熱狂的ファンのつくり方 1分間顧客サービス

発刊
2025年7月30日
ページ数
186ページ
読了目安
200分
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熱狂的ファンを生み出すための方法
星野リゾート代表が、顧客サービスを考える上での学びを得たとする一冊。
どのようにすれば、熱狂的なファンを生み出せるのか。
顧客サービスを考える上で不可欠な3つの秘訣が紹介されています。

特に消費者向けのサービスを展開している企業や経営者、サービス従事者にとって、有益な内容になっています。

顧客を満足させるだけでは話にならない

この頃はどこもサービスがひどく、顧客は失礼な扱いに慣れてしまっている。しかし、顧客が文句を言わないからといって、企業がそんな顧客サービスで事足るとしていたら、顧客はいつか暴動を起こす。アンケートで「満足している」という答えが返ってくるのは、期待の水準が低く、どこのサービスも似たり寄ったりだからに過ぎない。他社がほんの少しマシなことをしたら、あっという間に離れていく。

 

今どき、顧客を少々満足させたところで何の意味もない。必要なのは、満足させることではなく、ワクワクさせて惚れ込んでもらうことだ。成功するためには「熱狂的ファン」をつくる必要がある。「熱狂的ファン」を生み出すためには3つの秘訣がある。

 

第一の秘訣:自分は何をしたいのかを決める

やるべきことは、自分は何をしたいのかを決めるということ。つまり、自分自身が決断と行動の出発点であることを忘れないことである。

自分は何をしたいのかを決める時には、顧客の立場に立って理想のサービスを思い描くことが大切である。どんなサービスを理想として追求するかを決めるのは自分自身。しかし、独りよがりの理想では意味がない。自社のサービスの現状を理想的なサービスと照らし合わせ、何ができていて何ができていないのかを確認しなくてはならない。

 

第二の秘訣:顧客の望みを見極める

顧客の望みを見極めたら、必要に応じて、自分が思い描いた理想のサービスを変更する。顧客の望みに合わせてサービスの内容を変えるのに、最初に理想のサービスを思い描く必要があるのには3つの理由がある。

  1. 自分の側にビジョンがなければ、顧客の望みを理解することができない
  2. 顧客の望みを見極めることができたといっても、多分1つか2つのことがわかったに過ぎない。それ以外は自分自身のビジョンで埋める必要がある
  3. 理想のサービスを決めておくことで、どこまでなら顧客の望みを叶えられるかという限界がわかる

 

顧客サービスになると、誠実で熱心な人ほど、すべての人のすべての要望に応えようとすることが多い。しかし、そんなやり方はうまくいかない。顧客の要望に応えなくてはならないのは、これを提供しようと思い描いた、理想のサービスの範囲内に限ってのことだ。だから、最初に自分自身のビジョンを持たなければならない。

 

顧客の望みを知るには、顧客にたずねること。彼らにたずね、彼らが何を言うか、何を言わないか、その両方に注意深く耳を傾けるのだ。顧客から話を聞いて、本当に何を望んでいるのかを見極めるのは簡単ではない。それを見極めるには、言葉だけでなく、言葉の背後にあるものも聞き取らなくてはならない。人が本当に望んでいることは、言葉になって出てこないことが少なくない。

 

顧客の話を聞く時、3つの落とし穴がある。

  1. 顧客は本心と違うことを言う場合があること
  2. 「問題ありません」という答え
  3. 沈黙

顧客が何か苦情を言ってきたら、きちんと聞かなくてはならない。しかし、顧客が何も言ってくれない時や、素っ気なく「問題ありません」と言った場合は、もっと真剣に耳を澄まさなければならない。そこに解決すべき問題が潜んでいる。「問題ありません」「沈黙」も、顧客からの確かなメッセージであることを、しっかり意識することだ。

 

第三の秘訣:一歩先を提供する

ビジョンに1%足して提供する。サービスを提供する上で、一番大事なのは一貫性、つまり100%実行することだ。終始一貫して揺らぐことがなければ信頼が生まれる。

「熱狂的ファン」をつくろうとしている途中の段階では、企業と顧客の関係は些細なことで壊れてしまうほど脆い。大抵の顧客は、それまでに企業の対応に腹を立てた経験があって、そう簡単に企業を信じない。

 

新しいことを始める時は、欲張ってサービスの範囲を広げ過ぎないことだ。範囲を絞ることによって一貫性を保つことができる。実行するのが難しいほどの規模のサービスを約束するのは愚かなことだ。小さなことを見つけて約束し、それを確実に実行する方が賢いやり方だ。

 

一貫性を保つには、そのための仕組みをつくる必要がある。一貫性を担保するのは心掛けや精神論ではなくシステムだ。システムはルールではない。システムが決めるのは行動の指針だ。ここまでできたら素晴らしいという目標ではなく、これだけは必ずやるという最低ラインであって、そこに何を加えるかは個人の裁量だ。

一貫性をもって確実にサービスを提供できるようになったら、次に重要なのが、一歩先を行くだ。1%が重要なのは、私たちを常に前進させ続け、道の先にある理想のビジョンに意識を集中させてくれるからだ。やるべきことは、今より1%改善することだけ、週に1%の改善を1年続けたら、スタート時と比べて50%以上改善できる計算になる。たった1%ずつ変えていくことで大きな違いが生まれ、最終的には大きなことが達成できる。