ドラッカー名言集

発刊
2010年12月10日
ページ数
280ページ
読了目安
67分
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現代社会最高の哲人の言葉
数あるドラッカーの著作の中から選び抜かれた120の名言。
その選定にあたっては、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏、パナソニックの中村邦夫氏、ユニクロの柳井正氏、糸井重里氏、岩崎夏海氏などにも考えてもらったという。

ビジネスと人生の羅針盤となるドラッカーの教えが凝縮された1冊。

企業の目的は顧客の創造

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、目的は社会にある。したがって、企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である。

企業の目的が顧客の創造であることから、企業には二つの基本的な機能が存在する。すなわち、マーケティングとイノベーションである。この二つの機能こそ企業家的機能である。

実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろん何らかの販売は必要である。だが、マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずと売れるようにすることである。

 

事業とは何か

あらゆる事業において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。

企業の使命として目的を定義するとき、焦点を合わせるべき出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、われわれの事業は何かとの問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。

顧客や市場について、企業の人間が知っていると考えていることは、正しいことよりも間違っていることのほうが多い。顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見いだしているかを知ることができる。

企業が自ら生み出していると考えるものが、もっとも重要なのではない。特に企業の将来や成功にとって重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値と考えるものが決定的に重要である。事業が何であり何を生み出すかを規定し、事業が成功するか否かを決めるのは、それらのものである。

 

イノベーションの方法

イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の両方を使う。数字を調べるとともに、人を見る。機会を捉えるにはいかなるイノベーションが必要かを分析をもって知る。しかる後に、外に出て、顧客や利用者を見、彼らの期待、価値、ニーズを知覚をもって知る。

イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。

 

チェンジ・エージェントたれ

組織が生き残りかつ成功するには、自らがチェンジ・エージェントとならなければならない。変化をマネジメントする最善の方法は、自ら変化をつくりだすことである。

組織自らが、全体としてチェンジ・エージェントへと変身しなければならない。そのためには、第一に、成功していないものはすべて組織的に廃棄しなければならない。第二に、あらゆる製品、サービス、プロセスを組織的かつ継続的に改善しなければならない。すなわち日本でいうカイゼンを行わなければならない。第三に、あらゆる成功とくに計画せざる予期せぬ成功を追求しなければならない。第四に、体系的にイノベーションを行っていかなければならない。

チェンジ・エージェントたるための要点は、組織全体の思考態度を変えることである。全員が、変化を脅威でなくチャンスとして捉えるようになることである。

 

唯一の正しい答えはない

今や社会にかかわる状況、行動、問題のすべてがあまりに複雑である。唯一の「正しい答え」が通用するはずがない。たとえ答えられたとしても、答えは複数ある。しかも、それらのうちかなり正しいと言えるものさえ一つもない。

われわれは、どこに最終的な答えがあるかさえ知らないという前提でスタートしなければならない。したがってわれわれは、不統一、多様性、妥協、矛盾を受け入れなければならない。

あらゆる意思決定と行動がそれを行った瞬間から古くなりはじめる。したがって正常の状態に戻そうとすることは不毛である。「正常」とは昨日の現実にすぎない。

戦略上の意思決定において問うべき問題は、明日何をなすかではない。「不確実な明日のために今日何をなすべきか」である。