ハーバード大学生はライティング力を鍛える
ハーバード大学がライティングにとって達成しようとしているのは、ロジカルシンキングの向上だ。なぜなら、論理力は様々な思考の土台であり、個人的、社会的な成功の基本だからだ。そのため、ハーバード大学の学生は専攻に関係なく、在学中ずっとライティング力を鍛える。
ハーバード大生がライティングの授業で真っ先に徹底して学ぶのが、書きたい内容を文章にするためのアイデア出しだ。ライティングに関する問題のほとんどは、伝えたい内容がなかったり、はっきりしていなかったりするせいで起きる。自分の考えをロジカルに表現できるようになれば、書くことはたいした問題ではない。
書き手が何を書くかわかっていないのに、どこかで見聞きした内容を並べ立てても意味がない。ライティングで最も重要なのは、要点を押さえ、書くべき内容を準備する工程だ。ハーバード大生は、書きたい内容を展開させ、メッセージを組み立てる過程で、一緒に授業を受ける学生や専門家たちからレビューをもらい、内容を推敲する。この過程を何度も繰り返すことでメッセージは理路整然とする。
ライティングの4ステップ
ハーバード大学が学生に4年間かけて叩き込むライティングの授業を「1時間で身につけるハーバード式ロジカル・ライティングのメソッド」として集約したものが「オレオ公式(O.R.E.O)」である。この公式を使えば、伝えたい内容を文章にし、自分の考えを効果的に伝えられる。
Step1:Opinion(意見を主張する)
自分の考えをロジカルにまとめるために、要点をはっきりさせる。
Step2:Reason(理由や根拠を出す)
Step1で主張した意見を、妥当な理由や根拠を用いて証明する。このステップで客観的な数値を示せば、読み手をいち早く説得できる。
Step3:Example(具体例を示す)
具体例を出して信頼度を高める。Step2が理性に訴えるやり方なら、Step3は読者の心に訴えかけるやり方である。
Step4:Opinion(意見を強調する)
読み手に期待することを明記する。これにより素早く要点を伝えることができる。
この順番通りに考えと資料を並べるだけで、おのずと理路整然とした流れができあがる。オレオ公式でつくった文章は一貫性が生まれ、伝えたいことがはっきりしているので、読み手を納得させることができる。
読み手を納得させるためには、意見に関連した具体的な理由や根拠が必要だ。読み手が「なんで?」と疑問を抱く前に十分に理由を説明し、「それで、どうしろって?」をイライラする前に根拠を示さなければならない。さらに、読み手の意見をどうやって行動に移すのか、その方法まで示せば読み手は書き手の言うことを100%信頼するだろう。文章を読み終わった時、疑問や反発が出なければ、論理的で完璧なメッセージの完成だ。
オレオ公式を使えば、考えやデータ、情報を体系的に読みやすくまとめて、それを客観的に組み立てるだけでよい。最後にいらない内容を削り、意見が引き立つようにすれば、読み手にも伝わりやすくなる。
考えを明瞭に、具体的にする
オレオ公式を活用し、伝えたいメッセージをより簡単に組み立てるには「O.R.E.O」の各ステップに当てはまる考えを1文にまとめればよい。この時、守らなければならないのは、必要な成分をすべて備えた完全な文章で書くことだ。
完全な文章とは、メッセージを過不足なく伝える主語、述語、目的語を備えた状態を指す。
Opinion:〜なら、〜しよう
会社を辞め、好きなことをして食べていきたいなら、本を出そう。
Reason:なぜなら、〜だから
なぜなら、本を出せば専門的なスキルを持っているとみなされるからだ。講師協議会の発表によると、専門講師の内、著書がある人の方が謝礼が高いことが明らかになった。
Example:たとえば、〜
たとえば、公務員として働いていたAさんは「理系公務員のためのコミュニケーション術」という本を出してすぐ、公共機関から講演依頼が相次いだ。
Opinion:だから、〜なら、〜してみよう
だから、会社を辞めて独立し、一生現役でいたいなら本を出してみよう。まずはブログであなたのコンテンツを共有し、読者とコミュニケーションをとるのがよい。
説得力のあるメッセージに必要な3つの要素
自分の考えで読み手を説得するためには、論理が備わっていなければならない。つまり、論理の要素である結論、理由、根拠を明らかにするのだ。
- 結論:何をどうするのか?
- 理由:なぜそうするのか?
- 根拠:なぜその理由が妥当なのか?
筋が通っていて読みやすい文章には必ず「何に関する話なのか(What)」「なぜそれが必要なのか(Why)」「どうしたらいいのか(How)」の3つの要素が入っている。