人に喜ばれる仕事をしよう

発刊
2014年7月1日
ページ数
239ページ
読了目安
261分
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推薦者

感動をつくる会社のつくり方
お客様を感動させる企業は、どのようにつくればいいのか。様々な感動企業のエピソードを紹介し、感動をつくる会社のつくり方を解説している本です。

価格競争をやってはいけない

中小企業が、絶対にやってはいけない競争は「価格競争」である。価格競争は誰にとっても幸せにならない。価格競争の弊害は、同業者間だけではなく、原料の仕入れ元や下請け業者にまで及ぶ。例えば、酪農の現場では、自分が育てている牛に、太郎や花子といった名前をつけてかわいがっている。しかし、愛情を注がれてつくられた牛乳が、最終的に食品スーパーに並んだ時、安売りなどの際には100円を下回るような価格で売られている。当然、酪農家が得る収入に影響がでる。価格競争に巻き込まれないためには、品質などに加えて「感動の商品・サービス・経営」といった付加価値が大切である。

 

サービスの5段階

物質的豊かさを重視する時代から、心の豊かさを重視する時代、多くの人々の価値観は物の価値からサービスの価値に移行をしてきている。しかも求められるサービスの内容・レベルも年々高次化してきている。

①義務サービス
その業界や企業に法律などで義務づけられている最低レベルのサービス

②当然サービス
サービスの提供者が、どんな業種・業態であれ「当然行うべき」と思われるサービス

③期待サービス
「こんな事をしれくれたら」といった「当然」を越えたサービス

④感動サービス
第3段階の期待を越えた「ちょっといい気分になる」といった良質のサービス

⑤感動・感激・感嘆・驚嘆のサービス
「あり得ない!」「ここまでしてくれるのか!」といった高レベルのサービス

 

今日、多くのお客様が強く求めているサービスは、第3段階以下のサービスではなく、第4段階や第5段階のサービスである。好不況にブレずに好業績を持続する「いい企業」は、常に「お客様よし・会社よし・地域よし」といった経営ポリシーを掲げ、「感動経営」を愚直に一途に実践している。

しかもそのサービスは、真にお客様1人1人の側に立った心温まる感動・感激・感嘆・驚嘆のレベルのサービスである。心温まる「感動サービス」を受けた人々は、その瞬間からそのお店・企業のファンとなり、やがて単なる「たまたま客」から「わざわざ客」に変化・変貌していく。

 

消費者は「感動」を消費する

1980年頃を境に、多くの製品において供給が需要を上回り、モノ余りの時代に入った。モノがなかった時代は「便利さ」や「快適さ」といった豊かさを追い求めてきた。しかし、モノ余りの時代になると、モノから心の欲求に変わる。そうした中で、感動そのものを求め消費するようになった。但し、感動への欲求がどんなに旺盛でも、多くの人がそれを満喫するために費やせる時間は限られている。だからこそ、「満足」といったレベルではなく、「感動」レベルの商品・サービスが必要なのである。

 

人が感動する時

「人が感動する時はどんな時か」は以下のように整理される。

①お客様が大切にされている実感
「私はお客として大切にされている」というのが、感動を与えるサービスの大前提である。

②ニーズへの最適化
「顧客の顔・名前・好みの記憶力」「顧客情報・ニーズ把握による適切な対応」「きめ細かな気配りのあるサービス」などにより、お客様のニーズへのサービス最適化が感動を呼び起こす。

③価値の優位性
「本物・本質を追求した商品・サービス」「他にない商品・サービス」「予想外の製品・サービス」などの総合的魅力度が感動を呼ぶ。

④不測の事態への対応
不測の事態の場面で、お客様の問題解決に貢献する事ができれば、大きな感動を呼ぶ。

 

感動の商品サービス文化がつくられるプロセス

①お客様の重要感の充足
②お客様のニーズの充足
③精神的交流(お客様と企業の経営者・社員との人間的関わり)
④お客様の意識・行動の変容(企業に対する好意的反応)
⑤社員の働きがいの実感
⑥より多くの企業・地域・社会全体への拡がり(クチコミなどによる浸透)
⑦感動の商品サービスを創出する企業文化の醸成

 

感動を生み出す企業のつくり方

感動の商品やサービス形成のためには、次のような努力が企業に求められる。

 

①社員の心の教育
「お客様を感動させる」といったレベルになると、心の教育が不可欠である。

②お客様満足度調査の活用
お客様の声を定期的に聴く事は重要である。

③お客様情報の充実と活用
お客様情報をしっかりと把握して管理メンテナンスする事は、感動レベルのサービスを提供する上での効果がある。

④感動エピソードのフィードバックによる学習
お客様からのお褒めの言葉や感動のエピソードを積極的に社員にフィードバックする事が重要である。

ここで最も重要な事は、社員を徹底的に大切にする事である。なぜなら、「自分が大切にされていない」と普段感じている社員は、その企業のお客様を「大切にしたい」と考えない。感動の商品サービスを生み出すのは「仕事に幸せを感じて、自発的に取り組む社員そのもの」である。