ほんとうの自分で人といられるレッスン

発刊
2026年6月19日
ページ数
320ページ
読了目安
327分
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自然体の自分を取り戻すメソッド
即興演劇(インプロ)の専門家である著者が、自分自身の言葉を取り戻し、恐れずに他者との人間関係を構築していくためのメソッドを紹介している一冊。

人は大人になると、周囲の目を恐れたり、場の空気を読んだりして、本来の自分の出せなくなる。そうした恐れを克服し、本当の自分を取り戻すための考え方が書かれています。

人は成長すると恐れを抱く

人は成長していく中で様々な恐れが出てくるようになり、即興で表現することが難しくなっていく。そして「準備されたもの」「正解らしいもの」しか表現できなくなっていく。

 

①失敗への恐れ

子供は成長する過程で「ちゃんとやる」ことが求められるようになり、それができないと有形無形の罰を受ける。そのような罰を受けることで、失敗への恐れが生まれる。その防衛反応として、次のような行動を取るようになる。

  • 何もしない
  • 「正解」を探る
  • 失敗への予防線を張る
  • 失敗を認めない

 

②評価への恐れ

人はある頃から、客観的に自分を見ること(メタ認知)ができるようになる。メタ認知は物事を正確に伝えるためには重要だが、同時に「自分がどう見られているか」が気になり出す。その結果、次のような行動を取るようになる。

  • 何もしない
  • 賢く見える振る舞いをする
  • 好かれる振る舞いをする
  • 強く見える振る舞いをする
  • 道徳的に見える振る舞いをする

 

③変化への恐れ

人は本来、現状を維持したい生き物である。そのため、未知のものに向き合う時には「このままでいたい」「変わりたくない」という恐れも生まれる。変化への恐れが強まると、人は次のような行動を取るようになる。

  • 何もしない
  • 物事をコントロールする
  • コントロールされる
  • 曖昧にする

 

④対立への恐れ

人は社会的な生き物である。子供は発達すると、場の空気・関係性全体についても気にするようになる。これもメタ認知と同じく、「場を乱したくない」という恐れが生まれる。対立への恐れが強まると次のような行動を取るようになる。

  • 何もしない
  • 当たり障りのないことを言う
  • 迎合する
  • 婉曲に表現する

 

恐れない自分になる

恐れを手放し、人と自由に関わるためには、まず自分自身が自由になることである。

 

①自分の言葉を取り戻す

多くの人は、人を前にすると「うまくやろう」「特別であろう」とする。しかしそのことが恐れを生み出す。インプロ(即興演劇)の父と呼ばれるキース・ジョンストンは大人の頭の中には「検閲官」がいると考える。その検閲官が自然と浮かんできたアイデアに対して「間違っているのでは」などとジャッジする。この検閲官が強くなると「思ったことを言えなくなる」と言う弊害に陥る。

 

思ったことを言うのが難しいのは、その多くが感情に関わることだからである。多くの大人は意識的か無意識的化の違いはあれ「感情を出してはいけない」と考えている。その結果、自分の感情を表現できなくなったり、感情に気づけなくなっている。

感情を表現することが難しいのは、それが自分の弱さを見せることになるからである。しかし、弱さを見せることは必ずしもネガティブなことではない。研究では、充実した人間関係を築いている人ほど、自分の弱さを隠していないという共通点があった。人は「自分の不完全さ」「自分の弱さ」を見せられる人に心を開く。

 

感情を言葉にするには、いくつかのコツがある。

  1. 胸に手を当て、感情に気づく
  2. 時間を取る
  3. 言葉にならない言葉を認める

 

②失敗を楽しむ

失敗を恐れていては新しいことを学べない。失敗をオープンにすることは、場に対する貢献である。失敗をオープンにすると、場は軽く明るくなり、よりチャレンジできるようになる。失敗をオープンにすると、人は「チャーミング」になる。人前でチャーミングであれば、自分がやっていることが、よくわからないことでも、存在自体が相手に受け入れられる感覚がある。

 

ほとんどの場合、人は初対面の相手に対して「自分のいいところ」を見せようとする。それは相手から評価されることにはつながるかもしれないが、相手と助け合えることにはつながらない。失敗はすぐにオープンにするほど認めやすく、受け入れやすくなる。この時には深刻にならず、ユーモアを持ってオープンにするのがコツである。中には笑えない失敗もあるが、その時には誠実さが大事になる。

 

失敗をオープンにしたり、チャレンジすることは「自分が面白がれる範囲を広げる」ことにつながる。そして「面白がる力」は恐れから自由になる上で、重要な力になる。面白がっている時にはもう恐れていないからである。

多くの人は問題が起こった時にそれを受け入れるかどうかで迷う。しかし既に起こった現実と戦っても必ず負ける。問題と現実として受け入れて前に進む方が創造的な態度である。そもそも「何が問題か」は人による。「ちょうどよかった」を受け入れることで前向きに対応できたり、複数のアイデアが出てきたりする。そのためには、ユーモアを発揮すること。ユーモアとは「思い通りにいかないことを面白がること」である。