人間関係をコントロールする
人間関係を構築する時、私たちは少なからず自分自身をコントロールする必要がある。必要なのは、自分の感情を無理やり抑え込む我慢ではなく、自分と相手との関係性の距離感と関わりの頻度のコントロールである。
人間関係の問題は、ほとんどの場合、相性の問題である。「相性が悪い人間関係にはあまり深入りしない」と決めてしまうことが大事である。相手と自分の人生を線引きし、どういう状況であっても自分の人生を大切にできるか、自分が安心して過ごせるかに焦点を当てる。これが人間関係におけるストレスマネジメントである。
人間関係の悩みがなくなる基本の考え方
①人間関係は「ある程度公平」であればいい
多様性の時代に私たちが心身の健康を保つためには「ある程度の公平性」が重要である。公平に扱われているという気持ちをお互いに感じられる関係性でない限り、よい関係は築けない。健全な人間関係を生み出す方法は、相手からつながるに相応しいと思われる人になることである。選ばれるには、人のよさが伝わる見た目で、こざっぱりしていて、周囲に対しての気配りができ、雑談力があれば十分である。
②使う言葉は丁寧に吟味し選択する
相手がどう思うかを考えずに、思ったことを何でも言葉にするのは、よい方法とは言えない。自分の気持ちを正直に言ったからといって必ずしも自分が望む結果は生まれるとは限らない。よい関係を築きながら、自分の気持ちを伝えるには、まず相手を肯定した上で、改善して欲しいことを伝える。相手に対して敬意を持ち、言い方を熟考した上で、自分の思いを伝えれば、関係性はより良いものになる。
③謙虚さを意識する
ほとんどの人は自分のことを「平均より上」と思っている。ただ、人付き合いにおいて、一番嫌われる原因がこの「自信過剰バイアス」にある。自慢話を繰り返し、自分のミスは認めず、人のせいばかりにしている人は嫌われる。謙虚でいるくらいがちょうどよく、謙虚でいる方が結果的に人間関係で得をする。
④嫌われたくないという気持ちを捨てる
すべての人に嫌われないように努力していると、強みとして持っている協調性や共感性が生かせず、パフォーマンスも上がらない。「嫌いな人にまで好かれる努力をすることのメリットとデメリット」について考え、「嫌いな人にまで好かれる努力をする必要があるのか」について考える。その結果、必要なければ、嫌いな人とは距離を置く。
⑤しなくてもいい我慢はやめる
多くの場合、我慢している人が相手に対して「我慢をしている」と言わない限り、相手にも周りにも気づいてもらえない。まず、自分に対して「必ずしも相手の立場や社会を最優先にしなくてもよい」という許可を出していくことが大切である。嫌なこと、我慢になることはやめてもいい。
⑥相手の機嫌に自分の思考を左右されたら距離を置く
人間関係は互いにWin-Winであることが重要である。強い共依存の関係になり、一方が我慢し続けるような不自然な支え方になったりする時には、相手との距離を取る必要がある。自分とが違う判断や価値観を大事にしつつ、自分で自分の人生を決めていくことが大切である。
⑦人間関係で落ち込んだ時は、自分を責めない。
誰かとの関係性で落ち込む時、つい「自分が悪い」と思ってしまいがちだが、実際は「自分と誰か」「自分と何か」の関係性に課題があるだけである。いいか悪いかの評価をするよりも、「人間関係とはそういうものだ」と受け入れることが大切である。
自分を楽に幸せにするコミュニケーションスキル
①「困った人」を分析する
困った人たちの特徴は「相手を困らせている」という自覚が全くないこと。まず自分の周囲にどのような困った人がいるのかを理解する。
②怒りをコントロールする
怒りが湧き起こった時は、すぐに行動を起こさない。怒りを感じていることを認め、肯定する。
③アサーティブに関わる
自分の意見や要望を、相手の価値観や権利を尊重しながら、誠実に率直に対等に伝える。
④寛容さを手に入れる
自分以外の価値観や考え方あるいは自分以外の誤りなどについて、理解を示して、いちいち怒らない。「正しいか、間違っているか」という視点から意識して距離を取る。
⑤思いやり力で幸せになる
自分と他人の区別をせず、他人のことも自分のことのように扱い、自分と同じぐらいか、それ以上に大事にする。互いに思いやることによって幸福感を得る。思いやりを組み立てる上で重要なのは「人の気持ちをわかったつもりにならない」こと。
⑥適切に伝える技術を磨く
相手に「自分が思っている理解度」を求める時は、コミュニケーションを双方向にする。相手は自分が「これくらいは理解できているだろう」と思っている範囲の1/3ぐらい理解していると考えて、対策を取る。