他者を理解する能力こそが重要
親切で満たされた人間になるための前提条件は、まず自分から心を開くことだが、それだけでは足りない。人にはソーシャルスキルが必要だ。友情を築くとか、コミュニティを作り上げるためには「人間関係を壊すことなく反対意見を述べる」「適切な頻度で自分の弱さをさらけ出す」「良い聞き手になる」「自然に会話を終わらせられる」「苦しんでいる人への寄り添い方を知っている」など、小さな社会的行動がしっかりできなければならない。そして、これらの様々なスキルの根底は「他者を理解する能力」という1つの基礎の上に成り立っている。
人間は食物や水が必要なのと同じくらい、他者から認識されることを必要としている。無視されること、取るに足りない存在だと思われることほど残酷な仕打ちはない。一方で「誰かが私を見つめている」「私は理解されている」と感じた時ほど心が満たされることはない。他者をしっかりと見つめる能力は、人と人の繋がりを築くために重要である。自分の視点だけでなく、相手の視点からも事物を見ることができれば、人生はずっとスムーズに進む。
相手を尊重する眼差しを持つ
どんな集団にも次の2つの人たちがいる。
①ディミニッシャー(減じさせる者)
「私はちっぽけな存在だ」などと相手に感じさせる人のこと。自分以外の人のことを、利用価値のあるものとして見ている。自分のことしか考えていないので、彼らに他人のことなど全く映っていない。ディミニッシャーが持つ主な癖は以下の通り。
- 相手を品定めする
- 利己主義
- 不安
- 相手の心を低く見積もる
- 客観主義
- 本質主義
- 思考の停止
②イルミネーター(照らす者)
他者に対する好奇心を絶え間なく抱いていおり、他者を理解するスキルを持つ人のこと。どこに注目するか知っているし、適切なタイミングで適切な質問をする。相手の心の中に眠っていた思いやりを磨いて輝かせ「私は大きな存在で、尊敬されていて、光っている」と感じさせてくれる。イルミネーターの性質は以下の通り。
- 優しさ
- 受容力
- 積極的な好奇心
- 愛情
- 寛大さ
- 全体的な態度
イルミネーターとなり、相手のすべてを見つめることは、いつの間にか自然にできるようになることではない。これは技術であり、スキルセットであり、生き方そのものだ。イルミネーション主義を実践するということは「私はあなたのことを知りたいし、あなたにも私のことを知って欲しい」という眼差しを送ることを意味する。それは相手を尊重する気持ちを話す眼差しだ。
イルミネーターになる努力をしても、そうなりきれないこともある。しかし、他者に対して優しく寛大で受容的な眼差しの光を照射しようとベストを尽くせば、少なくとも、正しい進路を進むことができるだろう。
相手に寄り添う
相手を深く知るために、眼差しの光を照射できるようになったら、次のステップは寄り添いだ。人は生活の9割を自分のことばかり考えて生きている。寄り添いとは、日常生活において自分以外のものを中心に据えて行動することだ。誠実な存在として相手の役に立つために、ただそこにいるだけで、何がやってこようとただそれを受け入れるだけだ。
寄り添いは3つの性質を持つ。
①忍耐
寄り添うことで得られる信頼はゆっくり築かれる。他者を知ろうとすれば、その人の脆さをさらけ出してもらうことが避けられないため、せっかちなアプローチは嫌がられる。相手の時間表を尊重して待つこと必要になる。
②遊び心
人は遊んでいる時の方がリラックスして自分自身をさらけ出すものなので、努力しなくても心が繋がりやすい。
③利他性
誰かに寄り添うということは、自分以外の人が立てた計画に従うことを意味する。
相手の物の見方を尋ねる
人とは視点である。人は、人生で起こった数々の出来事を糧にしながら私的な世界観を作り出す。人は誰もが自分の人生で経験したことを統合させながら複雑な世界を表現している。その主観的意識が、その人をその人たらしめ、その人特有の見方を作る。
他者を深く理解するには常にこう自問すること。この人はこの状況をどう見ているのだろう? この人はこの瞬間をどう経験しているのだろう? この人はこの人のリアリティをどう構築しているのだろう?
その人のことを深く知るには、その人の物の見方を尋ねなければ始まらない。良い会話とはお互いに意見を表明し合うことではない。良い会話とは一緒に掘り下げていくこと、人を刺激して、ひらめきを導く。良い会話の方法には次のものがある。
- 会話だけに100%の注意力を向ける
- 能動的にうるさい聞き手になる
- 馴染みの話題を大切にする
- 相手に出来事や経験を尋ねるだけでなく、その時の気持ちも尋ねる
- 間が開くことを恐れない
- 相手が言った内容をリピートして応じる
- 相手が自力で深めようとしている考えを受け取って発展させる
- 意見の不一致の元となっている価値観の不一致を見出す
- 相手の上を行こうとしない