すいません、ほぼ日の経営。

発刊
2018年10月18日
ページ数
288ページ
読了目安
226分
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事業の起点はアイデア
ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営するほぼ日の経営、事業のあり方を紹介している一冊。糸井重里氏へのインタビュー形式で、ほぼ日の考え方が書かれています。

おもしろいアイデアが事業の起点

ほぼ日は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を企画・運営するとともに、オリジナル文具や日用雑貨などを、インターネット上の「ほぼ日ストア」で販売している。「ほぼ日ストア」には、独自性豊かな様々な商品が並んでいるが、中でも2001年に発売された「ほぼ日手帳」は年間80万冊近くを売るヒット商品になっている。

ほぼ日では、おもしろいアイデアを生み出すことが事業の起点にある。それは、社長の糸井重里氏だけの仕事ではなく、社員それぞれの発案で決まる。しかも、つくって売る過程では、市場調査や営業活動を積極的に行うわけではない。

ほぼ日ではアイデアの質や発想を大切にしている。いいアイデアは独自性のある事業につながり、利益を生み出すという哲学が根底にあるからだ。

「やりたい」という思いが大切

ほぼ日のプロジェクトは、誰かが「これをやりたい」と思った時に、もう発生している。そして隣の席の人に「こういうの、どう?」と聞いて、「私は好きです」となったら、さらに進んでいく。

いい事業はアイデアありきで始まるものだと考えているので、みんなから相談されるアイデアはとても大事にしている。まずは自分で考えたことを社内で聞いてみる。そこで足りないと思ったら、もっと考えるといい。大切なのは、その人に「やりたい」という思いがあって、「方向」が決まっていて、全く的外れではないことである。それさえしっかりしていれば、あとはチューニングしながら進められる。

ただ、おもしろいと思ったから何でもいいわけではなくて、自分がおもしろいと考えた要素は何なのかを深く考えたり、探ったりしておくことは大切である。

ほぼ日では、社員の誰かが考えたおもしろさが、チームでつくるプロジェクトにつながっていく。そこで、またおもしろいかどうかの意見を言い合って、コンテンツとして世の中に出していく。そういう方法を続けている。

誰も解けない難問につっこんでいく

例えば試験の問題を解く時、秀才はすぐに解ける問題を片付けて60点くらい確保してから、答えのわからない問題にかかる。だけど、わからない問題から解いてみたら、あっと驚く答えに行き着く可能性もある。手間がかかって、他の問題にかかれなくて、10点しか取れないかもしれないが。ほぼ日は、取れるかどうかわからない40点を大事にしている。もっと言えば、誰にも解けない1%の難問に、あえてつっこんでいくことが重要だと考えている。

クリエイティブは1人の「好き」「嫌い」から生まれる

自分がお客さんになったら本当に喜ぶかどうかを、本気で考える。「自分はどんなことでうれしいと思うんだろう」「人はどんな時にうれしいと思うんだろう」としつこく自問自答し続ける。そこを突き詰めることが大事である。

「いい」「悪い」で判断するようになると、みんながどんどん同じになる。なぜなら、「悪い」より「いい」を選ぶからである。一方、「好き」と言っているものは、どこかに魅力の分量がある。ただ、簡単に「好き」「嫌い」を決めるのではなく、「自分が何を好きと言っているのか」ということを、ものすごく考えることが大切である。「どうして好きなのか」「どこが好きなのか」を、自分と仲間に問い続ける。クリエイティブは、1人の人間が本気で「好き」「嫌い」の正体を探っていくところから生まれる。

お客さんに聞いたからといって、答えが出るだけではない。ほとんどのお客さんは、自分が何を欲しいのか気づいていない。こちらからお客さんに「もしかしたら、あなたが欲しいものはこれじゃないでしょうか」と見せて、初めてわかることの方が多い。