行動科学が教える 目標達成のルール

発刊
2024年9月20日
ページ数
224ページ
読了目安
311分
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目標を達成するための科学的なアプローチ手法
行動科学の知見をもとに、人間の意志や根性に頼らずに目標を達成するために必要な方法がまとめられている一冊。
最初の目標設定から、計画、コミットメント、インセンティブの設計まで、目標達成に効果的なツールの数々が紹介されています。

大きな目標を達成するには、小さく考えることが大事であるとし、小さいディテールの積み重ねを重視した様々な施策が書かれています。自分の目標管理に取り入れるためだけでなく、組織メンバーの目標管理などにも使えます。

大きなことを達成するには、小さく考えること

大きな目標を達成するには、小さくてシンプルなディテールをきちんと積み重ねようと心がけることが大切である。人間の思考には、じっくり考える遅い思考と自動的に発動する速い思考がある。

速い思考と遅い思考の最大の違いは、時間の効果の捉え方にある。速い思考は現在の報酬に強い選好を示し、努力を要する意思決定は明日に先送りしがちだ。一方、遅い思考は、報酬は明日までお預けにして難しい意思決定を今日行えば、もっと良い選択肢を選べる可能性を理解している。成功するためには、この遅い思考をいつどのように作動させ、それをどこでどのように速い思考に引き継がせるかを理解することだ。

人間の認知処理能力には限界があり、注意力が限界を超えると破綻してしまう。だからこそ小さいディテールが重要になってくる。小さく考えることを実践することによって、速い思考と遅い思考の強みを活かしながら、かつ双方の欠陥を回避しながら、大きな目標を達成することが可能になる。

 

目標設定

目標を達成したいなら、まずはそれがどのような目標なのかを明確にすること。その上で、それを達成するための小さなステップについて考えるべきだ。ルールは3つ。

 

①適切な目標を選択する

自分が本当に達成したい目標とは何かをじっくり考える。自分の幸福度が高まる次の5つのファクターを含める。

  1. 人との関わりを強化する
  2. 健康で活動的になる
  3. 何か新しいことを学ぶ
  4. 好奇心を持つ
  5. 他者に与える行為をする

 

②目標は1つに絞り、明確な到達点と達成期限を設定する

目標は1つに絞り、いつまでに何をどこまで達成したいかを決める。

 

③目標を自分で管理できるステップに分解する

小さなステップを着実に積み上げていけば、最終的な目標に到達しやすくなる。

 

プランニング

目標の達成には、プランニングが大きなカギを握っている。重要なのは、どのようにプランニングするかという細かいディテールである。

 

①シンプルなプランにする

シンプルで明確なプランにすると、メンタルに負荷をかけずに目標に向かって取り組めるようになり、目標から外れてしまった時にも気づきやすくなる。1日1週の中の特定のタイミングと、そこで取るべき行動とを意識的にリンクさせる。

 

②実行可能なプランを立てる

目標達成のために必要な行動を、いつ、どこで、どのように取るかを明確にすると、その行動の実行可能性が高まる。

 

③プランを習慣化する

決まった事柄を合図に同じ行動を繰り返していると、それが習慣化し目標達成に役立つ。ベストなプランの立て方は「日々のルーティン」と「とるべき行動」を連動させることだ。

 

コミットメント

いくつかの小さな事柄に気をつければ、コミットメントは補強され、最後までやり遂げやすくなる。

 

①コミットメントを決める

まずコミットメントの内容を決め、それが最終的な目標と目標達成のための小さなステップに直結していることを確認する。コミットメントを自分自身へのペナルティや報酬と連動させると一層効果的である。

 

②コミットメントを書き出し、公にする

それを書き出し、周りに何らかの形で宣言すると、自分でもそれを忠実に守ろうという気になる。

 

③コミットメントレフリーを任命する

レフリー役の人は、宣言した目標を達成できるよう後押しする。この役には、信頼を寄せていて、かつ、挫折した際には迷わずペナルティを課すことができる人が適任である。

 

報酬

報酬メカニズムをどのように設計するかは非常に重要であり、それ次第で目標達成を促す効果が大きく左右される。ここでも細かいディテールが大きな意味を持ってくる。

 

①重要なものを報酬にする

最終的な目標達成と重要な報酬をリンクさせ、拘束力を持たせる。

 

②小さな報酬で良い習慣をつける

大きな目標を達成するためのステップと小さなインセンティブをリンクさせ、自分や周りの人のモチベーションを高める。

 

③逆効果に注意する

金銭的インセンティブによって本来のモチベーションが「押し出されて」しまうリスクがある。報酬のせいで本来の善意が損なわれないように気をつける。様々な非金銭的報酬に代えることでこのリスクを回避することができる。

 

フィードバック

フィードバックは人の行動を変え、目標達成に役立つ。目標に向かって進むためには、目標に対して自分がどのくらいできているかを確認できなければならないからだ。

 

①目標までの自分の立ち位置を知る

目標に対して自分が今どの辺りにいるかを、様々な情報から把握できるようにならなければならない。

 

②タイムリーで具体的、すぐに対応可能で、本人の努力に注目したものにする

フィードバックはその人個人に対して、何を変えるべきかを明確に示し、できるだけ実際の出来事に即した内容とするのが望ましい。

 

③自分のパフォーマンスを人と比較する

人は絶対評価と同じくらい、相対評価を気にする。比較情報をうまく利用する。