営業の神様 ヤマナシさんが教えてくれたこと

発刊
2024年6月2日
ページ数
208ページ
読了目安
189分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

営業の真髄
成績が上がらない営業マンが、とあるきっかけで出会った「営業の神様」から、教えを受けて、成功していく物語。

「営業を愛する」「商品を愛する」「お客様を愛する」「自分を愛する」という4つの哲学に基づく、営業の真髄とも言える手法が紹介されています。営業の仕事とは何か、人が欲しているものは何かなど、営業の本質とは何かについて考えさせる内容が書かれています。

営業の神様

早崎郁之は、昨年秋頃、中古マンションの販売とリフォームを手がける不動産会社に転職し、営業として採用されたばかりだ。会社からは、リフォーム入門イベントに参加してくれたお客様に、希望条件に合った物件を提示し、家を所有する意欲を高め、購入時期と条件を明確にするフェーズにまで持ち込むように指示されていた。

しかし、お客様を具体的な購入フェーズにまでつなげられない。営業前の事前準備は抜かりなく、紹介する情報に抜漏れはない。それなのに一向に早崎の営業成績は上がらなかった。何より、この仕事に就いてからお客様に晴れやかな顔をされたことがない。他の営業マンのように、頼られたり親しげにコミュニケーションすることもできなかった。

 

このままではいけない。カフェチェーン店のカウンター席を立ちあがろうとすると、そこには不格好な中年の男と、横にはいかにも中小企業の社長という風情の男がいる。不恰好な男は営業マンらしい。2人の、くだらない、しょうもないやり取りがダラダラと続いた後、「うん、じゃあ君のとこに決めた」と、耳を疑うような声が聞こえてきた。

「あんな変な営業マンでも商品が売れるのか・・・」と独りごちると、変な男はカウンターの隣の席に座ってくる。男は一瞬真面目な顔をして早崎に迫る。「自分ではなく、相手のことを見なよ」

男は「僕はヤマナシ」と名乗った。

 

すべてのセールスは愛である

「君ねえ、営業の仕事が好きになれないなら、成功なんてできるわけないじゃない。第一、営業に話し方が洗練されているかとか本当は関係ないんだよ。営業は愛なんだ。君が営業中にずっと考えているのは、自分がどう見えるかと、自分の仕事が成功するかどうかじゃない? それ、本当に相手のことを考えているって言える?」

「お客さんは商品やサービスが欲しいわけじゃない。それを買うことでより何か、なりたい自分になることを願っている。営業マンは商品を売っているわけじゃない。その人のなりたい未来を一緒に探し出して、そうなるためにどうすればいいか考える、お手伝いをする仲介者なんだよ」

 

「その人が商品やサービスを通じて得たいと思っているもの。誰かに愛されること、受け入れられること、認められること。これこそが真の欲望『スーパーウォンツ』なんだよ。人が本当に望むことは、誰かに愛されたい、認められたいってこと。それはみんな同じ」

「自分と同じ目線で、どんな未来を叶えたいのかを一緒に考えてくれて、自分の価値を認めてくれて大事にしてくれる人がいたら、その人が薦めてくれる商品がいいと思うようになる。商品の力だけではなく、君自身の愛で勝負するんだ」

 

ヤマナシからもらった教えは、早崎が抱えている漠とした暗闇にわずかな光を投げかけてくれた。

 

商品を愛する

「商品を相手に売りたいなら、君自身が商品を愛すること。24時間365日、商品のことを愛するんだ。自分が最初に買いたいと思わないと、お客さんに商品の良さが伝わるわけがないし、お客さんも買いたいとは思わない」

「物件情報は仕入れ担当の人が調べて、自分では調べていない。結局それは他人が仕入れた情報だから、それだけで好きになれるはずがない。『好き』は自分が体験するからこそ、リアルな感情として味わえる」

 

「お客さんの親友になるんだ。形だけではなく本当に。世界で一番お客さんのことを考える。自分の家族や大事な友達、恋人のようにね。そんな大事な相手に、数千万円するよく知らない商品を買えとポンと薦められる? きっと相手以上に親身になって徹底的に調べた上でアドバイスするだろう。それぐらい徹底的に調べるんだ」

 

今までは自分が売るべき商品を売ろうとしか考えていなかったが、物件を買う、その街に暮らすということは、その地域の価値観の一部になるということだ。営業という仕事の価値の大きさに早崎の胸は一杯になった。

 

お客様を愛する

「失敗とか拒絶とかを怖がっていたら営業として次のステップに行けないよ。自分と近い価値観の人とだけ付き合い続けるなんて、無理だからさ。どんなお客さんにも愛を持って接すること」

「相手にはどんな痛みがあるかわからない。そして本当の痛みに辿り着くためには、お客さんを愛すること。そして、相手の価値観を完全受容、完全肯定しなくてはならない。お客さんの応援団長になるんだ。話を聞いている間は、相手が大事にしているものを営業マンも大事にする。相手よりも興奮して、前のめりになって、お客さんの夢や欲求について一緒に考える」

 

「徹底的に相手に肯定的になることで、2つのことが聞き出せる。1つ目は、そのお客さんにとってどんな愛が欠乏しているのか、最大の痛みは何か。2つ目は、そのお客さんのスーパーウォンツは何か。一旦、全部受け止めないと、相手からその情報を得ることはできないよ」