アントレプレナーシップとは
この先の未来は、これまでの常識や前提が通用しないため、新しい価値観を作っていかなければならない。つまり、「自分が道を切り拓いていこう」と思う人にとっては、チャンスの時代がやってくる。但し、道を切り拓いていくためには「アントレナーシップ」という力が絶対に必要になる。
アントレプレナーシップとは「逆境に負けずに立ち向かう力」である。「起業家精神」と訳されることが多いが、これは起業する人だけでなく、組織で働くあらゆる人に必要な力である。自分で「これをやりたい」と目標を持つと、様々なハードルが待ち構えているが、それにめげずに立ち向かっていく力がアントレプレナーシップである。
アントレプレナーシップが目指すのは周囲と争わず「オンリーワン」になること。オンリーワンになることは、ナンバーワンになるよりも希少価値がある。様々な逆境に打ち勝っていくと、自分の「やり切った」ことが増えていき、この掛け算の要素が積み重なっていく。すると、より一層オンリーワンであることが際立っていく。
アントレプレナーシップを構成する要素
アントレプレナーシップは、次の7つの要素で構成されている。
①情報収集能力と先を見る力
「情報収集能力と先を見る力」を持っているからこそ、自分が経験したことのない領域に飛び込むことができる。この力を持つにはトレンドを感知することが不可欠である。トレンドを収集しておくことは「現在」や「過去」の流行を蓄積しておく意義だけでなく、未来を予測する力を身につけることにもつながる。
また「自分のものさし」を持つためにも、トレンドをおさえておくことは大事である。「なぜこれが流行っているのだろう?」と疑問を持つと、自分で調べるようになる。すると、自分の興味のある領域に気がつき、「流行っている理由」を解説することができるようになる。それが抽象化されて、次第に自分が詳しくない領域のトレンドにも適用できるようになっていく。
②課題設定能力と構想する力
この力をつけるには「着眼点」が重要である。着眼点とは「目のつけどころ」であり、これがいいか悪いかの違いは2つある。
- 模倣困難性:「人がやっていないこと」を見つけて、取り掛かること
- 市場の価値・拡大の可能性:規模の広がりをイメージできる構想や企画
「自分にしかできないもの」を探して、情報収集していく経験の中で、着眼点が磨かれ、目標実現に近づいていく。また、「広がり」をイメージできるプロジェクトは、自分自身もワクワクして頑張り続けられるし、仲間も集まってきやすい。
良い着眼点を得るためには、次の2つがヒントになる。
- 「自分の周りではやっていない」と範囲を狭めて検討する
- 「好き」もしくは「嫌いではない」ことから選ぶ
③巻き込む力
重要なのは、自分1人でやろうとしないこと。仲間をどんどん巻き込んでいかなければ、多くの目標は達成できない。誰かにものを頼むために必要なことは、次の3つである。
- 関係性がない人でも「あの人はこれが得意なんだな」と目の端で観察をして気に留めておく
- 完璧になるのではなく、弱さを出す勇気を持ち「愛されキャラ」になっておく
- 相手に任せるために、自分のできること、できないことを明確にしておく
④対話する力
対話をすることは「相手を知る手段」である。相手を知るために直接話すことで、データだけではわからない気づきをたくさん得られる。そして、対話の中では「自分の好き」にも気づく。
⑤実行する力
自分の挑戦したいことが見つかったら、まずは小さなことから始めること。自分の中の得意分野から始めてみて、少しずつ広げていくことが大事である。小さな1歩を踏み出すと、想像もしていないような大きな変化が生まれていく。
何かを始めるのに「成功しなければいけない」と思う必要はない。「3歩進んで2歩下がる勝ちパターン作り」でいい。ただ、やり続けないと結果は出ない。3歩進み続けることが大事であり、この積み重ねによって成功が近づく。
⑥謙虚である力
情報が集まるということは、それをもたらしてくれる仲間が不可欠である。そして、仲間づくりは謙虚な姿勢で、人が集まってくるような人柄であることが大切な条件である。
なにかを挑戦する時には周囲に「この人を助けてあげたい」と思ってもらうことが不可欠である。そのためには、弱さをきちんと表明して助けてもらったり、志を示して仲間になってもらったりすることが欠かせない。
⑦完遂する力
アントレプレナーシップを身につけるためには、やり切った成功体験の積み重ねが欠かせない。大事なのは挑戦して、どんな成果が得られたか。大小問わずどんなものでも「これは実績として残した」と言えることが大事である。
「諦めないこと」とは「やりながら修正していく」というもの。動いていると想定外のことが起きる。そこに対していかに柔軟な対応ができるのかも大切である。