外資系コンサルに学ぶ聞き方の教科書

発刊
2014年9月12日
ページ数
236ページ
読了目安
271分
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人の話を聞くこと
プレゼンや話し方など、アウトプットのスキルは注目されやすい。しかし、聞くというスキルこそ重要である。聞き方によって、情報のインプットが変わるとし、聞くことの重要性を説く。

聞き方で仕事の9割は決まる

コンサルティングファームで重要視している資質として、多くのファームが挙げているのは「聞く」スキルである。実際に優秀なコンサルタントほど「聞く」事を大切にし、時間と労力をかけ、「聞き方」の工夫をしている。

 

一昔前は「聞く」よりも「話す」スキルの方が、コンサルタントの優劣の差となっていた。理路整然と話せるコンサルタントが、MBA的な知見と分析をクライアントにプレゼンする事で、報酬を得る事ができていた。

しかし、情報化が進み、MBA的な知見や分析は、かつてほどの希少性を持たなくなった。また、世の中がより複雑化した事で、効き目のある最新理論やフレームワークなどの一般解を提示しても問題が解決できなくなり、むしろどれだけクライアントから要望や情報を的確に聞き出し、個別解を探していくかが重要になってきた。

 

相手に「話したい」と思わせる技術

①プロファイリングであらかじめ相手の情報を把握しておく
話を聞く前に、相手の事を予習しておく事は基本である。プロファイリングでは、相手の事を、垂直と水平、タテの軸とヨコの軸から把握する。タテは時系列の情報で過去から現在に至るまでの略歴。ヨコは現在置かれている状況を指す。

 

②聞く場所を使い分ける
人には「話しやすい場所」というものが存在する。初対面の相手や警戒している相手、また、一般的にビジネスの話をする相手であれば「話しやすい」場所に配慮する事が求められる。場所が変われば、相手の話す内容は間違いなく変わる。

 

③座席は相手の斜め前がベスト
コンサルタントは、話を聞く時は「相手の真正面に座るな」と言われている。真正面に座ると、相手が話しにくくなる。対面しか座れない場合には、やや体をどちらかにずらす。

 

④アイスブレイクで素早く懐に飛び込む
人は一旦口を開いて和やかに会話が弾むと、その後も話しやすくなる。だから、いきなり本題に入らずに、それ以外の話題で軽い会話をして話しやすい状態にウォームアップしておく。ポイントは、相手の口が滑らかになりそうな話題を選ぶこと。そのためには、相手の事をプロファイリングする際に、ネタになりそうな話題を探しておく。

 

⑤冒頭に3Mでヒアリングの概要を見える化する
コミュニケーションの全容を「見える化」する事で、話し手に心の準備をしてもらい、ここから先のコミュニケーションに不安を感じさせないようにする。具体的には「Meaning(意味)」「Mechanism(仕組み)」「『Message(メッセージ)」の3Mを伝える。こうした概要を伝えておくと、相手は話しやすくなる。

 

⑥アイコンタクトで話やすい雰囲気を作る
アイコンタクトの基本は「相手の目を見て聞く」事である。一般的にアイコンタクトの長さは、出会い時間全体の50%程度にするのが良いとされている。そして、例えば面接や商談の場などで短時間で自分をアピールしたい場合は、70%程度のアイコンタクトにすると、熱心な印象が残りやすい。

⑦話したい気にさせるためにメモをとる
メモを取る意味は2つ。①重要な発言を書き留めておくこと。②熱心に聞いている事をアピールすること。

 

心理学をもとにしたコミュニケーション技術

NLPの手法は、相手に信頼される聞き方に使える。

 

①ペーシング
相手の状態(感情や話の内容)や表情に合わせて、間投詞で共感を表わす。

②バックトラッキング
相手の話がプラス、マイナス、ニュートラルのいずれかを判断し、相づちの後に相手の言葉を繰り返す。

③ヴァリデーション
相手が受け入れられたと感じた後に、検証や発展のための質問につなげる。

参考文献・紹介書籍