資テーマの恩恵を受けそうな銘柄を理由と共にAIに聞いて、候補を絞り込む。その際には、自分の投資スタイルをAIに伝える。
銘柄を絞り込んだ後は、次の2つの視点で銘柄分析を行う。
- 定性的分析:企業のビジネスそのものを分析する
- 定量的分析:売上や利益、財務データなど数字から分析する
さらに同業他社と「収益性」「割安度」「成長力」「株主還元」といったポイントで比較を行い、投資判断の精度を高める。
最後に理論株価で現在株価とのギャップを見抜く。「割安なのか、割高なのか、概ね適正なのか」を掴む。AIの評価を見る時には、「割安=買い」とは限らない点に注意。市場が割安のまま放置しているには、それなりに理由があることも少なくない。