才能とは何か
人は誰もがそのままで才能に満ち溢れた存在だ。但し、そのことに気付けるのは、そのままの自分を認めることができた時である。才能とは、行動の癖であり、ついつい自然にやってしまうことである。それは当たり前にできない人にとっては、とても「特別なこと」である。しかも、行動の癖なので努力は必要ない。努力せず、人にはできないことで、自分にはできることは才能と言える。
ついついやってしまい、やって良かったと思えることは、自分が貢献できた感覚が伴うので、「もう一度やろう」と思える。そうして行為が繰り返されると、その行為はどんどん磨かれ、強化されていく。
そもそも才能は人と比べるものではない。人よりもできるかどうかは結果論であって、才能の本質を言い表すものではない。人よりもできることが才能なのではなく、自分にとって得意なことが才能なのである。
才能は見つけるだけでなく「才能を発揮するにはどうするか」という視点が不可欠である。才能は関係性の中で発揮される。自分より優れた人たちと比較したり、優れた人たちに囲まれた環境に飛び込んだりするのは、自分の才能を自ら埋没させようとするようなもの。大事なことは、自分の才能が生かされるような関係性を見極めることである。
才能は1つではない。誰もが複数の才能を持ち、場面に応じて使い分けている。人は才能が生かされる環境を選び、自分の才能の組み合わせを駆使することで、自分の人生を切り拓いていくことができる。
才能が発揮される環境を整える
才能を見つけるよりも大事なことは、才能を活かすことである。その人にとって適切な環境であれば、才能はわざわざ見つけなくても、勝手に発揮される。才能を発揮できる環境かどうか、才能が発動できる条件は、次の4つの側面から可視化する。
①健康
健康は人間の活動を支える最も重要な基盤である。健康の指標は「運動」「栄養」「休息」の3つ。まずは体を整えることから始める。
②仕事
どのようにキャリアを築いていきたいのか、それにあった働き方ができているのか。ここに悩みがあると安心して才能を発揮しにくい。仕事は「スキルアップ」「評価」「計画」「将来」の4つの指標で見る。
③人間関係
こういう人と働くとパフォーマンス、やる気、モチベーションが下がるとか、ストレスが溜まるという人がいるか。
④お金
報酬がこの金額を下回ると不安になるという金額があるか。
これらの発動条件が整った環境では才能を発揮しやすく、反対に発動条件が整っていない環境では才能を発揮しにくくなる。必要なのは、発動条件を見つけたら、発動条件を意識しながら仕事をしてみる。才能を見つけたら、それを生かせる環境でなるべくたくさん使ってみる。そして、その結果がどうだったのか、自分の才能が生かされたのかどうかをチェックする。
欲求が行動を変え、才能を発揮させる
才能発揮の条件には、もう1つ才能発揮のエンジン「欲求」が必要である。欲求があるから、その欲求を満たそうとして行動が生まれる。発動条件が整っていて、エンジンさえ起動すれば、放っておいても才能は発揮される。
人はつい立場や体裁を気にして、ポジティブな欲求しか認めようとしないが、それでは自分の本当の欲求に気づけない。社会的によしとされる常識や価値観から離れて、自分の本当の欲求をそのまま受け入れることが大切である。ネガティブに思える欲求は、実はものすごくパワフルな強みに変わる。
才能発揮は、欲求を素直に行動に移した時に起きるもの。それに対して、欲求ではないもの、例えば周囲の機体や要請、必要性などを起点とする行動で「やらなければならない」と思っているものをやろうとするのが「努力」である。
「やりたいこと」とは、欲求を満たすために掲げる具体的な目標と定義できる。欲求を自覚して、欲求を満たす行動をとるようになれば、やりたいことは自ずと見えてくる。欲求を満たす行動を増やし、そうでない行動を減らしていくのである。
欲求は次の3つの質問で掘り下げて見つける。
- ついつい考えてしまうことは?
- 過去一番楽しかったことは?
- 過去一番つらかったことは?
自分の才能を知る
自分の才能を知ることは、自分の「勝ちパターン」を知ることである。才能を自覚すると人生がうまくいく。
自分にどのような才能があるのかは、次の3つの質問で探る。
- もっとこうすればいいのにと思うことは?(相手に望むことは大抵自分ができること)
- 苦手なこと、不得意なことは?(その反対の得意なことが才能)
- 子供の頃、得意だったことは?(子供の頃に得意だったことは今も得意で才能として使ってることが多い)
- あえて言うなら、得意なことは?
才能は見つけるよりも生かすことが重要である。才能が生かされているかどうかに気づき、できるだけ多くのフィードバックループを回すことが大切である。