早回し全歴史 宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる

発刊
2024年5月15日
ページ数
352ページ
読了目安
405分
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宇宙はどのように始まり、どのように終わるのか
宇宙はどのように始まり、そして宇宙は最期にどうなるのか。
ビッグバンから星が形成され、人類が生まれ進化してきた138億年の歴史を一気に振り返り、これから先の近未来から遠い未来には、宇宙はどういう最期を迎えるのかが解説されています。

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という謎にに対して、科学と歴史という視点でその答えを与えてくれます。この世の中を大きな視点で捉え直すことで、様々な発見と驚きを得ることができます。

複雑さの増大

138億年にわたる宇宙の歴史を貫いているのが、複雑さの増大というトレンドだ。複雑さの増大が私たち人間を生み、私たちが複雑さを増大させた。ビッグバンの後、物質を形づくる最初の粒子が現れ、ゆっくりと星が形成された。星々からありとあらゆる化学物質が生まれ、地球と地球上の生命が形づくられた。

 

人間の歴史も複雑さの増大というパターンに貫かれている。狩猟採集社会から農耕社会、そして近代社会へと発展する歴史は、複雑さ増大の歴史でもある。物質がタペストリーのように精密に結び合わされる時、複雑さが生まれる。複雑なものは、エネルギーを吸収することで姿形や生命を維持する。星には燃料となるガスが、人間には食べ物が、携帯電話にはバッテリーが必要だ。そこに共通する原理は、死を免れるためにはエネルギーの流れが必要だということだ。それが宇宙にある複雑な現象すべてを貫く法則である。

 

世界を生んだ法則が、世界を終わらせる

物質とエネルギーは、138億年前のビッグバンで、白く熱い小さな点の中に生まれた。今私たちの周囲にあるすべてのもののすべての材料は、最初からその中にあった。それらが複雑さを増しながら、目を見張るような新しい形に変化し続けた過程が宇宙の歴史に他ならない。

ビッグバン以後、この宇宙に新たな物質やエネルギーは一切付け加えられていない。熱力学第一法則のもとでは、新しいものは何も創造されず、古いものが完全に破壊されることもない。

 

複雑さが存在するためには、それを生じさせ維持するためのエネルギーの流れが必要だ。エネルギーは、多くある場所から少ししかない場所へと流れる。これが熱力学第二法則だ。それは短期的には複雑さを高めるが、最終的にはエネルギーの分布が均等になったところで流れが止まり、複雑さは消滅してしまう。

宇宙が始まった時、エネルギーが全く均等に分布していたらエネルギーは流れず、何も起こらず、何も生まれなかった。そこに複雑さはなく、現れてから消滅するまで、ただ放射線が無秩序に飛び交うだけの宇宙が広がっていたことだろう。宇宙の複雑さは、エネルギーの分布にばらつきのある片隅だけで高まり続けてきた。それ以外の場所、宇宙の約99.9999999999999%はすでに死んでおり、今以上の複雑さを生み出すことはない。最終的に宇宙は、弱い放射線が飛び交うだけの世界になる。歴史も、変化も、複雑さもない、熱的死と呼ばれる状態で最期を迎える。

 

近未来のシナリオ

情報を蓄積する能力が、ホモ・サピエンスとそれ以外の種を分かつ違いである。人間は、忘れ去ることより多くのことを次世代に伝え、世代を経るごとに保有する情報と知識の量を増やしていく。それを集団学習と呼ぶ。何世代にもわたって1つ1つ蓄積された小さは発明によって、人類は生物圏の中で新奇でユニークな存在となった。ゆっくりだが確実に発明は積み重なり、数千年かけて複雑さは劇的に変化した。

 

宇宙の歴史を貫くトレンドは複雑さの増大であり、人類の歴史を貫くトレンドは複雑さを増幅させる集団学習だ。この2つのトレンドを踏まえると、ある程度の確からしさで、短期および長期の未来を予測することができる。

今後100年から300年先の近未来社会の予測は、次の4つのタイプに大別できる。それぞれ人間の社会の複雑さがたどるトレンドに対応している。

  1. テクノロジーによるブレークスルー
    今後、技術革新によって人口増加を吸収できれば未来はテクノロジーによるブレークスルーへと向かう。世界のエネルギー供給と経済生産が指数関数的に増加し、しかも化石燃料使用による生物圏の劣化がないような社会だ。
  2. グリーン均衡
    大きな技術的ブレークスルーがなく、人間の活動が生物圏の全面的な劣化を回避できる程度に収まれば、未来はグリーン均衡に向かう。
  3. 創造的撤退
    環境破壊や人口増大がもたらす災厄を回避するために、生産と消費を削減する政策をとる。
  4. 崩壊
    環境災害、核戦争、スーパー耐性菌、小惑星の衝突、超巨大火山の噴火など、考えられる壊滅的事象のいずれかが起こった場合に現れる未来。

十分に長い時間のスケールで見れば、集団学習によって次のテクノロジーのブレークスルーが起きるはずだ。その時まで、人類は今の社会の複雑さを消滅させることなく持続させなくてはならない。21世紀に何が起こるかによって、この地球における複雑さの増大がこれからも続くか、ここで終わるかが決まる。

 

超未来のシナリオ

近未来を予測するより、数十億年、数兆年のスケールで超未来を予測する方が簡単である。それは以下のような展開を辿ると考えられている。

10億年後:地球上の生命が絶滅し始める
30億年後:太陽が膨張して地球を干からびさせる
50億年後:太陽が地球を飲み込む
70億年後:太陽が消滅する
2000億年後:宇宙の膨張で他の銀河からの光は地球に届かなくなる
100兆年後:最後の星が消滅する
10の40乗年後:あらゆる物質の熱的死