急成長企業を襲う7つの罠

発刊
2014年10月16日
ページ数
200ページ
読了目安
230分
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急成長企業が失敗する罠とは
リンクアンドモチベーション取締役として同社の急成長を見てきた著者が、企業が急成長する過程で直面する課題と対策をまとめた一冊。

急成長企業を襲う7つの罠

企業が成長・拡大していく過程には共通の成長痛がある。企業にとって、成長痛の発症や放置は成長の停滞や業績下降を招く。

 

①拡大の熱量に依存する
・メンバーのモチベーション管理が疎かになる
原因:好調な数字や目標達成にばかり目がいってしまうため
対策:メンバーの「働く理由」を見極め、ミッションを策定する

・メンバーの能力に合わせて役割を安易に新設する
原因:社員の急増により、期待した役割を担えないメンバーが出てくるため
対策:本人へ成長への努力を要望し続ける

・「自分たちは凄い」「特別な存在だ」という選民思想の発生
原因:急激な数字の伸び、社会からの認知の向上などによる驕りのため
対策:一喝して正す姿勢を明確にし、倫理観を共有する次世代リーダーを育成する

 

②頭の切れすぎる部下のマジック
会社の採用力が増すと「承認欲求が高く、論理的思考に長けるが故に、曖昧耐性の低いメンバー」が入社する可能性が高まる。

・軸を持たない中間管理職が「優秀な部下」に翻弄される
原因:採用ブランドの急激な向上による優秀な人材の入社、管理職のマネジメント不足
対策:組織で判断軸を共有し、部下と向き合える管理職を育てる

 

③中間管理職の評価を見誤る
自分の方針に共感性が高く戦略遂行スピードも早いあの管理職の下でもうまくいかなかったのであれば、メンバーに問題があると誤った解釈をしてしまう。

・上司の顔色ばかりうかがう「ヒラメ型管理職」が増え、部下が疲労する
原因:管理職を適正に評価できていない、管理職に求めるスキル・役割が明確でない
対策:「ヒラメ型管理職」を見抜く、管理職に求めるスキル・役割に基づいて評価する、360度調査を実施し、有効に活用する

 

④ブランドとスペック重視の盲目採用
有名企業出身人材の採用では、応募者の「経歴」や「経験」「スキル」を過大評価して採用してしまう。

・有名企業出身の中途採用者が活躍しない・早期離職してしまう
原因:有名企業出身という要素を課題評価している、価値観を共有できていない
対策:価値観の共有に力を入れ、採用戦略を明確に策定する

 

⑤戦略遂行を阻む心理的バイアス
人間のバイアスが企業の成長の弊害となる。

・長期的要素よりも短期的要素に意識が傾いてしまう
原因:近視眼バイアス
対策:長期的な視界を持たざるを得ないルールを導入する

・都合の良い参照点を設定し、そことの比較に甘んじる
原因:参照点バイアス
対策:過去を参照点とせず、自社の先をいく企業を参照点に設定する

・組織の雰囲気に影響され、マイナスムードに流される
原因:同調性バイアス
対策:表彰と抜擢を正しく運用することでプラスの同調性を引き出す

・成功体験にとらわれ、変化への発想に乏しくなる
原因:現状維持バイアス
対策:外部の視点を定期的に入れる

 

⑥若手社員を惑わすテクニカルスキルの幻想
成長意欲旺盛な人材ほど「どこでも通用する専門知識」というスキルを求め、仕事観を誤った形で固定化させ、成長の鈍化を招く。

・成長意欲旺盛な新卒若手社員が早期離職する
原因:「どこでも通用する専門能力」を求める
対策:「テクニカルスキル」と「ポータブルスキル」を分けて考える視点を与える

 

⑦リーダー育成を遅らせる形骸化した権限委譲
・決断できる人材が育たない
原因:意思決定に伴う葛藤の経験の欠如
対策:意思決定する機会を数多く与える、任せてもよい案件を人材の成熟度によって目利きする