リーダーシップとは
リーダーシップとは、何をすべきか、どのようにすべきかを理解し、同意するように他者に影響を与えるプロセスであり、共有された目標を達成するために個人や集団の努力を促進するプロセスである。この定義をもとに考えると、リーダーシップの特徴が3つ見えてくる。
- リーダーシップはリーダーとフォロワーの間で発生する
- リーダーシップが発生することでリーダーとフォロワーが決まる
- リーダーとフォロワーの間に共有された目標が必要である
リーダーシップとは共有する目標を達成するための活動をフォロワーから引き出し、その活動に影響を与えるプロセスである。この構造から、まずリーダーが検討しなければならないのは、リーダーとしての働きかけではなく、目標や成果である。目標や成果を決め、それをもたらすフォロワーたちに期待する行動や活動は何かを考えた後に、初めて自分が何をしたら良いかを考える。
リーダーシップ論の様々なアプローチ
リーダーシップ論は、古い理論を塗り替える「上書き」ではなく、それまでの理論ではカバーできていない新しい見方、新しいあり方を模索した結果、広がってきた。そして、どこに着目すればリーダーシップが発揮されることを理解できるかという広がりと、そのリーダーシップでどのような行動を引き出せば良いのかというフォロワーの行動の広がりの掛け算によって研究が広がってきた。
リーダーシップ論において、リーダーシップはリーダーに宿るものだという考え方は主流である。優れたリーダーシップを発揮するリーダーはどのような特徴を持っているのか。リーダーシップ論では、4つの側面からアプローチしている。
- 特性:偉大とされるリーダーに共通する特徴を見出す
- 行動:結果を出すリーダーとそうでないリーダーの間の行動の違いを分析する
- 状況:リーダーシップが発揮される状況・条件にとって、最適なリーダー行動は異なる
- 価値:リーダーが示すビジョンや価値観に着目する
リーダーの行動と成果
リーダーの振る舞いに注目したリーダーシップの行動論では、人間関係志向(従業員中心)の行動と、タスク志向(仕事中心)の行動が、やるべきことをきちんとするようなフォロワー行動をもたらし、その結果、成果が上がると考えている。しかし、実際のリーダーとフォロワーの関係は複雑である。例えば、あるリーダーの振る舞いが、フォロワーのある行動と別のある行動をもたらす可能性がある。
変革型リーダーは、ビジョンや価値観のもとに強い力でフォロワーを引っ張っていくイメージが強いが、実際に変革を成し遂げるリーダーは、周囲からの支援や信頼をもとに人々を巻き込んでいく。そのため、フォロワーを尊重し、動機・勇気づけることも重要になる。
リーダーシップを振るう際に、必ずしも1つの行動だけで事を成し遂げられる訳ではない。ただ、リーダーは時にこれを必要な1つの行動だけで、なんとかなると考えがちである。リーダーシップ論では、あるリーダーの振る舞いが、フォロワーの好意的な反応や成果につながることが多く語られるが、良い作用ばかりではなく、悪い副作用をもたらすこともある。目標設定や最終結果への強い意識はモチベーションを高める一方で、非倫理的行動やフォロワーの健康悪化、リーダー自身の燃え尽きにつながる可能性がある。
リーダーシップ論において「任せる」ことの重要性は古くから言われていた。高業績リーダーの特徴の1つに部下と一緒に仕事をしないという項目がある。これは任せるリーダーとそうでないリーダーの違いである。
但し、権限委譲はフォロワーのキャリアの自己肯定感や満足感を高めるが、行き過ぎれば逆効果となる。また、感情表現は状況や程度によって信頼を高めもすれば損ないもする。
リーダーとフォロワーの関係性
リーダーシップはリーダーの振る舞いだけで作動するのではなく、リーダーとフォロワーの関係性を踏まえて作動するものである。自分がフォロワーにどのように捉えられているのか、フォロワーにとっての報酬とは何かをきちんと把握しておかなければ、一般的に効果的な方法も上手くいかないことがある。リーダーは臨機応変、状況に応じてスタイルを変えていくことが大事になる。
リーダーシップを左右するのは、行動そのもの以上にリーダーとフォロワーの関係性の質である。関係性は「見知らぬ関係→なじみの関係→成熟した関係」へと進む。一方でフォロワーとの関係性によっては、分断や一体感の低下を招くため、公平性に気をつけながら信頼を育み、えこひいきに見えない配慮が求められる。
1つのリーダーシップの働きかけはポジティブな結果だけでなく、ネガティブな結果ももたらすことがあることを忘れてはならない。自分の働きかけや振る舞いを今の自分の職場で示した場合、どのようなことが起こるのかを想像力豊かに考える必要がある。