顧客思考が成果を生む
成果を出す人は必ず顧客思考で動いている。顧客に会い、顧客の本音を考え、顧客目線で仕事をする。シンプルな言葉で顧客を動かす。大きな結果をつくるためには、まずお客様が誰か、どんな課題を抱えているかをシンプルに理解することが大切である。
単にAIと対話したり、会議室の中で議論をする中で「顧客理解を深めよう」と話すだけでは足りない。実際に顧客に会いに行き、対話し、観察し、ともに時間を過ごすことが必要である。顧客の無意識の行動や、言葉にならない文脈の中にこそ、本質的な課題が隠れているからである。
顧客思考の7つの原則
①WHO:顧客からはじめよ
あらゆるビジネスは「誰のためにやるのか」を決めることから始まる。始めから対象が決まってないとメッセージは必ず曖昧になる。その結果、誰の心にも刺さらない、ぼやけた存在になってしまう。
ターゲットを決める際には、次の2層構造で考える。
- コアターゲット:最も投資やコミュニケーションを集中すべき人
- 戦略ターゲット:コアターゲットを起点としてビジネスとして売上を作るための広がり
コアターゲットの深い悩みに突き刺さるような鋭いコンセプトを作ると、結果として戦略ターゲットも巻き込んで広がる。
②PAIN:隠れた課題を見つけよ
お客様の声をそのまま鵜呑みにしても、圧倒的な成果は出ない。お客様は自分の本当の課題を言葉にできていないからである。顧客も気づいていない「不」を見抜くことが、ビジネスの勝敗の大きな分かれ道になる。
顧客の潜在課題を掘り当てるには、次の3つのアプローチがある。
- Whyを問い続け、表面的な不便の奥にある構造的な原因を突き止める
- 社会の変化から、新しい「ズレ」を発見する
- トレードオフを見つけ出し、技術やアイデアで両立させる
③VALUE:顧客主語で話せ
顧客にとって重要なのは「あなたの会社がすごいかどうか」ではない。「そのすごい技術を使ったら、私の人生がどう良くなるのか」である。「モノの機能」の説明をやめ、「顧客にとっての価値」を語ること。
×企業主語:「私たちは〇〇という機能を持っています(特徴、機能)」
◯顧客主語:「あなたは△△できるようになります(価値、未来)」
④CONCEPT:ひと言が最強
顧客は情報の洪水を浴びており、記憶に残るのは、せいぜい「ひと言、ふた言」だけ。直感的に「なるほど、そういうことか」と理解できる言葉が必要である。
市場を制するのは、その市場を最初に定義した企業、世に浸透する新しいカテゴリーやコンセプトを定義した企業である。「全く違うもの」であることを一瞬で示すためには、新しいフォルダを顧客の脳内に作らせなければならない。そのための武器が「コンセプト」である。
⑤IMAGE:イメージで届けよ
脳は考えることを極端に嫌う。どれだけ論理的に正しい説明をしても、「直感」というゲートキーパーを突破できなければ、その情報は脳に届かない。必要なのは、長い説明文ではなく、一瞬で価値を脳に焼き付ける「イメージ」である。
「その商品を使うと、どんな素晴らしい未来が待っているか」を1秒で直感させる、思い出させるシンボルを持つこと。このシンボルを形成する要素で、特に重要なものには「ビジュアル」「サウンド」「グラフ/図」「キャラクター」「モーション」などがある。
⑥BARRIER:バリアを壊せ
人々が商品やサービスを「いいな」と思ったとしても、すぐに行動するとは限らない。むしろ「欲しい」と思った直後に、「本当に効果があるのだろうか」「失敗してお金をドブに捨てたくない」といった強力な感情のブレーキをかける。
人が行動するかどうかは「行動=動機(欲しい)-バリア(動けない)」と考えることができる。多くの企業は「動機」を高めようと必死だが、目の前に「壁」がある状態で背中を押してもぶつかるだけ。成果を出す人は顧客が前に進むのを邪魔している「見えない壁」を見つけ出し、それを破壊することに全力を注ぐ。
この顧客のバリアは3つの整理できる。
- 失敗への恐怖
- 自分に使えるか
- 効果への疑念
⑦GO OUT:顧客に会え
どんなに優れた戦略フレームワークよりも、どんなに精緻なデータ分析よりも、まず顧客に会いに行くことが大切である。リアルな現場での肌感覚が、戦略や企画のコアになる。
顧客に会えば、潜在課題に関するリアルな仮説が浮かび、また顧客に直接対面して検討することができる。一方で、顧客に会わずペルソナを立てることのみでは、妄想の仮説に終始してしまい、声が大きい人の意見だけが通ってしまうという事象が起こる。