自分だからできる仕事のつくり方

発刊
2025年8月20日
ページ数
240ページ
読了目安
269分
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新しいビジネスのアイデアを生み出す思考法
愛知県岡崎市で中小企業支援を行う「オカビズ」で、1000件以上の新規事業を生み出してきた著者が、新しいビジネスのアイデアを生み出すための方法を体系的にまとめた一冊。

観察力を磨き、情報収集を習慣化した上で、それらの情報を組み合わせることで、新たなアイデアを生み出すという、イノベーションを発想するための定石を日頃から習慣化し、そのように「ひらめき」を得れば良いかを理解することができます。
新しい仕事を見つけることは、才能ではなく、スキルであるとし、実践的な方法論が書かれています。

自分らしい仕事を見つけられる人の特徴

「自分らしい仕事」を見つけられる人とは、「観察」を起点に「発想」し、「行動」できる人である。観察力に優れ、いいと思ったことはすぐに実行し、得られた結果をもとに発想する。この3つがシームレスにつながると「自分にしかできない仕事」は自然と生まれる。

 

「その人ならではの仕事」をする人には共通する習慣がある。新たな事業を生み出せるか否かは、才能ではなく、誰もが学び習得することができる「スキル」の有無で決まる。

 

観察力を磨く「8つの習慣」

自分らしい仕事を生み出すためには、様々な物事に対してアンテナを張り、情報を収集している必要がある。イノベーションの源泉は、雑多で圧倒的な情報種集にこそある。興味のあることから、興味のないことまで、そして社会の大きなニュースから、日常の些細な出来事に至るまで、日々の出会いを面白がり、アンテナを張っているからこそ、日々を「自分だからできる仕事」を生む糧にできる。

雑多で圧倒的な情報収集には、意識的にニュースを見たり、本を読んだりするだけでなく、物事を「自分ごと」として捉える当事者意識が必要である。自分だからできる仕事を生み出していく人は、ほとんどの場合、新しい出会いや思いがけない出来事があった時に、ポジティブかつ自分ごととして向き合っている。

 

雑多で圧倒的な情報収集ができるようになる「観察力」を磨くためには、次の8つの習慣がある。

①1日1初体験

小さな一歩でよければ、毎日でも「小さな初体験」は盛り込める。
ex.いつも使う駅の1つ前で降りる、頼んだことのないメニューを頼む、入ったことのないお店に入る

 

②たまに本屋で30分

普段足を運ばない棚に行ってみる。国内だけで3000種類を超える雑誌があると言われており、これだけターゲットは細分化されていて、それぞれに異なるニーズがある。

 

③コンビニはスマホ片手で

コンビニは世の中のトレンドの縮図。様々な領域のメーカーが棚のシェアを奪い合ってしのぎを削った結果、棚が出来上がっている。仮説を立てながら棚をめぐり、何か発見したと思ったら、スマホでメーカーから出ているプレスリリースなどを検索する。

 

④ドラマよりCM、記事より広告

広告は、企業が何千万、何億ものお金をかけて制作し、世の中に流している。その背後には、緻密なマーケット分析やターゲット調査がある。そのため、なぜこの広告を打つのかを考えることは、世の中のトレンドを知ることに貢献する。

 

⑤レストランでは掛け算

入った店で、提供者側の目線に立って観察し、お客様の回転数、客単価、座席数やメニュー表、周囲を観察し、それらを掛け算していくことでお店の売上を予測する。

 

⑥勝手に社長

「もし私がこの会社の社長だったら?」と自分に問いかけてみる。妄想が浮べばOK。仮説1つ1つを自分なりに考えることが、自分らしい新しい仕事をひらめく際のヒントになる。

 

⑦よってたかってやいやい

何か面白いサービスや商品に出合った時、1人で消化せず、複数の人で「やいやい」と対話する。同じものでも、見る角度や捉え方が異なれば、異なる魅力や可能性を見出すことができる。

 

⑧気づいたらつぶやけ

アウトプットこそ最大のインプット。気づいたことや観察したことはSNSで発信すると、自分の中で咀嚼が進む。

 

無限の可能性を開拓する「タグづけ発想法」

自分にしかできない仕事を生み出すためには、最後には「ひらめき」が必要になる。普段から観察する「習慣」を身につけ、「タグ」を駆使して連想を働かせる練習をしておくことで、いくらでもアイデアをひらめくことができる。

 

他業界のものでも、似たようなビジネスの構造に気づけば、それぞれの分野での知見や成功事例を活かしたり転用したりすることも可能になる。大事なのは、表面上は全く違うビジネスに見えて、同じ構造を持っているという「構造的類似」に気づくこと。構造的類似とは「具体物を抽象化して捉えた時に、その抽象の中での構造が似ていること」である。

構造的類似に気づける人は、もれなく観察を「学び」に変えている。インプットしたものの構造を見抜き、様々な角度でそれらを「組み合わせる」ことが大事になる。

 

「タグづけ発想法」は、自分が観察した物事を、要素分解し、様々な「タグ」をつけて、脳内におさめていく。タグ付けする際には、以下の4つの視点で観察し、整理していくと、観察した情報を取り出しやすい形で蓄積できる。

  1. ものごと:商品やサービスそのものの特徴
  2. じぶんごと:その商品やサービスから得られるベネフィット
  3. 社会ごと:その商品やサービスを必要とする時代背景、社会課題、意味づけ
  4. おみごと:商品・サービスをビジネスモデルとして捉える

 

具体から抽象を見出し、抽象から異なる具体に思考を広げていく。そういった中で「似たような他の何か」のビジネス展開や市場トレンドをヒントとしていく。

 

参考文献・紹介書籍