THINK FUTURE 「未来」から逆算する生き方

発刊
2024年9月4日
ページ数
316ページ
読了目安
384分
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未来の自分のことを考えながら今を生きるための戦略
未来の自分をうまく想像することができる人ほど、未来のために今、努力して備える傾向がある。どのようにすれば、未来の自分をうまく想像することができるのか。なぜ人はうまく未来を考えることができず、目先のことに捉われてしまうのか。

人間が持つバイアスから逃れ、未来から人生を逆算し、行動するために必要な考え方とそのための方法が紹介されています。

未来を考える力が人生に影響を及ぼす

思考はわずか数秒間で行ったり来たりを繰り返す。現在から近い未来へ、そして遠い未来へ飛んだかと思えば現在に戻り、過去に遡り、再び遠い未来へ。これが「メンタルタイムトラベル」と呼ばれる現象で、現在「デフォルトモード・ネットワーク」と呼ばれる脳の神経活動だ。このタイムトラベルは、未来を熟考する能力であり、私たちは未来を思い描くことで前進する。

 

自分の過去と現在、そして未来のつながりを強化することで、人生において何が重要かという新たな視点を得ることができる。未来の自分についての思考は、現在と未来の自分に大きな影響を与える。幸福な未来を創造するためにより適切な決定を下すには、現在と未来の自己のギャップを埋める方法を模索する必要がある。

 

未来の自分を身近に感じるほど未来に備える

時間が経っても物や人は「同じ」なのか「違う」のか、判断するのは難しい。それは自分自身に対しても言えることだ。未来の自分を今の自身の延長と考えるか、それとも全く別の人間と捉えるか。それによって人生の選択は変わってくる。未来の自分を他人だと感じ、なおかつ利己的に行動する傾向があるなら、未来の自分の利益など慮れるはずもない。

 

現在の自分と未来の自分に強力なつながりを感じるなら、たとえ現在の自分が過去の自分ではなく、未来の自分と異なったとしても、自身を向上させようと努力する可能性が高くなる。遠い未来の自分に親しみを感じる人は忍耐強い選択ができる。研究では、未来の自分とのつながりを感じている人ほど貯蓄額が多く、総合的に見て経済的に豊かであることが判明している。

未来の自分との関係性、その関係性が私たちの決断に与える影響力は、単に金銭上の決断に限ったことではない。未来の自分とのつながりに対する自覚は私達の行動や人生の満足度に大きく影響する。経済的な決断だけでなく、健康上の選択、倫理的な道、愛する人との死後の関係などを通じて、遠い未来の自分との絆を深めることが、良い結果をもたらす。

 

脳内トラベルのミス

私たちが、未来の自分とつながりを感じることができない要因には以下のものがある。

 

①現在を優先させる

現在の自分に注目しすぎるあまり、未来の自分を蔑ろにする。この原因には少なくとも3つの原因がある。

  1. リスクの高い未来よりも可能性の高い現在に賭ける
  2. 現在の感情は、未来の自分の感情よりも強固に思える
  3. 現在という時間が永遠に続くように思え、忍耐力が継続しない

 

②先延ばしする

未来について表面的にしか考えないため、意図していた未来とは違う未来に辿り着く。

 

③未来の心の状態を現在の心で判断する

未来が現在とは異なる可能性があることを認識できない。その原因には以下の2つがある。

  1. 現在の自分の感情を、未来の自分に過剰に投影してしまう
  2. 現在の自分の性格や好みは今後もそれほど変わらないと考える

 

未来から逆算して行動を変える方法

未来の自分のために現在の行動を変えるためには、次の2つの点を認識する必要がある。

  1. 年月が経てば誰でも未来の自分になること
  2. 現在の自分の行動が未来の自分の人生を左右すること

 

現在と未来の自分とのギャップを埋めるには「未来を引き寄せる」努力が必要になる。そのために有効な手段には次のものがある。

  • 老け顔アプリで老いた自分の顔写真を見る
  • 未来や過去の自分に手紙を書く

未来から現在に逆戻りするタイムトラベルを体験することで、未来の自分をより身近に感じるきっかけになる。

 

人の行動を変えるためには、それが重要で即座に対応すべきことだと納得させなければならない。そうしないと大抵の場合、人は動かない。自分が望む未来をより確実に手にいれるためには、誘惑に屈しないために次の戦略を取り入れるとよい。

  • 目標を達成するために自分自身で計画を立て、実行確認してくれる人を募集する
  • 計画の実行を妨げる選択肢を排除しておく
  • 失敗した際に自分にペナルティを課す

 

未来と現在を両立させる

世の中の人々は、将来を考えてなぜ今苦労しなければならないのだろうと思っている。「未来の自分」対「現在の自分」とのせめぎ合いは、「節約と浪費」「運動することと、怠けること」のみならず、広い範囲に及ぶ。しかし、犠牲とうまく付き合うことで、未来に良い結果が訪れる。

 

現在を楽に生きるための戦略の1つは「悪いことといいこと、両方を引き受ける」こと。人はポジティブな感情とネガティブな感情を同時に感じ取ることで、より充足感を得られる。充足感とは、単に幸福を追い求めることで得られるものではなく、困難な状況の中でも喜びや楽しさの兆しを見出すことで得られるものである。但し、こうした入り交じった感情が充足感に与える影響はすぐには現れない。真の恩恵は時間をかけてやってくるものである。

 

参考文献・紹介書籍