四騎士が創り変えた世界
テクノロジー業界の四強、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンが生み出した富(2兆3000億ドル)は、株式を保有している世界中の何百万という家計を潤している。これらの四騎士は、世界をより豊かな場所にしている。
四騎士は神、愛情、セックス、消費の具現者であり、何十億人もの人々の毎日の生活の価値を高めているが、これらの企業が私たちの精神状態を心配してくれるわけではなく、老後の面倒を見てくれるわけでもない。
力は腐敗する。これらの企業が税金を逃れ、プライバシーを侵害し、利益を増やすために雇用を破壊する。四騎士は巨額の富を、投資家と才能に満ち溢れたごく少数の労働者にもたらした。一方、その他の労働者の多くは取り残された。このかつてない規模の人材と金融資本の集中は、どこに行き着くのか。四騎士の目指すもの、それはつまるところ金儲けなのだ。
四騎士に共通する8つの要素
いつか第五の騎士となる企業、即ち時価総額1兆ドルを達成し、世界の一角を支配するだけの市場優位性を備えた企業が現れるだろう。現在の四騎士のどれかに取って代わる企業が生まれる可能性はもっと高い。
四騎士に共通する8つの要素がある。これらの要素から1兆ドルになるためのルールが生じる。
①商品の差別化
製品の差別化とは、形あるものに限るという考えにとらわれるべきではない。差別化は消費者がそれを見つける場所、買い方、製品そのもの、配達法など、様々なところで起こりうる。
②ビジョンへの投資
四騎士の高い競争力の第二の要素は、安い資本を集める力である。それには理解しやすい大胆なビジョンが必要だ。ビジョンへの投資の強みが競争上の強みを生む。その理由は、じっくりと資産を増やして、より多くのイノベーションにより多くの資金を注ぎ込めるからだ。
③世界展開
本当の意味で大きな意義のある会社になるには、国境を越えて世界の人にアピールする製品が必要だ。投資家が望むのは大きいだけでなく多様な市場である。世界を支配する必要はない。むしろ必要なのは、製品やサービスが「デジタル的」であり、普通の文化摩擦のルールは当てはまらないと証明することだ。
④好感度
企業の成長には、政府、独自の監視集団、そしてメディアが大きな影響を与えている。そのため、大きく成功するためには企業がよき存在、よき市民であり、国や国民、従業員、製品を調達するサプライチェーンに関わる人々に配慮しているとみなされる必要がある。そうすれば、悪い評判から身を守る防護壁を築くことができる。
⑤垂直統合
ものを買う時の消費者体験のすべてを垂直統合でコントロールできること。四騎士はすべて流通をコントロールしている。製品を自社生産していなくても、その調達、営業、販売、サポートを行う。
⑥AI
1兆ドル企業は人間がインプットしたデータを学習し、それをアルゴリズム的に記録するテクノロジーを持たなければならない。提案を向上させるためのアルゴリズムに送り込める山ほどのデータだ。そのテクノロジーは、数学的最適化によってほんの一瞬で顧客の個人的なニーズを予測する。
⑦キャリアの箔づけになる
トップクラスの人材を集めるためには、求職者にとってキャリアの箔づけになる仕事であるとみなされる必要がある。若い消費者だけでなく、社員候補の人材の間でも良い評判を築くことが、成功するためには重要だ。
⑧地の利
過去10年の間に時価総額が何百億ドルも増加した企業は、ほぼ例外なく世界的な技術系あるいは工学系の大学に自転車で通える距離にある。