CLEAR THINKING 大事なところで間違えない「決める」ための戦略的思考法

発刊
2024年2月15日
ページ数
320ページ
読了目安
459分
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正しく物事を判断するための方法
人はデフォルト状態だと、感情やエゴ、惰性などによって、合理的な思考をできず、そうした積み重ねが未来の成功を左右する。いかに正しい判断するための環境をつくり、どのように正しい決断を下せば良いのか。
意思決定の質を高めるために有効なテクニックの数々がまとめられている一冊。

日常の正しい判断力を向上させるために使える意思決定のコツが役に立ちます。

論理的思考のスペースをつくる

私たちが刺激を受けてから反応するまでの間に、起こりうるパターンは2つある。意識的にひと呼吸おき、状況を合理的に考えてみるか。あるいはコントロールを放棄して、ヒトとしてデフォルト設定された行動に身を委ねるか。デフォルト行動は大抵状況を悪くする。

 

生物的本能は意識的な思考プロセスをすっ飛ばし、反射的反応を引き起こす。その中でも最も危険なものは4つある。

  1. 感情デフォルト反応:根拠や事実よりも感情に反応する
  2. エゴデフォルト反応:自尊心あるいは集団の序列で自らの立場を脅かすものに反応する
  3. 社会性デフォルト反応:所属する大きな社会集団の規範に従おうとする
  4. 惰性デフォルト反応:習慣化し、安心を求める。変化には抵抗し、馴染みのある考えや手順や環境を好む

 

デフォルト反応をコントロールできる人は、素晴らしい成果を発揮できる。より良い成果を出すための最初のステップは「今は判断しなければならない時だ」と認識し、ひと呼吸おいてクリアに思考するためのスペースを生み出す訓練を積むことだ。

デフォルト反応を改善するには、意志の力に頼っていてはダメだ。理想とする行動が、デフォルトとして実行されるような環境を意識的につくることだ。

 

強さを磨く

デフォルト反応によって優れた判断を妨げられないようにするには、同じくらい強力な生物的な力を利用する必要がある。その最たるものが惰性の力だ。惰性は諸刃の剣だが、絶えず大切な目標に近づくことを考え、感じ、行動するよう心がければ、つまり自分の「強さを磨く」よう努力していれば、惰性は力になる。プラスの惰性を生み出すカギとなるのが儀式化だ。儀式(ルーティン)は目の前の場面以外の何かに意識を集中させる。

 

強さとはデフォルトを一旦停止させ、優れた判断をする能力のことだ。ほんの一瞬、一歩下がり、体勢を立て直し、その場の状況から自らを切り離すことのできる人は、できない人よりも高い成果を出せる。私たちが身につけるべき重要な強さは次の4つ。

  1. 自分に責任を持つ
    自らの能力を高め、弱点をコントロールし、理性によって行動を律する責任を引き受ける
  2. 自分を知る
    自らの強さと弱さ、自分に何ができ、何ができないのかを知る
  3. 自分をコントロールする
    恐れ、欲望、感情をコントロールする
  4. 自信を持つ
    自らの能力を信じ、自分は他の人々にとって価値のある人間だと信じる

 

弱さをコントロールする

人生の主導権をとるとは、1つには自分にできることをコントロールすることだ。もう1つは自分にできないこと、すなわち弱点や弱さを管理することだ。弱点を管理する方法には2種類ある。1つは強さを養うことで、もう1つはセーフガード(安全装置)を準備することだ。セーフガード戦略には、次のような種類がある。

  1. 予防
    重要な意思決定をする時には、まず「怒り」「空腹」「孤独」「不慣れ」「時間不足」などの不利な状況に置かれていないか自問し、答えがイエスなら今決断を下すのを避ける
  2. 成功につながるオートマチック・ルール
    マイルールをつくり、成功し、目標を遂げられるようなポジションに近づく行動を自動的にとれるようにする
  3. 抵抗を生み出す
    目標に反する行動にかかる労力を増やす
  4. ガードレールを設置する
    チェックリストを活用し、作業をスローダウンさせ、基本に戻らせる
  5. 視点を変える
    「これで合ってる?」「他に見落としている点はないか?」という2つの問いを投げかけ、その答えに耳を傾けて、他者の視点でモノを見る

 

決断する

決断は「意思決定のプロセス」の産物であるべきだ。このプロセスの目的は最善の選択肢を選ぶという目的の下に複数の選択肢を比較検討することで、4つの段階があり、それぞれのポイントは以下の通りである。

①問題を定義する

  • 問題を定義する責任を引き受け、問題を理解するために必要な努力をする
  • 問題の根本原因を特定し、対症療法で満足しない

 

②解決策を模索する

  • 理想的な結果だけを想像するのをやめ、まずいことが起こりうることをあらかじめ考え、対応策を決めておく
  • 目の前の解決策の後にどうなるのかを自問する
  • 1つの問題に対して、少なくとも3つ以上の解決策を模索する
  • 二者択一の選択をする時には、どんな機会を見送ることになるのかを検討する
  • 3つのレンズ(比較対照は何か、追加コストは何か、代償は何か)を通して機会費用を見る

 

③選択肢を評価する

  • 情報のふるい分けをする前に、自分が何を求めているかをはっきりさせる
  • 一次情報源から、バイアスや利害の影響を受けていない信頼性の高い情報を入手する
  • 専門性の高い情報を入手する

 

④実行する

  • 決断をなかったことにするコストが低ければ、できるだけ早く決断を下す
  • 決断をなかったことにするコストが高ければ、できるだけ遅く決断を下す
  • 次のいずれかが該当したら情報収集をやめ、決断し、実行する
    (有益な情報が得られなくなった、初めて機会を逸した、選ぶべき選択肢が明確になるような情報を獲得した)