地方副業とは
「地方副業」とは、主に首都圏で働く人材が、地方の中小企業やNPOなどで副業することである。近年、地方副業やプロボノのマッチングサービスが急増している。その背景には、地域活性化をする上で「関係人口」の存在が重要視され始めたことがある。関係人口とは、移住や観光でもない、地域と多様に何らかの関わりを持つ人々を指す。
地方副業・プロボノの特徴は「地域活性化に関する高度な仕事」の募集が多いことである。例えば、マーケティング戦略の立案・実行やIT環境の整備、人事制度の構築など。地方の企業やNPOは何らかの地域課題や社会課題の解決を目指していることが多く、その解決に携わることができる。
案件にもよるが、地方副業は受け入れ企業の予算が少ないので、報酬が月数万円程度であることが多くある。報酬が発生しないプロボノでの募集も少なくない。しかし、地方副業は、地域活性化に強い関心を持っている人や、地元に貢献したい人にとっては魅力的な内容であり、案件の大半は数ヶ月〜1年と期間が限定され、オンラインミーティング主体ということもあり、徐々に増えている。
地方副業のリスキリング効果
地方副業は、他の副業に比べると効率よくお金を稼ぐのには向いていない。地方副業・プロボノの最大の魅力は、金銭以外の「意味的報酬」である。この意味的報酬こそがリスキリング・学び直しに効いてくる。
地方副業・プロボノの大きな魅力の1つは「本業ではできない仕事の経験を積めること」である。これは、次の7つの効果が期待できる。
- 課題解決の引き出しが増える
- 未知の仕事の知見が得られる
- 学んだ知識を、生きたスキルに昇華できる
- 新たなスキルを身につける必要性に気づく
- アンラーニングのきっかけになる
- 自分の意外な強みに気づける
- 異なるバックグラウンドを持つ人と協業するノウハウが得られる
地方副業によって物事の考え方が変わる
地方副業・プロボノは、リスキリング以外にも様々な効果がある。中でも人生に大きな影響を与えるのが「固定観念が壊されて、物事の見方や考え方が変わること」である。
アウェイの環境に身を置くと、毎日のように、自分とが違う価値観や考えもつかなかった考え方と出会う。これらを客観的に考えられるようになると、固定観念が壊され、視野が広がり、柔軟な思考を取り戻せる。
- 「会社の常識は世の中の非常識」に気づく
- 地方副業・NPOの志や情熱に感化される
- 経営者視点が身につく
- 主体的・積極的に動けるようになる
- 今の環境の良さがわかる
地方副業・プロボノによって、自分のスキルについて考えたり、価値観や考え方が変わったりすると、自分の人生やキャリアについても見つめ直すようになる。そして「自分がどのようなキャリアを歩んでいきたいか」が見えてくる。
地方副業の始め方
地方企業やNPOでの副業・プロボノを探す上で最も一般的な方法は、マッチングサービスである。例えば、以下のようなマッチングサービスがある。
マッチングサービスには、様々な特徴がある。以下のポイントを見ていくといい。
- 案件の種類
- マッチングの仕組み(プラットフォーム型/メディア型/あっせん型/再委託型)
- コーディネーターの有無
地方複業・プロボノは気軽に応募できるが、企業と人材で考えていた条件がズレていると、トラブルの種になる。そうしたことがないように、案件を選ぶ時には次のポイントを見るようにする。
- 会社のミッション・ビジョン
- プロジェクトの内容
- 稼働時間
- オフラインの有無
- 報酬
- 契約形態
現状、マッチングサービスは、受け入れ企業よりも副業人材の方が多い「買い手市場」であり、優秀な人材がたくさん応募している。その中で自分を選んでもらうためには、自分のアピールポイントを明確にしておくことが重要である。
自分のアピールポイントを見つけ出すには、これまでのキャリアの棚卸しをすることが大切である。その上で、受け入れ企業のニーズに合わせて、「このような部分でお役に立てます」ということを伝えられると、受け入れ企業もどのように活躍してくれるかイメージが湧き、契約につながりやすくなる。
同時に、プライベートでしていることや趣味などを伝えるといい。人となりが伝わり、相手との距離が縮まりやすくなる。地方副業・プロボノは、初対面の人とリモートワークで働くものなので、人となりがよくわかる人の方が、安心感があって選ばれやすい。