デジタル・ビジネスモデル 次世代企業になるための6つの問い

発刊
2018年11月17日
ページ数
328ページ
読了目安
495分
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デジタル化の中で企業が生き残るための戦略とは
デジタル化が進む中で、企業はどのようなビジネスモデルを目指すべきか。
MIT教授が、デジタル化が進む中で企業が生き残るためにとるべき戦略フレームワークを紹介している一冊。

デジタル化の影響

デジタルトランスフォーメーションは技術の問題ではなく、変化の問題である。また起こるかどうかではなく、いつ、どのようにして起こるかという問題である。迫りくるデジタルエコノミーにおいて、多くの企業は過去にうまくいった経営手法を少し変えたぐらいでは成功することはないだろう。

大企業は大きな顧客基盤と高い収益性を持っているが、顧客体験に統一性がないことがあるので、デジタルディスラプションの標的となるのは特に大企業の方である。デジタル化された世界で成功するには、あらゆる規模の企業がビジネスモデル、従業員、組織構造、重要なコンピテンシー、企業文化を含めて自社を改革し、組織に大幅な変更を加える必要がある。

デジタルディスラプションは「新規参入者」「伝統的ライバル企業の新たなビジネスモデル」「業界を越える」の3つの形で到来する。多様なデジタルディスラプションによって引き起こされる混乱の大きさを考えると、それに対処しないわけにはいかない。今日、事業を行う上でそれは必須である。

デジタル・ビジネスモデル・フレームワーク

デジタルエコノミーにおいて重要なのは、デジタル技術によって実現できる新しく魅力的な何かを顧客に提供し、顧客が訪問したいと思う場所を創り出すことで、自社の事業を差別化することである。デジタル化は企業に対して、2つの次元で自社のビジネスモデルの変革を迫っている。

①コントロールされたバリューチェーンから、より複雑なネットワークからなる仕組みへの転換

②顧客のニーズやライフイベントをあまり知らない状態から、より深く知っている状態、即ちより良い顧客エンゲージメントを構築するための転換

この2つの次元を組み合わせると4つの異なるビジネスモデルから構成される「デジタル・ビジネスモデル・フレームワーク」ができあがる。

①サプライヤー(部分的×バリューチェーン)
他の企業を通じて販売する生産者。自社の最終顧客に関して、部分的にしかわかっておらず、通常は別企業のバリューチェーンの中で事業を行なっている。ex.ソニー、P&G

②オムニチャネル(完全×バリューチェーン)
ライフイベントに対応するための、製品やチャネルを越えた顧客体験を創り出す統合されたバリューチェーン。最終顧客とその目標やライフイベントに関するナレッジを増やしつつ、顧客の離脱を抑えて、垂直軸を駆け上がっている。
ex.ウォルマート

③モジュラープロデューサー(部分的×エコシステム)
プラグ・アンド・プレーの製品やサービスのプロバイダー。生き残るには、自社の中核的な活動領域において、最も優れたモジュラープロデューサーの1つにならなければならない。そして、顧客にとって最善の選択肢かつ適切な価格である必要がある。
ex.ペイパル

④エコシステムドライバー(完全×エコシステム)
エコシステムの統括者。企業、デバイス、顧客の協調的ネットワークを形成して、参加者すべてに対して価値を創出する。特定領域において多くの顧客が目指す場所であり、補完的サービスや、時にはライバル企業の製品の提供も含め、より素晴らしい顧客サービスを保証する。
ex.アマゾン、ネットフリックス

個人顧客も法人顧客も、各領域で1、2社程度の強力なエコスシステムドライバーを好む傾向が顕著になりつつある。そして、結果として大幅な業界統合が起こるだろう。この可能性を考えると、自社の現在位置を明確にし、より望ましいデジタル・ビジネスモデルへ進むためのオプションを理解しておくことが重要になる。

今日の企業は、フレームワーク上で、上かつ右に移動しなければならない。自社の最終顧客について学び、かつビジネスデザインを変革して、エコシステムドライバーとなるべく他社とのパートナーシップをさらに促進し、自社をよりオープンにする必要がある。